「ふんふん、ほんで?何でもこの小春ちゃんに相談してみい!」
「あ、うん…。はあ、どうしたら振り向いてくれるんだろ…」
「名前ちゃんは押しが甘いねん!押しに強い男なんて早々おらんのやから!」

アタシ、金色小春。今はテニス部の活動中やけど休憩中。そしてマネージャーの名前ちゃんの悩み相談を聞いとるところ。名前ちゃんとは1年生の時に同じクラスになってアタシが声をかけてすぐに仲良くなった。アタシこんなやし、色んな女の子たちの恋の悩み相談とかも受けたりして女子力パネエ系乙女(本当は男児)になってしもてん。そんなアタシやから名前ちゃんが恋で悩んどることはすぐに分かった。せやから声をかけて悩み相談に乗った。
好きな人が居ることは問い詰めて頬を赤くした名前ちゃんをやっとこさ白状させたけど相手が誰かまではまだよう分からん。アタシ的にはユウくんをよう見とる気がするからユウくんやないかって睨んどる。でもそうとは限らない。蔵りんやってイケメンやからもしかしたら見られへんのかもしれんし、謙也さんみたいに見ようとしても追いつかん人かもしれん。はたまた千歳くんみたいに見たくてもそもそもその場に居ない人かもしれない。
好きな人を白状した時、テニス部に居るっちゅーんを聞いた。せやからテニス部にお近づきになるんならマネージャーになるんがええって勧めてアタシからオサムちゃんを通して名前ちゃんをマネージャーに入れたところやった。それでも名前ちゃんは1人でするんは動機があまりにも不純やし、続くか分からんからってお友達も一緒に呼んでマネージャーとして入部することになった。そのお友達の方が「イケメンが間近で拝める!」っちゅー不純な動機で入ってるんやけど…まあ、これはええわ。

「ほんで?その好きな人とは話せとん?」
「う、うん…話はしてるけど…でも、やっぱりその人はあんまり私に気がない感じで…」
「そんなことあらへんよ!名前ちゃん、もっと積極的に声かけたらええねん!皆褒めてたで!名前ちゃんよう働いてくれるって!」
「…みんな、って?」
「蔵りんやろ?謙也さんやろ?銀さんやろ?健ちゃんもやし、オサムちゃんもやし…あ、ゆ、ユウくんも!」

金太郎さんはちょっと除外。あれは褒める言うか名前ちゃんにえらい懐いてしもとるから。光くんは…うん、まあ、しれっとしとるし…。そして肝心なユウくんの名前出すん忘れとった!アタシの中で名前ちゃんの好きな人はユウくんの可能性が高いと思てんねんからちゃんとここは言うとかんと!ユウくんは「は?別にマネージャーとして当たり前の仕事してんねやろ」って言うとったけどそれは内緒!バラしたらアカン!

「……そっか。」

ああああああ落ち込んでしもた…!真っ先にユウくんの名前を出すべきやった。
アタシも自分の失態に落ち込んでしもたけど、小さく息を吐いて名前ちゃんの頭に手をそっと載せる。

「名前ちゃんはええ子やで?それは誰よりもこのアタシが知っとる。せやから、落ち込まんで?大丈夫やさかい」
「……小春、ちゃん…」
「小春ー!次お前の出番やでー!」
「あ、はーい!ほんなら名前ちゃん、また後でねん」

名前ちゃんに手を振ってテニスコートに入る。そこで謙也さんとペアを組んで練習試合を始めた。

「……良かったね、話せたじゃん!」
「…うん。まだまだ気付いてもらえないけど…私、頑張る…」

名前ちゃんの視線の先が常にアタシにあるなんてこと、コートに居るアタシは知る由もなく謙也さんにベタベタくっついとった。




end...

次はこのままの設定で一氏くんとの話〜(●´ω`●)