「やれやれ、まさか待てを教えてやることになるとは」


物欲しげな瞳、半開きの唇。浴槽の縁に腰掛けるルーファウスの片膝に跨り、腰をゆらゆらと揺らす女。クチクチと水音を立てる秘所はすっかり腫れぼったく、その上で肉芽がピンと張り詰めているのか伝わってくる。


「は、あぁ…」


みみは切望の眼差しでルーファウスを見つめていた。硬くなり始めたペニスは、許しがない限り触れることすら許されない。だが秘所は既に興奮の灼熱で蕩けきっている。この男に繰り返し刷り込まれた快楽と、その記憶を呼び起こす愛撫ーー。舌の動き一つでさえ、みみの身体を熱らせる。つまり、帰宅後必ずと言って与えられる濃厚な口づけは長い淫蕩の夜の始まりだ。それからルーファウスの手は口元へ、鎖骨へ、胸とその頂きへ、太腿の内側へと伸びてゆく。みみは抵抗しない。痺れるような期待感にただ震えるだけだ。

意地の悪いことに、この男は時折もどかしい快楽を与えるだけ与え、みみの反応を楽しんでいる時がある。運悪く今日がその日だ。早めに帰宅したことがあだとなり、結果、みみの体は入浴前から発情しきっていた。


「いやらしい腰の動きだな」


目を細めてこちらを見下ろすルーファウスの脚にみみは秘所を擦り付けた。充血したそこは先程ルーファウスの舌が這い回った場所だ。この男が口淫を始める時は大抵、絶頂を与えるためではないことをみみは身を以って学んでいる。極まりそうになる度に離れていく舌に何度啜り泣いたか分からない。早く疼きを収めたい一心で腰を揺らす。


「そうだな、このまま絶頂できたらコレをやろう」


そう言い男は重たげな陰茎を一瞥する。みみは失望の眼差しを向けた。もう何時間も焦らされた体を自慰で満足させろとは、あまりに酷い仕打ちだ。


「そう切ない顔をするな。手伝ってやろう」
「ぁっ」


そう言うなりルーファウスは乳首の根本をつまみ上げる。みみに拒否権はない。無意識に揺れていた腰を今度は自分の意思で前後させる。ぬるついた愛液はすっかり男の太ももを濡らし、クリトリスがその上を滑る度に堪らない刺激を送ってくる。呆気なく上り詰めてしまいそうな自分の身体にみみは幻滅した。


「は、るー…ぁ…」


だが、一度動き始めた腰の動きは止められない。男の肩に手を回し、必死に腰を前後させる自分の何と浅ましいことか。それを涼しげに見つめる男の双眸ーーそれが嗜虐的に細められるだけでみみの体はまた熱くなる。


「ん…っく……」


クチュクチュとあられもない水音が浴室に反響する。ルーファウスの指先が立ち上がった胸の尖端を転がせば、みみは快楽を手繰り寄せるように腰の動きを速めていった。自分はどうしようもない淫乱だと思いながら。


「あっ……い、く…いっちゃ……」


半開きの口から漏れ出す情けない声に、ルーファウスは笑みを深める。娼婦のように淫らな腰使いが、絶頂を極める間近、僅かにぎこちなくなる。


「いく…っ」


消え入るような声でそう告げた後、みみの身体は小刻みに震え上がった。焦らされた身体にはあまりに小さな快楽ーーそれを味わい尽くそうとしきりに腰を擦り付け呼吸を浅くする。その目がしっかりと自分を捉えていることに、ルーファウスは満悦した。


「いい子だ」


絶頂の余韻を味わい尽くしたみみを抱えて浴槽から立ち上がる。濡れた身体をバスタオルで包んでやりながら、全身に唇を落としーーみみの股間から溢れた新たな愛液をチロリと啜り、指を差し込む。熱く濡れそぼった蜜壺を軽くほぐしてやれば、ふるふると内腿が震えた。


「ふ…」


期待に濡れた眼差しがじっとこちらを見下ろしているのに気付き、ルーファウスは体を起こす。そのまま悠然と浴室を後にした彼は、ベッドの縁に腰掛け視線でみみを呼び寄せる。いつものように足元にひざまづこうとするのを制止すると、背中を向けるよう促した。


