「ね!黒羽くん格好いいよね〜!」
「京矢くんも凄く素敵なんだよー、映画見に行けば良かった〜!」
「ね!ね!名前もそう思うでしょ?」
「え、思わないゴメン」
「ええ!?」

渡されたドS男児との恋愛漫画を見て思う。何てこと。皆ドS男の何がそんなにいいわけ?アイツら単にドSとか言ってるだけのただの自己中男じゃん。しかもそうやって自分に振り回されるのを喜んでいるとか勘違いしているだけじゃん。男は優しさよ!優しさ!ドS男のために自分の進路曲げたりするような話しは好きじゃないし、ましてやそれに乗っかる女なんて大嫌い!バッカじゃないの、そんな男、自分がそいつの言うままに進路変えたって飽きて捨てられる時は捨てられるんだよ!変なものに夢見て…ほんっとーに…

「バッカみたい!!」

つい、思い切りその単行本を投げてしまった。

「あいたっ!」

同じクラスの幸村くんの後頭部に当たって…。

*―*―*

「ま、遅れたことは後で俺の肩もみをすることで許してやるよ。だから早く焼きそばパンとコーラ買ってきて」
「お金ないんですけど…」
「文句あるの?」
「ありません」

あー、ムカつく。冒頭にある部分をよくご覧くださいませ。こういう理由で私は幸村くんのパシリという名の下僕にされているわけですよ。横暴なことこの上ない。あの後、大丈夫だよって王子様スマイルだったから私も安心しきってたんだけど、その後、柳に呼ばれてテニス部の部室に行ったらあの魔王は椅子に悠々と座ってて「まさかあんなことしといて本当に許されたと思ってないよね?」とか言いだしやがって「はああ!?」ってなったんです。更にその後何て言ったと思う?

「お前、これから俺の彼女兼下僕ね。あ、でも勘違いしないで。彼女っていうのは適当にそう見えるように繕っていてくれればいいから。最近告白される回数が多くてウザったく感じてたんだ。それの虫避け程度に居てくれればいいから。そうそう、もしこの事を誰かに話したり俺から逃げようなんてしたら……」

だよ!?しかもその後私、気を失ってて挙句に目も見えなくて何も聞こえなくて色んなところにぶつかって、視力が回復する頃には体中痣だらけだったんだけど!どんだけぶつかったの私!しかもその痣見て次に視界に入ったのはテニス部の連中で、思い切り睨んでやろうと思ったら皆に合掌されてしまって仁王にはご愁傷様。とか言われたんだよ!?そんなことされたら思い切りは睨めなくて柳だけでも睨んでやろうと思って柳見て舌打ちしてやったら本当にすまない、苗字…。って言われて、ああ、誰にも幸村には逆らえないんだって思った。当人には言えないけど、心の中では幸村、とか魔王って呼んでやってる。ざまあみろバーカ!後1年経たずで卒業だし、卒業したらお前なんかすーぐ忘れてやるんだからな!あ―――はっはっはっはっは!!
焼きそばパンとコーラを買い、幸村のところへ持って行きながらコーラをめっちゃ振ってやる。開けた瞬間コーラのシャワーを浴びろ、バーカ!(もはやバカしか言ってない)

「買ってきた?」
「うん。」
「うん、じゃないだろ?」
「はい」

チクショ――――!!何でタメ相手に敬語使わなきゃなんないんだよバ――――カ!!!
ふっふっふ、でもいいもんね。この後アンタはあのコーラのシャワーを浴びるんだから!

「コーラ」
「はい」
「開けて」
「え」
「え、じゃない。はいだろ?」
「自分で」
「下僕が開けるもんだろ?それとも…」
「ですよねえええ」

それとも、の続きは言わせねえよ!私は泣く泣くコーラを開け、見事に制服がコーラでびしゃびしゃになった。魔王には「汚いから俺に近付かないでね」と言われてしまい、置き去りにされる。
くっそムカつくあの野郎ううううう!!いつかギャフンって言わせてやるうううう!

NEXT...??



気が向いたら連載にしようかなこれφ(..)