ワンピ+ まとめ


■ お疲れ、ダーリン
🚬 「…少し寝る。20分したら起こせ」朝、いつもより少し早めに執務室の扉を開くと、今にも人を殺しそうなほどに険しい顔をしたスモーカーさんと目が合った。わたしの顔を見て数秒考え込んだ後、ようやく窓の外に陽が昇っていることに気がついたのか、「もうそんな時間か、」と呟き、冒頭の台詞を残して仮眠室へと姿を消した。ここ最近度重なる事件の事務処理に追われているのだろう、暫く彼を執務室の自席以外の場所で見掛けていない気がする。すっかり煙が篭ってしまっている部屋を換気のためにと窓をあけて、せめてもの助けになればと珈琲を淹れる。仕事を代わってあげられるといいのだが、如何せん下っ端のわたしにできる仕事なんて限られている。山積みになっているあの書類の束たちもわたしが読んだところで対処できないものばかりだ。不甲斐ないなあ、と溜息をひとつ零して時計を見ると、そろそろ彼の残していった時間が過ぎようとしていた。「スモーカーさ、」控えめに仮眠室の扉をノックして声を掛けようとし、口を閉ざした。簡易ベッドに横になる彼の眉間には寝ているというのにしっかりと皺が刻まれていて、思わず笑いが漏れる。バレないよう、ゆっくりひっそりその眉間へと手を伸ばすと、「寝込みを襲うとはいい度胸だな」「ひえッ」触れるより早く彼の瞳とかち合い、慌てて伸ばした手を引っ込めた。「お、起きてたんですか…」「仮眠だと言っただろうが、お前が入ってきた時から気付いていた」頭を掻きながら上半身を起こしたスモーカーさんを、いまだバクバクと暴れる心臓を押さえつけながら見守っていると、ベッドからおりた彼は眉間を押さえ呟いた。「そういうのは起きてる時にしろ」「…スモーカーさん寝惚けてます?」「うるせェよ」ごつん。わりと力の入った拳を脳天に喰らい涙目になってしまったが、背中越しに見えるほんのり赤く染った耳に、再び笑いが盛れてしまうのだった。

🐯 「キャプテー、ン…?」そろそろ次の島につくことを報告しようとキャプテンの部屋を尋ねると、そこにはソファに腰掛け本を片手に居眠りする彼の姿があった。うわあ珍しい。足音を立てずゆっくりと彼のそばに近寄るも、そのまぶたが開かれることは無い。彼の目の下にある隈を見てわかる通り、普段から睡眠は少ないひとだけれど、ここ最近は更に睡眠の時間を削っていたみたいだ。ほんの少しの悪戯心、更に距離を詰めて、恋人である彼の頬に自分の唇が触れる瞬間、ガシリと頬っぺたを片手で挟み込むように掴まれる感覚。「ギャーーッ!!」「………」前触れが無かったもので、これでもかと悲鳴を上げれば、キャプテンの眉間にぐぐぐと皺が寄る。「………」「きゃ、キャプテーン…?」これは完全に寝惚けてる。ぼうっとこちらを見詰める彼の顔の前でてのひらをひらひらと振ってみるも反応は無し。すると突然わたしの頬を掴む手に力が入り、彼の方へと引き寄せられると思えばそのまま唇に噛み付かれた。揶揄ではない。噛み付かれた。がぶりと勢いよく食べられた唇を労わるようにべろりと舐められ、動揺しているうちに薄い舌は口内へと侵入してくる。突然のことに混乱と動揺、息苦しさに涙をうかべること数分、突然パッと手を離したキャプテンは怪訝そうな表情を見せた。「…お前、なんでここにいるんだ」「いま!?!」息も絶え絶えなわたしを見てそう呟いたキャプテンに、今後はもう絶対寝ているところには近付かないと心に決めたのだった。


■ 女の子とデート
・困るたしぎちゃんを連れ出してパンケーキを食べに行きたい 「私こういうところは…」って腰が引けてるたしぎちゃんを引っ張っていっしょに甘いもの食べて紅茶飲んで嬉しそうな顔を見せてくれたらそれだけでもうOKです
・ナミさんに手を引かれてお洋服買いに行きたい 「私は高いわよ?」 って言われながら見立ててもらいたいし真剣に選んでくれるナミさんの横顔見て拝みたい サンジくんといっしょに拝む
・コアラちゃんと恋バナしたい〜〜…談話室なんてあるのか知らないけど談話室とかで休憩がてらあの人がかっこいいあの2人付き合ってるらしいよ前立寄った島で見掛けた男の人が素敵だったみたいなたわいない話をキャッキャしたい アイツら楽しそうだな〜って遠くから眺めるサボさんがいる


