その時、承太郎にとって何かが頭の中で光ってバチバチと眩むような感覚がした。その時から真っ暗だ。脳の隅から隅まで余すことなく、真っ暗に感じる。
その時というのは、ちょうど30分前に仗助から連絡が来た時だ。
なまえから目を離すな、とあれほど釘を刺していたのに。
なまえが居ない、と仗助が言うのだ。
「承太郎さん、ッ、俺、....」
「仗助、今はお前が俺に何を言っても仕方がない。まずはなまえを探すことが最優先だ。」
「......く、」
仗助は何か承太郎に言わないと気が狂いそうだった。だが、承太郎は仗助を一瞥しただけで、感情的になる様子を見せない。
「(なんでそんな、落ち着いてられるんスか、ッ....承太郎さん。)」
なまえさんが居ない。なまえさんが、居ない。
仗助は頭の中で繰り返される呪いの言葉を払拭するのにまだ必死だった。
「、.............デパートはくまなく探しました....俺と露伴で...周辺もほとんど」
「僕のヘブンズドアーを使っても彼女が見つからないとなるとただの迷子って訳でもないな....ほぼ100パーセントスタンド使いが絡んでる可能性をみていい」
「っ、露伴!お前、!」
「やめろ仗助」
仗助が目を剥く。今の仗助は誰彼構わず殴り掛かって八つ当たりする勢いだ。承太郎がそれを止める。
今、仗助の感情の暴走を止められるのは、承太郎だけだった。
考えたくはない現実が、すぐ側まで迫りつつある。
仗助はぐっと顔を逸らす。
承太郎に頭を冷やせ、とスタンドで1発ブン殴られた後も仗助の目は変わらないまま。
「ジジイがなまえを念写した。」
「これって...」
「、....!」
なまえがどこかに横たわっているように見える。それも、見えるというのはなまえの顔から下の体には黒い雲のような靄がかかってうまく確認できない。なまえの白い手が、顔の横に、床にひたりとついている。
「なまえさ、」
「....なまえは恐らくこの杜王町にいる。スタープラチナに調べさせよう」
仗助は立ち尽くしたまま手にとった写真から目が離せなかった。
....なまえさん。
なまえさん、なまえさん。
俺には分かる。何かヤバイ感じがする。背中の骨から筋まで凍えちまうようなヤバイ感じが。
今は自分のスタンド能力じゃなまえさんを探す役に立てない。
俺のせい、俺のせいでなまえさんが、もし、もし本当に居なくなってしまうようなことがあったなら?
このまま、なまえさんにもう二度と会えないとしたら?
そう思うが矢先、仗助は走り出していた。
承太郎の呼び止める声など、もう耳には入らない。誰も止められない。何も聞こえない。
仗助はもうプッツンきていた。
頭を冷やせと言われたって、冷やせるわけがない。
だってなまえさんが居なかったら、
俺には、
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