誰もが当たり前の朝を待ち望むように、僕は当たり前の終わりを望んでいた。

 過ぎ去る時間、何気ない会話、不変なく進む項。

 世界の端々に転がる多くの御伽話と魔法は、世界の安寧を巡らせる血液のようなもの。

 でも巡るものは“巡らせるもの”がなければその場から動くことができない。

 ただその場に在るだけで、古びて朽ちても排除されることなく、大きな膿となってその場を侵食し劣化させる。そしていつしか新しいものが作られることがなくなり、世界はだんだんと首を絞められ息苦しくなり生きにくくなる。

「誰か、誰か」

 手を伸ばしても声を絞っても、この願いは届かない。

 この世界の心臓は、遥か昔に眠りについてしまった。
 僕ではその役を担うことは、できない。

 それならば心臓の役割を誰かにさせればいい。
 でもそれは誰でも良いわけではない。

「彼女、彼女でなければ」

 “彼女”の心を持つ、適切で優秀な書き手でなければならない。

「綺麗な言葉を、純粋で好奇心ある文字を」

 偶然や奇跡という安い言葉では、この世界は救えない。




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