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鏡の中のパラディスス あらすじ
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鏡の中のパラディスス あらすじ
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鏡の中パラディスス 緑間長編 あらすじ 01. 男子バスケットボール部の更衣室。全身の映る鏡の向こうに、ある日突然知らない風景が写った。更衣室にいるのは一人居残り、シュート練習をしていた緑間だけ。その向こうには秀徳のものではない図書室と、静かに椅子に腰掛け本を読む少女の姿があった。 着替えの途中で急に鏡の向こうの図書室が現れ、少女と目が合った。驚いて声も出ない少女と、焦る上半身裸の緑間。 「!?す、すまない…!」 「…!?い、いえ、大丈夫です…、!?」 暫く言葉を交わしていくうちに、少女がいるのは秀徳高校ではないし、緑間は少女の高校を知らず少女も秀徳高校を知らないという矛盾した状況であるということが明らかになる。 毎日遅くまで練習する緑間と、遅くまで図書館で本を読んでいる少女。緑間と少女がお互いその場所に一人だけでいるときに起こるその現象。短い時間ではあったが、言葉を交わし心を通じ、二人は楽しんでいた。 そしていつの間にか、この世界に存在しないかもしれない相手に、恋心を抱いていく。 02. 次の週。また会った二人。鏡は通り抜けられることが判明。少女が更衣室にやってくる。 「……ここ、男子更衣室だよね…。私来ちゃっても平気…なのかな?」 「問題ないのだよ。部活の連中は今日ここに来ることはないし、現に俺しかいないからな。」 「でも、緑間くんが着替えてないんじゃ…」 「……。」 「あ…、もしかしてまだ練習前だった…?ご、ごめん、私が早く話しかけちゃったから…」 「…ま、待て。確かにそうだが、何も帰ることはないだろう!」 急いで鏡をくぐろうとする少女の腕を思わず掴んで引き止めた緑間は、僅かに逡巡したのち練習を見ていかないかと持ちかける。 ひたすら3Pシュートを撃つ緑間と、静かに見ている少女。わずか10本程度のところで、緑間は後ろで見ていた少女を振り返る。 「退屈ではないか?」 「ううん、全然。すごいね、全部入ったね!」 「人事を尽くしているからな。それに、今日のおは朝占いも3位と好調だから、オレのシュートが落ちるわけがないのだよ。」 「おはあさうらない?」 「おは朝を知らない…?……もしや、お前のところではおは朝がないのか?」 「うん、そうかも…。なあに、それ?」 「早朝から8時前にかけてやっている朝の情報番組だ。6時前、7時前、8時前に星座占いをやっているのだよ。」 「ああ!私の方にも似たようなのある!緑間くん、見てるんだ。」 「ああ。ラッキーアイテムも必ず携帯するようにしている。ちなみに今日のラッキーアイテムはインコのあみぐるみだ。」 「あみぐるみ!?持ってきてるの!?」 「勿論だ。ほら、」 「わ、可愛い!」 「(可愛い…)」 「……ふふふ、」 「……何だ、」 「ううん、なんか楽しいなって思っただけ。」 「……そうか、…それはよかった」 自分のあみぐるみを持って微笑む少女を見て、今までにない感覚に包まれる。今日のおは朝の「運命の相手が見つかるかも!」という言葉が急に蘇る。この少女はオレの――? 03. その日のおは朝のラッキーアイテムは恋愛運向上を謳ったものだった。疎いなりにも、少女との会話を楽しみ、愛おしいと思うこの気持ちが恋愛だと気づいている緑間は、いつものようにしっかりとアイテムを用意して学校へ向かった。 偶然おは朝占いの蟹座を見ていた高尾は、以前の緑間だったら無縁のはずの恋愛運向上アイテムを律儀に持ち歩いていることに気づく。 「あっれー、真ちゃんどしたの!?それ、」 「今日のラッキーアイテムなのだよ。」 「いやいやいや、そんなの見りゃわかるって。そーじゃなくてさ、今日のラッキーアイテムってさ『蟹座の人はコケシで低迷した恋愛運を補正してねっ!』ってやつだろ!?」 「ようやくお前もおは朝を見るようになったか。」 「いや、そこじゃねえって!真ちゃん、いつもだったら恋愛運はオレに関係ないのだよとか言うだろ!?