■ 今夜どうでしょう?
🔥 燃料や食糧調達のためにと停泊した島で、嬉嬉として船を降りていく船員たちを見送ったのは数時間前のことだった。今頃各々がやれ酒だ女だと大いに楽しんでいることだろう。そんなわたしは、酒場と所謂大人のお店しか空いていない夜の街にはさして興味がなく、こういった夜は大抵船の自室でのんびりと過ごしていた。普段は夜でもガヤガヤと騒がしい船内が嘘のように静かで、実はこの時間を気に入っていたりもするのだ。しかしそんな束の間の静寂は聞き覚えのある足音で終わりを告げた。コンコン。ノックされた扉を見詰めて、手に持っていた本を脇のテーブルへと置く。「エース?」「おう、入っていいか?」扉越しに掛けられた声に承諾すれば、顔を覗かせたのは予想通り、お付き合いしている彼氏の姿があった。彼も他の船員たちと同じく街へと繰り出したはずだが、お酒の匂いもしないし素面のように見える。「遊んでこなかったの?」「あー…いや、」何だか歯切れの悪いエースはふいと目を逸らし何やら口篭っている。「エース?」「…なんか、お前が恋しくなった」「え」視線の先へ回り込むように顔を覗き込めば、ほんのり染まった頬で突如落とされた爆弾。部屋に入ってすぐのところに立っていたエースは、わたしの動きが固まったのを見るや否やずんずんと距離を詰めてくる。「ちょ、っと」本当に素面なのか?無遠慮に引き寄せられる腰に慌てて静止の声を掛けるもそんなことは露知らずと、空いた手で覆うように耳を撫でた。「なァ、いいだろ」耳元で囁かれた熱っぽい台詞は訊ねておきながらも返事を聴く気など更々無さそうで、せめてもの抵抗に悪態吐いてやろうと思った言葉は直ぐ様送られた噛み付くような口付けに呑み込まれてしまった。

🎩 この男との付き合いも短くはない。それは付き合う前も付き合う後も同じことで、お互いの癖なんかとっくに把握しているほどである。だから勿論、彼のこの行動にもその先にどんな意図が込められているのかわたしは十二分に理解してしまっていた。普段からあちこちに行ったり来たりしているこの革命軍にしては珍しく暫く長期の任務も無く、今日も穏やかな夜を過ごしていた。同じ部屋にこそ居るものの片や仕事の資料を、片や趣味の読書をと、静かな部屋には紙を捲る音だけが響く。しかしその邪魔をしたのは本を持っていない空いた手の甲を人差し指でなぞるサボの行動だった。ちらりと横顔を盗み見るが彼が資料から目を離すことは無い。わざわざ指摘するのも何だか癪で、咎めることなく好きなようにさせていれば指は徐々に手の甲から手首、更に上へと隙間から侵入しようとしてくる。「…サボ」これはまずい流れだ。流石に耐えかねて名前を呼べば、隣に座っている男はなんでもないように「ん?」と視線をこちらへ投げかけた。「集中できないんですけど」「あァ、わざとだからな」しれっと告げたサボに言葉が詰まる。こういう男なのだ、こいつは昔から。資料をテーブルへと置いたサボは元より近かった距離を更に詰め、頬を包むように手を添えた。「ちょっと…!」今日はそういう気分じゃない、咎めるように飛び出した言葉を分かっていたとでも言うように彼の声が重なる。「ダメか?」伺うようにじっと見つめるその瞳にわたしが滅法弱いということを、この男は知っている。ダメだ、と返すはずの言葉が喉元で詰まったのを確認して、サボは緩く口角をあげると啄むようにキスをした。


