「はぁ……」

 私は今日、この日この時間人生最大のため息ではないかと思うであろうでかいため息をついた。

「あのアホ」

 今日は恋人の誕生日だ。



 だが、その恋人である本人は私からはなれ、部下なんかと酒を飲み交わしている。

 しかも、私以外の女の人つき。まぁ女の人って言ってもアルビダ姉さんで、二人共多分互いに恋愛対象外だから、大丈夫だけど。大丈夫だけど…さ。

「……ちょっとくらい二人でいる時間あってもいいじゃん」

 そう。二人でいる時間があまりにも無さすぎるのだ。


「おいおい。おれと飲んでるのに、またバギー船長の話か?」
「カバジ……だって」

 私はあまりに一人で寂しかったためカバジを拐って…連れてきた。

 しかも、カバジの「また」の言葉は二回ほど聞いた。

 私がバギーの話し…愚痴を言うとカバジは苦笑いで「またか」っと言いながらちゃんと聞いてくれるから。


「なら、おれにしとくか? おれなら名前を………!」

「……カバジ?」

 何をカバジにしとくかさて置き、急に話が途切れたカバジを不思議に思い、カバジの視線の先を追った。

「あれ? バギー、どうしたの?」

 そこには上機嫌か不機嫌かも分からぬような顔をしたバギーが立っていた。


「チッ…名前来い!」
「へ? あ、は? えぇ!」


 バギーはいきなり舌打ちしたかと思うと次の瞬間、自分の腕を切り放し私の腕を掴み何処かへ連れて行った。





「や、ちょっ! バギーさん?!」

 着いた先はバギーの私室で、そのドアを蹴破るように入った。

「も、ちょっとバギー放して! 痛い!」

 私が抗議の声を上げると、バギーはすんなり放してくれた。

「バギー……痛いよ」
「わりぃ」


 そう小さく言うとバギーは、私から視線を外し近くにあった椅子に腰かけた。


「……あっ、とバギー誕生日お、おめでとう」
「あ、あぁ」


 私は沈黙が嫌で無理矢理話題をつくり、まだ言っていなかった誕生日のお祝いの言葉をバギーに言った。

 だが何故かその言葉が沈黙への引き金だった。 何時もなら普通の沈黙が今日に限って何故かその沈黙にむず痒くなってしまい、何か声を出そうと思うが、口が金魚みたいにパクパクしてしまい声を出すどころではなくなった。




 10分……いや、それ以上の沈黙が私達の間をすり抜けた。

 そして、私達のそんな沈黙に終止符を打ったのがバギーだった。



「はぁ……ったく、名前はおれ様がいねェと危ねェやつだなぁ」
「えっ…ちょっ……!」

 抗議の声を上げようとした私の声は、バギーの力強い腕に引かれ、互いの息がかかる程近づき私の唇は彼のソレによって吸い込まれた。


「……んっ……んん」
「んっ……ぁ……ん」

 私の鼻にかかったような甘い声は、それをまた深くさせた。

 お互いの唇がはなれた時は、どちらとも言えない糸が私の顎をつたった。
 そのつったものをバギーは赤い舌で撫でるように舐めた。

 そんないつもとはまるで違う雰囲気のバギーに、頭をボーッとさせながら私は赤い唇を見つめた。

「名前、どうした?」

 そんな私にニヒルな笑顔をバギーは浮かべ、私の服にするりと滑るように手をいれた……。

 だが、私はその時重大な事を忘れていたのに気がついた。


「あ゛! プレゼント!」

 そう、まだバギーに渡していなかった。
 そう思った私はフリーズしているバギーをそのままに自分の部屋へとりに戻った。


「え……ちょっ名前……さ、ん?」




-END-

「(名前……これ)」「(気づいた?そうだよ、私とお揃いだよ)」「(そうか…あ、ありがとな)」「(うん…)」

珍しく素直なバギー
何故か笑えたが
耳が真っ赤な彼を見て
少し可愛いと感じた。





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