「自分で入れてみろ」


自分が出てきたばかりの浴室を見つめ、みみはゴクリと唾を飲み込んだ。先程の絶頂では到底満たされなかった疼きから、漸く解放される。
背後から尻の肉を割り広げられれば、既に期待で濡れそぼった秘所を思い知らされる。みみは顔を熱くしたが、ゆっくりと腰を落としていった。

張り詰めた亀頭に愛液を擦り付ければ、ぬるりと滑り込んでくる肉棒ーー数時間焦らされた体が待ち望んでいた質量が、そのまま秘裂の奥へ奥へと飲み込まれていく。


「あ、あぁ……っ」


みみは甘い溜息を漏らした。自重で膣の奥深くまで辿り着いた肉棒の尖端が柔らかい壁に押し当たる。串刺しになる身体。恍惚の表情。


「ほら、好きに動いていい」


自ら動くつもりのない主人の言葉にみみは戸惑ったが、やがて我慢出来ずに腰を揺らし始める。


「みみ……」


膣奥を捏ねるように自ら腰をくねらせる女の後ろ姿はまさに淫猥だった。物足りないのか、ルーファウスの膝に手を置き腰を上下し始める。始めは躊躇いがちに、それから徐々に深く……。引き抜かれるペニスが愛液を纏い妖しく濡れる。


「あっ…あっ…」


みみは虚空を見上げて文字通り快楽を貪った。押し入っては引き抜かれていく肉塊が望んだ刺激をもたらす。浅ましく腰を振り絶頂を迎えようとする自身への羞恥心も、最早興奮の材料にしかならなかった。ああ、このままーー。


「あ、また、いっちゃう……」
「みみ、待て、だ」


だが、冷徹な男はまたしても絶頂の波を遠ざけていく。みみは目に涙を浮かべ腰の動きを止めた。自分はこの男の言いなりだーーまるで躾をされる犬のように。ぞわぞわと体に蓄積されていく疼きに、みみは熱い吐息を漏らした。


「はぁ、ぁ、う……」
「そうだ。いい子だな」


ルーファウスは震える尻をしばらく眺め、頃合いを見て軽く尻を叩く。


「動け」


みみは遠のいた快楽を手繰り寄せようと情けなく腰を振った。だがそれは与えられる前に取り上げられてしまうのだ。何度も、何度も。絶頂しそこねた蜜壺をそれでもなおペニスで扱き上げれば、濃厚な愛液が纏わりつく。


「いく、いく、」
「止まれ」
「ぅっ、うぅぅぅん…」


もどかしさのあまり腰が浮く。すかさずルーファウスの手によって押さえつけられ、行き場のない疼きだけが身体を駆け巡る。みみは体を仰け反らせ、恐ろしく艶かしい声を上げた。


「あぁ良い声だ…」


その声をしっとりと聞き入り、眼前で震える尻を手のひらで慈しむ。蠢く膣内が鎮まると、ルーファウスは再び動くように命じた。


「んっ、あ、るー、も、やだぁ…」


主人が満足するまでこの拷問は続けられる。早く、早く楽にしてほしい。みみは彼の膝を支えに、くちゃくちゃとはしたない音を立てながら必死に腰を上下させた。快楽を貪るために。主人の目を悦ばせるために。
波の間隔は確実に短くなっていた。そしてペニスの根元に白い液だまりが出来る頃、その赦しはようやく訪れた。


「あっ、も、いかせて…っごしゅじんさまぁ…」
「ふ…あぁ、いいぞ…」


その一言で、蓄積した疼きが一気に背中を駆け上がる。


「ひあっ、あ、あっるーっ、んんんっ…!!」


息を切らせながら前後左右に腰を揺らす。見開かれた桃色の瞳はもう何も映し取ってはいない。命じられるがまま、壊れた人形のように無心で高みへと上り詰めてゆく。そして、ドチュリと最奥に突き込んだペニスを全身で締め上げ、


「んあっあっ、あっ、あああぁっ!」


甘い絶頂の声を部屋中に響かせながら、みみは遂に絶頂を迎えた。その締め付けに促される様に、ルーファウスが精を放つ。
脈打つように上下する尻の肉を割り広げてやれば、ひくひくと収縮する尻穴が絶頂の深さを物語っていた。


「よくできた、えらいな、みみ」


仰け反ったままのみみの体を抱き寄せてやれば、体は徐々に弛緩していく。愉悦に蕩けた横顔と、それを濡らす涙。本人ですら気付かぬ内に、どこまでも卑しく堕ちていく女。ルーファウスは腕に力を込めると、小さく微笑んだ。