■ 些細なことで喧嘩する
🎩 「わかった、お前がそういう態度ならもういい」呆れとか怒りとか、やり切れない色んな感情を詰め込んだ声音でそう言ったサボに、口を噤む以外できることはなかった。あちこちに包帯を巻いたわたしを背にして医務室を出ていった彼を追い掛けるどころか呼び止めることさえできない。先の戦闘で、聞いていた以上の数の敵と遭遇して、仲間を逃がすためにわたし自身が囮になった。結果逃がした仲間が呼んでくれた応援のおかげであの場を乗り切れたのだし、わたしは自分自身の取った行動に後悔はしていない。だからこそ、わたしを心配するが故の彼の厳しい言葉を素直に聞くことができなかった。心配してくれてありがとう、ぐらい言える可愛げがあればよかったのか。行かないで、って裾を引き涙を流せる女だったら違っていたのだろう。真一文字に結んだ口は頑なに開いてくれないし、床を見つめる瞳は決して潤みはしない。どれぐらいの時間が経っただろう。数分かもしれないし、数時間かもしれない。ぐるぐると頭の中で回る負の感情を閉じ込めておくには息苦しくて、重い身体を引きずって椅子から立ち上がり医務室の扉に手を掛けると、すぐ目の前には出ていったはずの男が立っていた。「…サボ、」するりとその名前が口から零れ落ちたが、それ以上続くことは無かった。自分でも思う、酷い強情だ。あの行動に恥じることは無いと思ってはいるが、なんとなく気まずくて視線を下げると、頭上から声が落ちた。「…悪い、言い過ぎた」冷静な声音と口調は、わたしなんかと違ってとっても大人な対応だ。「確かにお前の取った行動も手段のひとつだった。おれはやっぱり…納得はできねェけど、それでもあの状況下でよくやってくれた」静かな声で淡々とそう言うサボは、それに、と言葉を続ける。「何よりも、無事でいてくれて良かった」最後は噛み締めるように感情の篭った言葉を聞けば、先程までは頑なに緩まなかった涙腺が箍が外れたようにぼろぼろと涙がこぼれ落ちる。「心配かけてごめん、ありがとう」ぼたぼたと地面を濡らす涙を拭うこともせず震える声で伝えれば、目の前のサボは困ったように、だけどこれ以上ないほど優しい瞳でわたしを見つめて、「当たり前だろ、おれの大事な女なんだから」と呟いて、彼のコートの裾が濡れることも構わず涙を拭ってくれた。


🌷 きっかけは本当に些細なことだった。普段ならばこんな理由でここまでの大喧嘩にはならない、というよりも、そもそも口論になってしまう前にわたしが折れてしまうから。キッドが激情家であることはよくわかっている。だから普段何を言われたって特別真に受けることはないのだが、頭に血が上っているいま、うまく受け流すことができなかった。「アァ!?ッゼェなァ!テメェの顔なんざ見たくもねェ!」ついさっきまであんなにも身体中が熱かったのに、急激に冷めていく感覚がした。「…わかった」何とか絞り出した言葉は可愛げのない声音と言葉で、奥歯を噛み締めて、できるだけ足早にその場を去る。自室に戻る気分じゃなくて、でも人には会いたくなくて、人気の少ない倉庫で膝を抱えて蹲る。ひとりになるとだめなことばかり頭に浮かぶ。あんなこと言うつもりじゃなかったのにな。可愛げのない女だと思われたんだろうな。…もう、嫌いになっちゃったかな。こんな些細な喧嘩で関係が切れるほど付き合いが短いわけではないけれど、それでも嫌な方へとゆっくり考えは傾いていく。船を降りろなんて言われたら、どうしよう。徐々に網膜に涙が溜まる感覚に、ぎゅっと唇を噛み締めると、不意に影が落ちた。「………おい」ぶっきらぼうな声音は、顔を上げなくたって誰だかわかる。そうでなくともきっと今のわたしは可愛くない顔をしているから、顔を上げたくはなかった。「アー…悪かった、」端的なそれに主語は無いが、慎重に言葉を選ぶような、覇気のない声音にぐっと目頭が熱くなる。しかし尚も顔をあげないわたしに痺れを切らしたのか、もう一度、「おい、」と声を掛けられると大きなてのひらで頬を掴まれ顔を上げられた。触れる手つきがいつもより控えめなことにも彼のなけなしの気遣いが感じられる。が、顔を上げたわたしの瞳からとめどなく溢れる涙にぎょっと顔を強ばらせたキッドはピシリと身体を固まらせた。ああ、困らせてる。「ッごめ…、すぐに止める、から」慌てて両手で目を擦ろうとすると、頬を掴んでいたキッドの手がそれを防ぐ。「跡になるだろうが」低く唸るような声で顔を顰めた彼は、その表情に反して優しく濡れたわたしの目元に口付けを落とした。


