部くんと百味ビーンズ



「跡部くん。」
「何だ」
「はい、あーんして?」
「断る」
「何でよ」

私は以前、とある事が目的で大阪のUSJまで行ってきた。そのとある目的というのは最近オープンしたハリーポッターのエリアに行って百味ビーンズを買うこと。その目的は果たした。次はその百味ビーンズをこの学園のキングと言われる跡部くんに食べさせることだ。それもキングとしては屈辱的な鼻くそ味を。1番不味いと噂のミミズ味でもいいけれどミミズとか腐った卵よりも鼻くそを食べさせる方が何だか屈辱じゃない?
そもそも何でこんなくだらない事を思い付いたかと言うと、彼は人遣いが荒い。彼は生徒会長、私は生徒会書記。ただそれだけの関係なのにあれやってこいこれ持ってこい、さっさとしろ、遅い、のろま……その他諸々彼に吐かれた暴言は数知れず。そんな俺様な彼に思い付いた復讐が百味ビーンズだった。え?それだけのために大阪に行くなんて馬鹿げてる?ふん、何とでも言いなさいよ!お金はあるんだから!!

「こんな見てくれからして怪しい物、この俺様が食うわけねえだろ?」
「……ふうん、跡部様知らないの?これ、大阪のUSJでしか買えない百味ビーンズっていうお菓子なんだよ?へえ、なるほどねえ、跡部様でも知らないものがあるなんてねえ」
「食ってやろうじゃねえの。」

へーへへー。2年一緒に生徒会の仕事してて分かってんのよ、アンタが変にプライドが高いってことくらい!
内心でほくそ笑みながら私は跡部くんの口元に鼻くそ味のビーンズを持って行く。

「はい、あーん!」

私の言葉に合わせて跡部くんが口を開ける。鼻くそ味のビーンズを放り込み、咀嚼した跡部くんの眉間に一気に皺が寄った。すかさず私はそれを写メに撮る。

「あっははは!!引っ掛かった引っ掛かったー!あの跡部様が鼻くそ味のビーンズを食べたぞー!」
「て、めえ…苗字!!」

跡部くんに腕を捕まれ、引き寄せられて鼻くそ味のビーンズをそのまま口移しされる。あれ?い、今確かに跡部くんとキスしたよね?しかも物を口から口へと移す高度な技を…。何でこんなことになったの?生徒会室の跡部くんの机にはティッシュが箱ごと置いてあるんだからそれを使えばいいのに…いやそれよりも……

「おええええ〜!!」

私は死んだ。キング跡部のキスによって。

end