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「あなたの目隠し、壊れているのね。」

貴方は、目隠しの国を知っているだろうか。普通は見えない知らない、未来や過去。もしも、みんなが目隠しをしている国があったとして、そしたら「見える」ということを分かってくれるだろうか。侑子さんが言った目隠しという言葉にはそんな意味が含まれている。目隠しの国とわたしの知らない誰かが昔にそう例えたらしい。人に触れる、人に触れられる、物に触る、物にぶつかるそれらの行為によって過去や未来が見えてしまうのだ。ある人は、たまに目隠しがズレてしまったそうだ、そう不意に未来が見えたらしい。ある人は目隠しを無くしたみたいだった、いつだって見ようと思えばいつでも過去が見えたらしい。ある人は、目隠しの外し方を知っていたそうで、自由に3日先の未来まで覗けたらしい。わたしの目隠しは壊れてしまったみたいで、未来と過去どちらともが見えてしまうのだ。それはやっぱり、目隠しがズレてしまうように不意に見えるのだけれど、自分が見えていることが過去か未来か分からないことが多い。どちらかしか見えないのならば、その見えているほうだと分かるのだが、どちらも見える場合はまず自分がどちらの方向を向いているのか分からないのだ。それもそのはずで、自分のことならば過去を知っているのだから自分が知らないことが見えれば未来と断定出来るのだろうけれど、自分以外の人のことならばその人のことをよく知っていないと大概分からないだろう。

今日は、新一くんと蘭ちゃんがトロピカルランドに行く日だった。