🍶 「可愛いお嬢さんは何をそんなに怒っているんだ?」「あら、聞いてくれる?愛しのダーリンが浮気したのよ」「そりゃ酷い男だなァ。そんな男やめておれにしときな」芝居がかった台詞と共にあっけらかんとそう言った男を、キッと睨みつけた。「あんたのこと言ってんだけど」わたしの鋭い視線を受け肩を竦めたシャンクスは眉を下げてわたしの腰へと右腕を回した。「悪かったって、なァ、機嫌を治してくれないか?」腰を引き寄せられることによって近付いた彼との距離を離すように厚い胸板に手を置き突っぱねようとするも、彼の腕力によってそれが許されることは無かった。腹いせにともう一度睨み付けるも、堪えていないように見える。「わたしの機嫌を取る暇があるなら昨夜の綺麗なお姉さんに遊んでもらえば?」刺々しい声音と台詞は可愛げの欠片もなくて、自分自身でも嫌になってしまう。昨夜、お酒で気分が良くなったシャンクスがお店のお姉さんの腰を抱いて侍らせていた。お姉さんはお仕事で、そしてシャンクスはそのお店のサービスを受けているだけ。わたしに言えないような疚しい行為もしてないだろう。彼が本心で浮気しようとしているだなんて思っていないけど、彼の隣に並ぶ美人なお姉さんを見ると、ちっぽけな自信がしおしおと枯れていく音がする。やっぱり周りから見るとわたしなんか釣り合ってないんだろうな。胸に押し寄せる不安をこんな形でしか表せないのだから、本気で愛想を尽かされるのも時間の問題かもしれない。ひとり、自己嫌悪でぐずくずと負のスパイラルに陥っていると腰に回されていた腕がゆっくりとあがってきて、頭を撫でそのまま頬を包み込むようにてのひらを添えた。「不安にさせて悪かったな」見惚れるような赤い瞳には甘くて優しい色が滲み溢れていて、思わず溢れそうになった涙を堪えるとそれを隠すように彼の胸に顔をを押し付ける。「…次は許してあげないから」相変わらず可愛くないわたしの言葉を聞いたシャンクスは宥めるようにわたしの頭に手を添えた。



■ いっしょにかえろ(aohr時空)
・放課後、校門の前で待ってる他校の🎩くん
«門の前で待ってる» スマホに表示されるたったいま受信された文字を視線でなぞれば一拍置いて、がたりと椅子から立ち上がった。「ええっ!?」ぱちくりと目を白黒させる友人を横目に慌てて窓へと寄って見下ろせば、そこには確かに金色の髪が目に入る。今日、約束してなかったのに。「うーわ。でた、イケメン彼氏」友人の揶揄う声を聞きながら「ごめん、先帰る!」と一言残して教室を出るとひらりと手を振られた。廊下を駆け抜け階段を飛ぶように降りれば先生の注意も適当に聞き流して急いで正門へと向かう。履き潰されたローファーを更に踏んづけて昇降口を突っ切った。「サボ!!」大きな声で名前を呼べは、数メートル先にいた彼は手元に落としていた視線をこちらへと向けて、にかりと笑う。「早かったな」「は、早かったな、じゃない、よ!」今日、予備校って言ってたのに。そう続けたかったんだけど、全力で校内を駆け回ったことにより体力が底をついていて、息切れが邪魔をしてうまく言葉が口から出ていかない。しかしそれを察した彼は先回りするよう口を開く。「急遽休みになった。最近一緒に帰れてなかっただろ?」胸を押さえて呼吸を整えていると楽しそうに笑いながら差し出される男の子らしい大きなてのひら。「今日はデートして帰ろうぜ」滴り落ちてくる汗を手の甲で拭って、彼のてのひらを取る。離さないとでもいうように力強く握りしめられたそれに嬉しくって笑いを零せば、さあ今日はどこにいこう。

