此方側で生きてやる


猟奇的大家族1

+転生する前のゾル家での話
+夢主8歳


+イルミ(14)と初対面
「へえ。キミがオレの遠い親戚って言う子ども?」
「…」
「何?聞こえないんだけど」
「…」
「もしかして無視してる?」
「…」
「ちょっとウザいんだけどそれ」
傍から様子を見ていたななしの父親が慌てて間に入った。
「申し訳ございません。ななしには無駄な発言はしないよう躾ておりまして」
「はあ?オレへの返答が無駄な発言だって言うの?」
「いいえ、決して。イルミ様と言葉を交わすには未だななしには言葉足らずな節が多く、無下に喋らせるわけには参りません」
「ふーん」
「それに、イルミ様もご存知の通り、ななしの家の人間は何かしらの“愛”に縋る傾向にありまして、言葉を交わすことによってその矛先がイルミ様に向いてはなりません」
「愛、ねえ。話には聞いてるけど、そんなに酷いものなの?こんなに幼い子どもが抱く恋心なんて、淡いものだと思うけどね」
「キキョウ様の御命令では、ななしは今後イルミ様の元に十年以上は付き従うことになっています。十年後となればこのななしも成人の身。今から用心しておくに越したことはありません」
「まあ、別にどうでもいいけどさ。でもねえ、会話ができないとこれから色々と不便じゃない?いいよ。オレの前では喋っても」
「しかし」
「このオレが許可する。別に好かれても問題ない」
「有り難きお言葉」
ななしの父親は深く辞儀をする。
「それじゃあ、キミとは今日が初めましてだし、何か言ってみてよ。言っとくけど、これ命令だから」
イルミは自分より随分と背の低いななしを見下げ、初めての命令を下した。
ななしは頷きもせず、突拍子もなく口を開いた。

「主様、わたしを愛してください」

イルミは溜息をついた。
「はあ、なるほど。こういうことね」



+キルア(1)と初対面
「これ、オレの弟」
「…」キルアの頭を撫でる。
「へえ、やけに手慣れてるね」
「産まれたばかりの妹が二人居ます」
「ああ、そういや昨日母さんが言ってたかな。また可愛い子が増えたって」
「妹たちはわたしのものです。主様には渡しません」
「欲しいなんて言ってないけど」
「しかしわたしは主様のものです。主様がもしどうしてもと言うのであれば、その時は妹たちを差し上げましょう」
「だから欲しいなんて一言も言ってないけど」
「…」キルアの頭を撫でる。
「ねえ。そうやっていきなり黙り込むのやめてくれない?」
「主様がわたしのこともまとめて愛して下さるなら考えなくもないです」
「何の話?ていうかキミ、意外と図々しいんだね。もっと謙虚な子かと思ってたんだけど」
「直します」
「必要ないよ。むしろその方が自主性があってこっちが気楽だ。だからそのままでいい」
「分かりました」
「…うーん」
無表情で端的な返事をするななしに、イルミは首を傾げた。
「…キミ、人形型ロボット?」
「?」
「どっかの富豪の家に置いてそうな家政婦ロボットみたいだね。言うこと何でも聞いてくれるの?」
「はい。わたしは心も体も主様のものですから」
「言い方がだいぶ気になるけど。…じゃあ、オレのこと殺してみてよ」
「分かりました」
ななしは目の前のイルミを目掛けて懐から取り出した小振りのナイフを振りかざした。
「ストップ」
ななしの手が止まった。
「実戦慣れしてない割には度胸はあるみたいだね。キミって父さんの話によるとかなり期待度高いから、せいぜい頑張りなよ」
「はい。我が主様の御心のままに」
「(こいつ、ちょっと堅いけど普通に会話できてるし。あの父親は何をそんなに心配してるのか)」
頭の中で疑問が浮かび上がるイルミ。ななしは自分より背の高いイルミを見上げて呟いた。

「主様、わたしは主様の事が好きです。なのでわたしのことを愛してください」

イルミは溜息をついた。
「あのねえ。出会って数分で告白されても困るんだけど。しかもキミ、まだ8歳でしょ?」
「れんあいに年齢は関係ありません」
「どこでそんな言葉覚えてきたの。生まれた時から恋愛小説ばっかり読まされてきたの?…まあ、ななしの家なら有り得るかもしれないけど」
「ななしのの血筋は“主様”と愛によって結ばれることによって利害を成立させてきたのです。ななしの家とゾルディック家は結ばれる運命にあるのです」
「あれ?おかしいな。キミの父親もオレの母さんも誰もそんなこと言ってなかったけど」
「これはわたしの自論です」
「なんなんだよ」


+晩餐
「あれ、今日はやけに豪華じゃない」
「当然ですわ!今日は久々にななしの家の方々がお目見えになるんですから!これくらいのもてなしは十善でなくて?」
「ふーん。良かったじゃん。結構美味しそうだよ、ホラ」
イルミは、イルミの背後に立ったまま茫然としているななしに呼びかけた。
「…」
「聞いてた?オレの話」
「…」
「また黙り込んだ」
イルミはまた溜息をつきそうになった。すると今度はキキョウが叫ぶ。
「あらまぁ〜!その子が例のななしちゃん?可愛いわねぇ!」
「…」
「あら?今の挨拶では足りなかったかしら?」
「ダメだよ母さん。コイツ、たまに喋らなくなるから」
「ああ!そういえば聞いていたわ。ななしちゃんは他のななしの家の方々よりも一層愛に執着しているみたいだから、あまり喋らせたくないそうよ?」
「まあね。それはさっき身をもって思い知らせれたよ。でもさ、仕えてるオレたちに対して黙り込むっていうのも変な話じゃない?」
「そうねえ。この子に情は不要だとしても、ロボットじゃあるまいし」
「それに、これって多分おもちゃを取り上げられた子どもと同じだよ」
「おもちゃ?」
「まあ、母さんには武器を取り上げられた殺し屋っていう方が分かりやすいかもね」
「取り上げられた?…ああ!言葉をってこと?」
「そう。話すのを制限されると、溜め込みすぎて逆効果になるかもしれないってことだよ」
「…そんなに心配することかしら?」
「だって聞いた?コイツ、オレのこと好きなんだって。さっき会ったばかりなのにさ」
「まあ!将来が楽しみだわ!」
「何言ってるの?」
イルミは今度こそ溜息をついた。
「いいよ、別に、好きに喋りなよ。無口だとやりにくいから」
「分かりました」

立ったままのななしを椅子に座らせ、それからイルミは尋ねた。
「なんでまた黙りこもうとするのさ。喋っていいって許可したばかりなのに」
「主様はさっき“オレの前では”喋っていいとおっしゃいました」
「…ああ、うん?オレそんなこと言ったっけ?」
「言いました」
「ふーん、命令したら本当にその通りに動くんだね。キミ、これからオレと一緒に行動することになるんでしょ?もっと肩の力抜いたら?」
「主様がそうおっしゃるなら」
「うん。よく言った」
「あと、愛して下さるなら」
「…ソレなんとかならないの?」




そういえばこの頃のイルミは短髪だったんですよね…美しい…

2018.04.27



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