約束の為

ヒソヒソと何かを話す声が聞こえる。
いつもは気にならない他人の会話がやけに刺さった。

「左馬刻さんのチームの子じゃない?」

「彼、派手好きだもんね。」

「左馬刻さんがいればサポートなんて誰でもいいもの。」

私じゃなくていい。
そんな声に私は心で頷いた。

「…派手好きねぇ。」

「銃兎さん、」

「気になりますか?外野の声が。」

赤信号で足を止めた私の後ろにいつの間にか銃兎さんがいた。
彼女達の会話が聞こえていたようで
派手好きと呼ばれた左馬刻さんを思い浮かべて少し笑ってるようだった。

「普通は気になりますよね。」

「いや、」

青信号に変わって歩き出した銃兎さんにつられて私も足を進めた。
隣を歩くとまた違う声が聞こえ始める。
私の世話をしなきゃいけない銃兎さんが可哀想だって…本当に皆的確だよね。

「いくら左馬刻が決めた事でも
貴女に実力がないとわかれば賛成なんてしてません。」

溺れそうな言葉の海が広がるこの世界で
綺麗な碧を見せてくれる人がいる。
弱い自分を私の代わりに撃ち落としてくれる人がいる。
こぼれそうな程の誠意と愛を持って、待っててくれる人がいる。

「私はもっと強くなりたいです…。」

「逞しいですね。理鶯のようだ。」

可笑しそうに短く笑った銃兎さんは私の前で止まって振り向いた。
そして、

「大歓迎です。
それでこそ我々のJokerに相応しい。」

と私を讃えてくれた。

そうだ、私はQueenでもAceでもなくてJoker。
何にだってなれる。
切り札にも悪魔にもなれる。
恐がってる場合なんかじゃない。
落ち込んでる暇なんてない。
どこまでも貪欲に、全てを捩じ伏せて
行けるとこまで行ってやる。

Mad Trigger Crewのサポーターは私だ。

19.10.09
23.08.22 最終編集