・日直の仕事が終わるまで待ってくれてる🔥
「なァ、まだ終わんねーの」「んー、もうちょっと」わたしのひとつ前の席に跨るように後ろ向きで座ったエースは頬杖をついて日誌にペンを滑らすわたしの顔を覗き込んだ。もうひとりの当番の子がすっかり仕事を忘れて帰っていったものだからこの教室にはわたしとエースのふたりだけで、静かな教室にはシャーペンの滑る音と窓の外から聞こえる部活動に励む生徒の声だけが響く。日直の仕事もこの日誌を書き終えればすべて終了、最後の欄に差し迫った時、不意にエースの指がペン先に触れた。「あ!なにしてんの」彼の指に行く手を阻まれてしまったせいで言葉になりきれなかった文字の羅列が無意味に並ぶ。批判の意を込めて彼の顔を見つめれば、ばちりと合わさる視線。「あー…いや、」歯切れの悪い彼の台詞を無言で促せば、軽く眉を寄せ、ふいと視線を逸らす。「…早く帰りたいんじゃなかったの?」急かすものだから、そう思っていたのだが。彼の真意が分からず机の上に放り出されている左のてのひらに触れると、捕らえるように握りしめられる。「そう思ってたんだけどよ、」一拍置いてまたゆっくりと逸らされた視線が交わり合う。「やっぱりもうちょっとだけ、ふたりきりの時間を味わいてェ」は、と息が止まるような感覚。好きだと、愛おしいと雄弁に語る彼の瞳があまりにも一直線で、拒む言葉なんてひとつも見つかりはしなかった。

・毎日図書室で待ち合わせする🐯さん
時刻は午後6時を過ぎた頃、最終下校時刻も間もなくといったところで部活動を終え門へと足を向ける生徒の波に逆らいわたしは図書室へと駆け込んだ。「ごめん、お待たせ!」「うるせェ」わたしなんかには到底理解できない分厚い本を読んでいたローは眉を顰め呟いた。「いーじゃん、もうローしかいないんだからさ」そのわたしの言葉の通り図書室には既にわたしとロー以外人は残っていない。ローに鍵を預けて当番の子達も既に帰ったのだろう。深い溜息を吐きながら栞を挟み本を閉じたローは椅子から立ち上がると本を鞄に仕舞い図書室の鍵を手に持つ。「さっさと帰るぞ」「はーい」彼の後ろに続くように意外と大きな背中を追って、誰も見ていないのをいいことに鍵を持っていない方のぶらりとさげられた空いた左手を掴んだ。彼からの反応はない。されるがままのローは普段通りで、振り払われないならばとそのままぎゅうと握りしめる。図書室の鍵を閉めて、職員室横に鍵を返して、昇降口へと向かうにつれ人の声が聞こえてくる。ああ、ここまでかな。人の影が見える前に握り締めていた左手を離そうとすると、離れていくよりも先に大きなてのひらに絡め取られていた。「な、なに、」驚きと羞恥で見上げると、にやりと意地悪な顔。「繋ぐならこっちにしろ」目を細めて満足気に笑いながら絡めた人差し指で手の甲をなぞってくるものだから思わず小さく悲鳴が零れる。そんな反応に更に機嫌を良くするものだから、こっちはたまったもんじゃない。「ローのばか!」悔し紛れの悪態も、機嫌の良さそうな彼にとっては堪えるものはなさそうなのだった。



■ プレゼントは わ、た、し♡
👒「???」目の前の彼はというと首を傾げてきょとーん。ノリノリでポーズまで付けてしまった手前、羞恥がじわじわと込み上げる。「…ナンデモナイデス」しおしおと萎んでいく声と徐々に下がっていく頭。やらなきゃよかったな〜!?なんてひとりで悶えてると突如ギューッと抱き締められる感覚。「今更プレゼントなんてされなくても、お前はおれのモンだろ!」船長からの満面の笑みと共に盛大なおれのモノ宣言に爆発してしまいそうなほど真っ赤に染まってしまう。

🍳 「………??」めろめろりーん♡って反応を期待していたのに、目の前の彼はしんと静まり返ってしまった。サンジくん?名前を呼ぼうと顔を覗き込んで、悲鳴。「ギャーーッッ!さ、サンジくんが死んじゃう!!」いっぺんの悔いなしと言わんばかりの穏やかな表情で鼻血を垂らし続けるサンジくんの元に慌ててチョッパーを引きずり連れてくる図。

