長いまつげにふち取られたアーモンドのかたちをした瞳が、1メートル程先から俺をとらえた。「おはよう」彼女のそのことばはあっというまに俺の横を通りすぎてしまって、なびく髪だけが視界の端にひっかかっている。「おい」掴んだ手首は、制服の上からだというのに想像よりずっと細かった。「どうしたの」「ゴミついてるぞ」「うそ」あたまのてっぺんの髪の毛をつまんで、そのまま、すうと毛先まで持っていって「取れた」と言ってやれば、「ありがとう」と頬を染めて彼女は微笑む。今、彼女にふれた右手から、もうなにも手放すつもりはない。
『喉から手が出る程欲しがってる事がばれたら多分逃げられてしまうんだろうなあ、と分かっているのでそんなヘマはしない』影山飛雄