きみのすきなところであいうえお!


■ きみのすきなところであいうえお!
あざとい仕草 🎩
「これで全部か」そう呟いたサボの言う通り、任務で指示されていたここら一帯の敵はすべて蹴散らしただろう。いつもの鉄パイプを握り直し、こちらへと近付いてきたサボは、「ん」と一言こぼすと共に頭を下げた。彼のトレードマークでもある大きなシルクハットはいまわたしの手に握られている。「サボさあ…」「なんだ?」頭は下げたまま、きょろりと視線だけを動かしたサボに不思議そうに見詰められる。いつもは自分の視点よりもずっと高い位置にある彼の瞳が、何だか新鮮だった。「…ほんっとズルいよね」「何がだよ、うおッ」彼が言い終える前に少しばかり乱雑に彼の頭へとシルクハットを被せてやると肩を跳ね上げながらゆっくりと頭をあげた。「あざとい…」ぼそりと呟いた台詞は聞こえていたようで、「なんだそれ」と彼はおかしそうに笑った。

いつもの癖 🍳
洗い物を終えたキッチンの、換気扇の下で煙草を蒸かすサンジくんをこっそり眺めるのが好きなのだ。敵を前にした時のキリッとかっこいい表情ではなく、綺麗なお姉さんを前にした時のデレッて緩んだ顔でもなく、この瞬間の彼はどうしようもなく素の表情な気がして、とっても好きだった。「あれ、どうしたんだい?」扉の影からこっそり眺めていたわたしを見付けたサンジくんはぱあっと表情を明るくしてこちらへ身体を向ける。「ううん、何でもないよ。サンジくんを眺めたかっただけ」実際その通りではあるしわざわざ偽ることもないだろう。本心のままそう伝えれば、彼は少し照れ臭そうに笑う。「じゃあ、今度はおれが眺めてもいい?」えっ。ぱちくりと瞬きすると優しさと愛おしさに溢れた瞳で見つめられてしまい、思わず目を逸らしてしまった。

浮かれた足音 🔥
力強く地面とブーツの靴底を踏みしめる音は、わたしにとって合図でもあった。「なーにやってんだ」コツ、と真後ろで足音が止まったかと思えば次の瞬間背後から抱え込むように抱き締められる。肩に顎を乗せて喋るものだから彼の少し癖のある髪が頬を掠め、擽ったさに身を捩る。「ふふ」「なんだよ?」「んーん、」何でもない。そう返すもわたしが笑った理由がまったくもって理解できないようで、不満そうに口をへの字に曲げていた。「好きだなあって思っただけ」なんでもないように、歌うように台詞をこぼせばぎゅう、と抱き締められる強さが増す。「…絶対ェおれの方が好きだ」まるで子供みたいな張り合い方に、またも笑いがこぼれ落ちた。

絵になる横顔 💋
高い鼻、前髪のかかった吊り気味の目、煙草を加える薄い唇、それらを含めた横顔のすべてが絵画のように美しいと思った。静かに煙草をふかすロシーの横顔を見つめていると、不意に彼の視線がこちらを向いた。「ん?」吊られた目がゆっくりと弧を描き、優しさに満ちた声音は彼の性格を表しているようだ。どうした?と紡がれた言葉に小さく首を振る。「ロシーがあまりにもかっこいいから見惚れちゃった」悪戯っぽく笑ってみせると、彼の口からぽろりと煙草が落ちていく。「あ、火」「アッッッチィ!!!」

思わぬ強気 🍳
「絶対ェ、ダメ」普段ならばわたしに対して掛けられることのない語気の強い口調に口を噤む。「…どうしても、だめ?」「グッ……だ、ダメ…」上目遣いでわざとらしく小首を傾げてみるも折れない彼の意思は思いの外強いらしい。原因というのも些細なことで、わたしの手にある少しばかりセクシーな黒い水着の着用可否についてだった。ナミやロビンはもっとすごいのを着ている。そう主張してみるも彼の返事はNO一択。「…仕方ないなあ」「! 分かってくれたかい?」「うん、サンジくんの前でだけ着る」わたしの言葉に、今度はサンジくんが口を噤む番だった。「そ、れは…」「いや?」「嫌なわけねェ!けど、その、」歯切れの悪い彼の言葉を静かに待っていると、弱々しく瞳がこちらを見つめる。「がまん、できなくなっちまうかも」我慢しなくていいのに。飛び出しそうになった言葉を押さえつけて、いてもたってもいられなくなったわたしは彼のネクタイを掴んではその唇にキスをした。