🌷 「………」「あ、アレレ〜…」てっきり凄まれるかと思ったが、予想に反して黙りこくってしまった相手に首を傾げる。うん?何だか嫌な予感がしてきたぞ。「じ、じょーだ、んぐッ」冗予感が現実になってしまう前に逃げるが勝ちだ!なんて後退るも時すでに遅し。大きなてのひらで頬を鷲掴みにされ逃げ場を失った。「テメェ、」地を這うかのような低音にぞくりと背筋に汗が伝う。「言ったことには責任取れよ」あ、やば。獣を思わせる赤い瞳に吸い込まれそうだなんて考えていると、ぱくりと唇を食べられた。

🎩 「じゃあ遠慮なく」「え」なーんちゃって♡と付け足す前にガシリと掴まれた腕に冷や汗が垂れる。「ああああの総長、これは実は冗」「冗談、なんて言われたら、」わたしの慌てる言葉を遮って、言い聞かせるようなゆっくりとした口調は恐怖を煽る以外の何物でもない。「お前をどうしちまうか分かんねェ」「脅し…!?」その日、革命軍本拠地の廊下にはニッコリと笑顔を浮かべた総長に引き摺られるわたしの目撃情報が多発した。

🔥「な……えッ、はァ!?」驚きの表情を浮かべてから、ゆっくりと言葉の意味を咀嚼し理解した後に赤く染まる顔。予想と違わぬ反応に大変満足。「なーんてね!期待した?」ケラケラと笑って揶揄ってやればエースはムスッと眉を寄せる。見た目の割に可愛い反応するんだよなあなんて頬を緩ませていると、不意に顔の横に腕が伸びてきた。「わッ!」「言っとくが、」所謂壁ドン。まさかされる側になるなんて微塵も思っていなかった、なんて冷静な思考のままそろりと視線をあげると、ぴしりと身体が固まる。「好きな女にこんなことされて冷静でいられるワケねェだろ」欲を湛えた燃える瞳と噎せ返るほどの雄の匂いに、ひくりと喉が引き攣った。

💋ドンガラガッシャーン! 「熱ッ!?」派手に椅子から落ちたロシーは火のついた煙草を落として転げ回っている。もはやこの光景に慣れてしまったなんて不思議にも程があるが、ぱたぱたと消火活動を行うこと数分後。「大丈夫?」床に座り込んでぜーはーと息を荒らげる彼の隣にしゃがみ顔を覗き込むと、勢いよく腕を引かれ彼の逞しい胸の中へとダイブする。「わぶッ!な、なに!」固い胸板に鼻を打ち付けて、慌てて顔を上げるとぴたりと合う瞳。その瞳があまりにも真剣で、続けるはずの言葉は萎れて消え去ってしまった。「ホントにもらってもいいのか…?」瞳同様真剣そのものの声音にぎこちなく頷くと、待てないと言わんばかりに大きな身体が重なった。

🚬「…馬鹿言ってんじゃねェ」視線も寄越さず、はあ、と大きな溜息を吐いた彼に唇を尖らせる。しっかり予想はできていた反応ではあるが、だからこそつまらない。「もうちょっとなんかないんですかぁ」頬を膨らませ抗議の声をあげれば、スモーカーさんはちらりとこちらを見た。相変わらず眉間に寄った皺をじーっと見つめていると、わたしの膨らんだ頬を潰すように片手で掴んだ。「ぷすー…」力に抵抗せず頬の空気を抜けば、くっ、と小さく笑いを零す声。「…そういうのは家帰ってから言え」「えっ」ぽつりと落とした言葉を聞き返す暇もなく、彼の大きなてのひらは離れていってしまった。

🍶「ほーう」右手で顎を撫でながら意味ありげに上から下まで視線を滑らせてニヤニヤと笑うシャンクス。そこまでじろじろと見られると、なんだか居心地が悪くなってしまう。「…えっち」反射的に身体を隠すように胸の前で手を組めば、楽しげに、そして豪快に笑う声。「そんな男に惚れてるくせになァ」くつくつと喉で笑う姿は確かに誰よりかっこよくて、彼の言う通りわたしはベタ惚れなんだろう。悔しいけど何も言い返せなくて黙りこくったわたしに、シャンクスはやはり楽しそうに笑って、啄むような口付けが降り注いだ。