何で今日はそんな律儀に薄気味悪いコケシなんて持ち歩いちゃってるわけ!?」 「……愚問だな、おは朝のラッキーアイテムは絶対なのだよ。」 高尾は、緑間に想い人が出来たのだと確信する。 その日も練習後に一人鏡の前に立つ緑間。いつの間にか現れた図書館にいる少女は、今日は勉強をしているようだった。今回は緑間が鏡を通り抜けて勉強を教える。想いを伝えてもいいのか、伝えたところで何が変わるのか。緑間の悩みは深まる。 04. 翌日。通常の部活の後の居残り練習が終わって着替えの途中。高尾と話している途中に、高尾の背後の鏡をさりげなく気にする緑間。そこにはどこか切なく僅かにもの欲しげな顔をした自分が映るのみだった。 高尾は、その表情に、そして緑間が鏡で外見を気にするような人間とも思えず、違和感を覚える。 05. 休み時間。高尾が急に緑間に小さい何かを手渡した。縁結びのお守りだった。 「……なんなのだよ、これは」 「餞別。妹ちゃんの修学旅行のお土産でもらったんだけどな。お前にやるから。有り難くうけとっとけよ。」 「意味がわからん。」 「え、アタマいい真ちゃんが餞別の意味知らねーの?」 「そうではない!何故お前がオレにものを寄越すのか理解できかねると言っているのだよ!」 「ははーん、オレが気づいてねえとでも思っちゃった?」 「何が、」 「だから、餞別だって言ったろ?今日、蟹座一位なんだし思い切って告白しちゃえよ!」 「……」 「『何故わかったのだよ』ってか?バレバレ。てか、毎日恋愛運アップアイテム持って辛気臭い顔見せられるこっちの身にもなれっての。…で、何で悩んでるわけ?」 「……」 「その子と仲いいのか?」 「……悪くは、ない…と思うのだよ」 高尾は驚いた。まさか緑間が自ら話し出すとは。 「よく喋んの?」 「……ああ」 「その子、真ちゃんのことどんくらい知ってんの?」 「……バスケ部だということくらい…だろうか」 「んじゃあまずそっからだろ。お前のこと知ってもらうんだよ。」 「……」 「んで、真ちゃんがおは朝信者で毎日変なグッズ持ち歩いてて変なこだわりありまくりで超プライド高いヤツだって知って、そんでもまだ仲良くしてくれてるんなら絶対脈アリだから!」 「…お前は助言をしたいのか貶したいのかどちらなのだよ…。」 「助言に決まってんだろ。いっつも不遜な顔してるお前がしけた顔してるとこっちの元気まで吸い取られんだよ。」 「うるさい。」 緑間は逡巡する。おは朝については以前説明したはずだし、会うたびにその日のアイテムの話になって少女は別に引くでもなく楽しそうに話を聞いてくれて、笑ってくれるのだ。…高尾のいうように、脈あり、なのだろうか。 「…高尾、」 「ん?なんだよ?」 「……フン、感謝をしてやらんこともないのだよ」 06. 次の水曜日。また緑間のバスケが見たいという少女を連れて、緑間は3Pシュートの練習をしていた。ボールのかごからボールを一個とってテンテンとバウンドさせる少女。緑間はバスケというよりそれが鞠つきにしか見えないと思いながら、口を開く。 「○○、」 「あ…もしかしてうるさかった…?」 「そうではない。3P、練習してみないか?」 「え、私が?」 「そうだ。…体育の授業でバスケをやると言っていただろう。3Pが出来たらお前の“壊滅的な体育の成績”を向上させることができるのではないかと思うのだが。」←要伏線 「でも…緑間くんの練習の邪魔になっちゃうんじゃ…」 「そんなことはない。教えることとは、 教える側も基本をさらう必要があるのだよ。それは即ち、オレの利益にもなるのだよ。」 07. 今週の水曜日も旧校舎の片付けをしたあと、一人居残り練習をする緑間。更衣室の鏡に映し出された少女は、机に突っ伏して寝ていた。静かに少女に近づいた緑間は、恐る恐る髪をすいて頭を撫でる。緑間は、自分のジャージを脱いで彼女の肩に掛け、開かれたままになっているノートの端に走り書きをして帰った。 07. 次の日、ジャージを無くしたと言い張る緑間と怒る先輩。 「片付けとかめんどいし早く終わって欲しいんすけど…あとどんくらいかかるんすかね?」 「あと少しだと聞いたが。あとは最上階の旧図書室と旧被服室のものを運んだら終わりらしい。」 「めんどくさそうなとこばっか残ってんな。」 あと少し。そんな高尾と大坪、宮地の声が聞こえる。