隠した弱音 🃏
深夜、近くから聞こえる苦しげな唸り声でまぶたを開いた。辺りは真っ暗で締め切ったカーテンのおかげで月の光すら見えないが、荒い息の出処はよく分かっていた。「ドフィ、」返事はない。依然声は止まず、徐々に暗闇に慣れ始めた自分の目を頼りに彼の頬を両手で包み込むと、寄せられた眉の皺が微かに薄くなった、気がする。「ドフィ…」やはり返事はない。一度悪夢を見入ってしまうと中々目覚めてくれないのは今まででよく分かっていた。「わたしが、変わってあげられたらいいのにね」この声だって聞こえてないだろう。薄く開いた唇に口付けを落として、彼の頭を抱え込むように抱き締めた。

きらめく双眸 👒
「おーーい!島が見えたぞーーーー!!」船内に響き渡る大きな声は聞き馴染んだ我らが船長の歓声で、真横でそれを浴びてしまったわたしの耳はキーンと脳内でこだまする。「ルフィ…」咎めるように名前を呼ぶも既に眼前に映る新たな島にしか目が入っていない彼からの返事はない。はあ、と溜息を吐き出すも、彼の曇ることの無いキラキラとした瞳は実に魅力的で、怒る気力すらさらっていってしまうのだ。「…島に着いたら何しようか」半ば独り言のような台詞にルフィはくるりと振り向くと、ニッと歯を見せ笑う。「おまえといっしょなら、何んでもいいぞ」なんて殺し文句。すっかり黙り込んだわたしの心情なんて露知らず、「でもとりあえず肉食いてェな」と涎を垂らす船長は楽しげに笑った。

くだらない内緒話 🍶
「おーい」船内を歩いていると突如背後から声を掛けられくるりと身体を反転させる。「シャンクスさん」名前を呼べばニッと悪戯っ子のように歯を見せて笑う姿は、いい歳だというのにそういう笑い方が似合うよな、と変に感心してしまう。ちょいちょいと右手で手招きされそっと身体を寄せれば彼はわざわざ腰を折ってわたしの耳元へと唇を寄せた。内緒話だろうか。「下着、透けてるぞ」「ヒッ!?」つう、と背中を指でなぞられ反射的に身体が跳ねる。慌てて胸を隠すように両腕で身体を抱き締めれば、真っ赤に染まる顔で後退った。「〜〜ッスケベ!!」「だっはっは!褒め言葉か?」

汚れなき誇り 🔥
エースを呼んできてくれないか?なんて、どうしてわたしに頼むんだか分からない任務を承り船内を駆け回ること暫く。「まーたこんなところで寝てる…」ようやく見つけた彼は胡座をかいたままこてんと首を曲げ、涎を垂らしながら眠りこけていた。よくそんな体勢で寝れるものだ。感心しながら彼の隣にしゃがみこむと、目に映るのは背中に大きく描かれたこの船の、家族である印。大きくて広い背中に吸い込まれるように口付ければ、ガバリとエースが頭をあげた。「…いま、なんかしたか?」寝惚けているのだろう、ぽやりとした口調はなんだか可愛くて、笑いながら首を振る。こてんと不思議そうに首を傾げる彼に愛おしさが堪らず、今度は不意打ちで、その唇にキスをした。

恋する君 🍳
「ぬわあんて素敵なお姉さまなんだ〜〜♡」でれっと鼻の下を伸ばし目からハートマークが飛び出すサンジくんの姿というのはすっかり見慣れた姿だった。サンジくんの視線の先を辿り見れば、うーん確かにナイスバディなお姉さま。同意するようにうんうん頷いていると隣のサンジくんはもう別の女性に目移りしていた。だけどその横顔が心底幸せそうなので、ふふふ、と思わず笑いが漏れる。「どうしたんだい?」突然笑い始めたわたしを不審に思ったのかきょとんとした表情で首を傾げたサンジくんにううん、と首を振る。「恋するサンジくんは素敵だなあと思っただけだよ」微笑みを湛えながらそう返せば、隣の彼はしんと静まり返ってしまった。サンジくん…?名前を呼ぼうと彼の顔を覗き込んでハッと息を呑む。「おれが本当に恋してんのは、君なんだけど」瞳の奥に燃え盛る火傷しそうなほどに熱い眼差しを向けられて、わたしは一体どうしたら。