お題は診断メーカー(shindanmaker.com/125562)様より。
「もう、だめ。」
彼の姿はもう長らく見ていない。透き通った芯のある声、凛とした立ち姿、どこか儚げな表情、それから――復讐に燃える緋の瞳。わたしのなまえを呼ぶ声がする。それは彼じゃない。もう、だめなの。タイムリミットはすぐそこ。あと3秒で、銃声が鳴り響くから。
「鳴らない電話」
あいつも来れないらしい<Lルアからのメールの、最後の一文だ。右手の指先で画面をスクロールすれば、鎖がぶつかり合い小さく音をたてる。蜘蛛を捕らえ、繋ぎ止めること。彼女を解放すること。私はヨークシンの街に視線を戻す。電話はまだ鳴らない。
「ずっと触れたかった」
わたしを抱きしめるクラピカの腕は力強くて、あたたかくて、鼓動はたしかにそこで鳴っていた。ずっと、触れたかった。彼に触れて、ここに生きていることを確かめたかった。わたしは静かに目を閉じる。蜘蛛はまだ生きている。それでも今だけは、つかの間の休息を。
クラピカと蜘蛛にとらわれている少女とヨークシン