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健二郎くんフラれちゃった

慰めて




なんて絵文字もなく箇条書きで書かれた文にはぁ……とため息を吐いた。いい加減俺を頼るのはやめてほしい、頼られることは嬉しいことではあるが……

やれやれと言った感じで重い腰を上げて立ち上がり、ケータイと財布片手にアイツがいる店に向かった




「っ、健ちゃん……」



あぁ、今回は相当ダメージがデカイみたいだ


「……臣ちゃん顔汚なっ、イケメンが台無しやで」




呼ばれた場所は何故かカラオケの店。多分歌いたくなったんだろう男、三代目J soul brothersのボーカリストこと、登坂広臣。爽やかでイケメンな印象とは真逆と言っていいほどヒドイ。泣き張らした目、いくつあるんだってくらいのジョッキの数。おいおいこれ一人で飲んだのか?


「っ、健ちゃあん……っ!!」

「のわっ!!」


グワッと抱き着いてくる臣ちゃんは凄い酒臭かった。おいおい飲みすぎやぞお前……


「っ……っ、…」


あーあ、イケメンが大泣きしとる。俺の肩口湿ってきた、ちょっと気持ち悪い…。だがここでは優しくしてあげないと、もっとひどいことになるのは明白だ


「はいはい、臣ちゃんは悪くないから泣き止めや」

「っ〜、げん、ぢゃ…っ、」

「とりあえず座らして、話聞くから」

「うん…っ、」


普段見せてる顔とは全く違う臣ちゃん
こんな姿ファンが見たらどう思うんだろう
可愛いか、引く、か…そんなかな
俺的には、どっちでもないんだけど…


一先ずは座って、俺はウーロン茶で臣ちゃんはまだ酒を飲もうとするから俺と同じのを頼んだ。飲み物が出てきて落ち着いてから話を聞いた


ようはフラれた、浮気をされてたようだ

割りと本気で好きだったらしいが会えない時間に寂しさを感じた彼女が知り合いと浮気してしまったそうだ。話を聞いて、あーそうなん?って他人事のように思う俺を許してくれ臣ちゃん


「っ、くそ…っ、結婚とか、考えてもいいかなって、思ってたのに…っ」


……そ、か……結構てか、大分本気やん


「……、もうしゃあないやろ。忙しいのは仕方ないことやし、臣ちゃん悪くないよ」

「、そう、なのかな……だって、浮気を作った原因って、俺が会うことをしなかったから」

「そんなん言うても俺らの仕事はそういう仕事やろ?しかも臣ちゃんは映画もあったり歌もダンスも必死にやってたやんか、それを理解出来てたかそうでないか。結果出来ない女ってことはそれまでの女やったってことだろ?スパッ!って割り切って次いったらえーやん!女なんて腐るほどおるわ!」

「……そ、か…だね、健ちゃん」

「つかせっかくカラオケおるんやから歌お!今日の支払いは臣ちゃんの奢りやからな」

「…」


つかもうそんな話は聞きたくない。あー腹減ったな、って思って適当にメニューを見てると小さく笑う臣ちゃん


「…ありがとう健二郎くん」

「…別になんもしとらん」

「してるよ…あー…マジで健二郎くんが女だったらな…」

「…」

「ぜってぇ付き合うのに…」


…、勘違いするな、俺が女だったらや
俺は男だ…臣ちゃんも男…
また高望みをしようとする、いい加減にしろ
もぅ、この想いは捨てたはずや!


「…アホか、臣ちゃんみたいなイケメンのくせにちっちゃい子みたいに大泣きする彼氏なんかいらんわ!」

「ははっ、ひっでー…」

「あははっ!明日も仕事あんねんから酒はそのくらいにしとけよアホ」

「いや飲む!今日は飲んで歌う!介抱してね健ちゃん♪」

「めんど!てか甘えたい時だけ呼び方代えるとか女子みたいなことすんな!」

「あ、バレた?」

「ちょいちょい!フツーバレるっしょ!」


そう言って一緒に笑って、仕方ないからお酒も飲ませた。俺強くないのに飲ませられて結局深夜遅くまで付き合わされた



そうだ、これでいい…


「おし!歌うぞ!」

「おお歌え歌え」


望むな

ぬか喜びするな



「パッと咲いて シュンと散って


夜に打ち上げられた…


恋花火 二人照らしながら広がる



零れる火の粉は切なさへと変わって



私の 胸熱く染めました」






俺はお前を好きになっちゃいけないんだ






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