「はぁ……」
静寂に包まれた夜、私は船寝番をしていた。
「名前」
「あ、バギー」
そこにひょこりと顔を出したのは一緒に見習いをしているバギーだ。その見習いは私とバギー以外にもう一人いて、その人物は。
「おれもいるぞ」
「あぁ、ごめんシャンクス」
そう、赤い髪をちらつかせたシャンクスだ。
「おめェは何でくんだよ、今日の船寝番はおれはと名前だぞ?」
「うるせぇ、別にバギーに用はねェよ」
「んだとこらぁ!!」
「やるかぁ!」
静かな夜の海にこの二人の煩い声が響き渡り、それに私は「はぁ…本当にこいつらはっ」と思った。
「ったく、煩いって!」
いつまでたっても静かにならない声に私は一喝し、二人にげんこつを食らわした。
げんこつを食らった二人「い゛っ…たぁ!」と間抜けな声を上げた。
「当たり前、痛くしたんだから」
本当にこの二人は反りが合わないなぁ。
よくもまぁこれで見習い何て出来るわ。 まぁ、それは船長が偉大だからだと思うけど。とまぁ、今はそんな事は関係なくて。
「シャンクス、用って何?」
そう、シャンクスは私に用があって此処に来たんだから早く用を済ましてしまわないと。
じゃないとシャンクスが可哀相だ、こんな遅い時間まで起きてくれていたんだから。
「あ、いや……その」
「シャンクス?」
だがシャンクスは用どころか言葉を詰まらせ視線をキョロキョロさせている。
「ねぇ、どうし」
「やっぱなんでもねぇ! じゃあな、おやすみ!」
「え、ちょっシャンクス?!」
シャンクスはそのまま船内へ行ってしまった。
「どうしたんだろう? シャンクス」
「知るかよっ……あんな奴」
そう言うとバギーはそっぽを向いて自分が持って来た毛布に包まった。
そして私に多分持って来てくれたのであろうホットココアをほいっと渡してくれた。
一瞬それにびっくりしたが、ありがとうっと小さな声でお礼を言った。それにバギーも、おうっと小さな声で返してくれた。
「………」
「………」
そこから何れくらい時間が経っただろうかお互い無言で、でもその無言の静寂が何故か心地良いものだった。
「ねぇ、……バギー?」
「……あぁ?」
暫くの静寂を私から消しバギーに声をかけた。
「……バギーもさ、やっぱりいずれは……自分の海賊を作るんだよね?」
私は思うように口が動かず少し歯切れが悪くなってしまった。
「まぁ、いずれはな」
バギーはそう言うとまた口を閉ざしてしまった。
「っそっかぁ……」
私はそんな彼を見ながら何故か心臓が痛くなった。
「……」
「……」
また暫く静寂が時を刻み、寒さも少し和らいだ時。
「っ……」
何故か私は泣きたくなった。
「名前?」
何故か分からない。ただ……。
「んーん。何もないよっ」
「はぁ……おめェは何時も嘘が下手なんだよっ」
青い澄み切った海が、バギーの髪に溶け込んで、バギーがそのまま海の中へ消えてしまいそうに見えたから。
「大丈夫だよっ」
「ったく、このハデアホめ」
バギーはその一言を言うと他には何も言わずただただ抱きしめてくれた。
「ごめんっ」
ごめんね、今はこのままでいさせて。
そのままでいいから、私とバギーの関係を崩したくないから。
私に中に生まれたこの感情にお願い。お願いだから気づかないで……。
-END-
海賊王の弟子たち様へ提出