仲間として

「あ、開いてる。」

事務所に来たのは久々。
空気の入れ替えなのかドアが開いていたから中に入る。

「おいっ!何勝手に入ってきてんだオラァッ!ここがどこだかわかってんのか?」

「左馬刻に会いに来たんだけど。」

「左馬刻さんの事気安く呼び捨てにしてんじゃねぇぞ!」

今日の警備係のしたっぱくんが出て来た。
これは声をかけなかった私が悪いな。

「こんにちはー、あ。」

「姉さん!ご苦労様です!」

今度は夏楠ちゃんの登場。

夏「こんにちは。し」

「姉さん気をつけて下さい!この女、左馬刻さんに近づこうと無断で入って来やがりまして、姉さんに怪我があったら大変ですからささっ!上に!」

夏「いや、あのですね、この方は」

「いいんですいいんです!ここは俺がなんとかしますから!」

夏「そうじゃなくて、」

詩「いいよ夏楠ちゃん。慣れてるから。」

「お前姉さんの事まで調べてやがるのか!」

少し来ないと若い子が増えてて入り口で止められる。
門番としては超優秀なんだけど話しは聞いてほしい。

「おまっ、バカバカバカ!姐さんは左馬刻さんのしr」

左「オ゛イッ。俺様の客に失礼な態度取ってんじゃねぇぞ!」

「「ヒィィッ!申し訳ありませんっ!!」」

違うしたっぱくんが急いで出て来てくれたけど左馬刻も降りてきちゃって大惨事。
ま、いつもの事なんだけど。

左「ウチのが悪かったな。」

夏&下s「(左馬刻さんが謝った!?)」

詩「慣れたから大丈夫。マンゴープリンでも贈って。」

左「わかった。」

左馬刻はこーゆーとこマメで断っても贈って来るから欲しいものをお願いするようにしてる。
真っ青な顔したしたっぱくんとその先輩したっぱくんに気にしないでと声をかけて名刺を渡した。
これで明日には店にマンゴープリンが届くだろう。

詩「夏楠ちゃんは"ねぇさん"って呼ばれてんだね。
私なんて"あねさん"だよ?まさしくそれって感じでやめてほしいんだけどね。」

夏「私も"ねぇさん"って呼ばれるのなんか申し訳なくて…。」

左馬刻の部屋に入るとドラゴンの置物と目が合った。
来るたび色が変わるドラゴンの置物に気づかないフリでソファに座る。

詩「これ、りんご飴。プレーンとシナモンとアールグレイとチョコだったかな。」

夏「りんご飴!?私好きです!」

左「ついにりんご飴まで作るようになったのかよ。」

詩「いや流石にお店のだよ。専門店がシンジュクにあるの。」

寂雷先生に夏楠ちゃんの好物の1つにりんごがあると教えてもらったから
そのままじゃ芸もないしりんご飴を手土産にした。

詩「夏楠ちゃんの事、すごく頑張り屋さんだって寂雷先生言ってたよ。」

夏「ふぉんなことないです(りんごがお口の中に入ってる)」

詩「Mad Trigger Crewはパワータイプが揃ってるみたいだけどどう?」

夏「(ごくっ)私、サポートするのは初めてですし足手まといになるんじゃないかって正直不安です。
でもそれは嫌だから全力で頑張ります。」

左馬刻に電話した時に一郎と乱数に提案された事を話した。
寂雷先生が主治医として夏楠ちゃんを心配している事を口にすれば
左馬刻から来てくれとお願いされた。
心配する気持ちはみんな同じと言う事だろう。

詩「仲間のライムを自分のヒプノシススピーカーに繋げてオーディエンスに流す『チェイン』と
仲間と共鳴し能力を上げる『ブースト』は干渉し合うもの。
精神直結で揺さぶられるから激しく消耗してしまう。
どれだけ力を注いでも上手く共鳴ができなければエネルギーが空回りして『オーバーヒート』を起こして潰れるの。」

夏「それでも私はやりたいです。私じゃ力不足かもしれないけど、それでも!それでも…。私なんて壊れてもいい…。」

詩「夏楠ちゃんが壊れたらチームも壊れる。
自己犠牲は優しさじゃないよ。弱さそのもの。」

チームの土台とも言えるサポート役は干渉する相手に呑まれて潰れてしまう事もある。
地盤沈下が起これば仲間は立ってられない。
感情の起伏が激しいと言われる女がサポート役になるのは冷静さに徹すれば自分で気持ちを振れるから。
振り幅が激しい心を持ってるのはそれだけで強みだ。

詩「向いてないとは思わない。
辞めろとも言わない。
ただ、自分を信じてほしい。
左馬刻は負けるなんて考え持ってないし
負ける可能性が夏楠ちゃんにあるならチームに入れたりしない。
夏楠ちゃんが自分を信じれないって事は左馬刻を信じれないって事と一緒。
信頼関係に歪みが出たらチームとして落ちる。」

左馬刻のプレイスタイル的に冷静に徹さないとオーバーヒート起こす確率が上がる。
絶対的信頼と自信を自分で築かないといけない。

夏「自分を信じる…。」

詩「信じ方は人それぞれだけど寂雷先生は夏楠ちゃんを強いって言ってた。
左馬刻は力のない人をチームに入れるとは思えない。
私も感情豊かな心を持つ夏楠ちゃんが正直一番怖い相手だよ。
負けるつもりはないけどね。」

左「俺達、Mad Trigger Crewは負けねぇ。
中央区であのダボも乱数も寂雷先生も潰してやるからな。」

詩「中央区で会えるって信じてるからね。」

夏「はい、Mad Trigger Crewのサポーターとして絶対行きます。」

私も私自信を、麻天狼を信じてる。

20.03.14