也くん髪の毛を気にする



「あ、アカン!髪の毛入ってもうた!」
「んー?」

夕飯の支度をしている時。謙也が珍しく白ご飯を装ってくれた。今の間に髪の毛が入ってしまったと口にした謙也に思わず悪戯心が擽られる。

「そういえばさ、最近謙也頭薄くなってきたよね。」
「え、嘘!?」
「白石や一氏に謙也は絶対ハゲへんからええよなあとか言われてたから油断しとったんやろ?」
「え、ちょ、ホンマなん!?ホンマなん!?ホンマに俺、髪薄なった!?」

真剣に頭を触る謙也に私は思わず笑いを堪える。本当は全然ハゲてないけれどそれを気にする謙也が可愛くてついついからかってしまった。

「最近よく謙也の髪の毛が床に落ちとるしさ、気にはなっててん。」
「嘘やん!ホンマなん!?なあ、嘘やって言ってくれ!」

半泣きになる謙也に子どもが頭を撫でる。子どもにまで慰めてもらうだなんてどんだけショックを受けてるの。少し可哀想になってきて私は謙也の背中をポンポンと叩く。

「大丈夫、まだふさふさやから。」

ひよこ頭を撫でると謙也はニッと無邪気に笑った。この笑顔は反則だと思いながら私は夕飯の支度を進めた。

end