鏡に寄りかかって本当に面倒そうな顔をしながら文句をいう宮地。そうだ、この片付け作業が終わって水曜日に通常練習が戻ってくれば、この更衣室に一人でいられることは稀になる。そうしたらあの少女と会える機会も極稀になるということだ。 あとどれくらいで終わるのか、それはあの少女にも伝えなければならないことだ。だが、到底そんなことを言えるはずもない。わいわいする部員たちを尻目に緑間は更衣室をあとにした。 10. 毎週水曜日の後に様子がガラリと変わる緑間に気づいた高尾は、渋い顔をする緑間を押し切って水曜の片付けのあとの練習に同行することにした。緑間も、チームメイトが練習すると前向きに意気込んでいるのを止めることなどできない。 練習には特に変わった様子が見られず何が原因なのかわからない高尾は、ふと以前、緑間が鏡を気にしていたことを思い出す。確信もないまま、更衣室に緑間一人を残して部屋を出る高尾。すると、突如緑間が一人で話し出す。男子更衣室のはずが、何故か女子の声も聞こえる。電話だったら相手の声が聞こえるはずもない。何事か理解できない高尾は、焦って部屋に入る。着替え終えてベンチに向かって立っていた緑間が驚いた顔でこちらを向く。緑間以外、そこには誰もいなかった。 11. 緑間視点。 さっさと着替えて荷物も置いたまま何故か更衣室を出て行った高尾を見送ってすぐ、緑間は鏡に目をやる。瞬時に映し出される鏡の向こうの世界。いつも椅子に腰掛けて本を読むか勉強している少女は、今日は鏡の前に立っていた。高尾の存在も意識から消え去り、少女のもとに駆け寄る。 「……○○、…今日は本を読んでいないのだな」 「、緑間くん。…あのね、早く会いたくて、待ってたの」 「…、待たせたか?」 「ううん、鏡の前に立ったらすぐ、緑間くんが見えてびっくりしちゃった」 「ふ、そうか…」 無意識に目下の少女の頭に手を伸ばすが、冷たいガラスに阻まれた。 「…、!?」 「……あれ…?」 「…何故だ…!?」 「あ、もしかして今日はお友達と一緒に練習?」 「…!!高尾、」 少女は後ろのベンチを指差して言った。急いで振り向くと、そこには確かに自分のカバンの隣に高尾のカバンが。 「(通り抜けられないのは)だからかな…?でも、バスケ部って緑間くんだけじゃなくてお友達もこんなに遅くまで頑張って練習してるんだね。」 「そうだな。狙うは日本一だからな。」 「すごいな…。緑間くんのそういう一生懸命なところ…私、すごく、好き。」 「、!?」 鏡の方に向き直ろうとしたその時。ガチャッ 「真ちゃん!?」 「…!!……なんだ高尾。騒々しい。」 「いや、だって…今誰かと話してなかった!?」 「……気のせいだろう。オレが独り言で会話するほどおかしな人間に見えるのか?」 「……、まあ、どっちにしろおかしい人間には変わりねーんだけどな」 「なんだと!?」 普通通りに会話できたことに安心しながら、高尾に気づかれないように静かに後ろを振り返る。そこにはただの鏡があるのみだった。 旧校舎片付けは佳境に。最上階の教室を残すところとなる。早々に片付けようと意気込むバスケ部員たちは、少女との逢瀬の日々を終えたくない故に気乗りしない緑間を連れてその部屋へ足を踏み入れる。そこは、 「大坪サン、最後の部屋ってなんなんでしたっけ?」 「先生に聞いてきたところによると、この部屋は、」 「――図書館だったそうだ」 大坪がそう言うと同時にガラリとその部屋の古い扉を開いた。 緑間には見覚えがあった。入口脇の時計、壁の掲示物、本棚の配置――少女がいた、少女の背後に見えていたあの図書館に瓜二つだった。 「○○…!!」 急に少女の名前を叫んで図書館の奥へ駆け出す緑間。驚く他の部員。 一度だけ訪れたことがあるこの図書室。一目見て瞬時に判断した緑間は迷いもなく埃だらけの広い図書館跡の中を走る。 「○○!!!!」 古ぼけているが、全身の映る、大きな鏡。そこの前に、 少女が倒れていた。いつか緑間が眠っていた少女の肩に掛けたジャージを抱きしめている。 脇目も振らずに埃だらけの床にしゃがんだ緑間が少女を抱き上げると、彼女は目を開けた。 「しんた、ろ…、くん…?」 後ろで騒ぎ出す部員たちも気にせず、緑間は少女をぎゅっと抱きしめる。
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