此方側で生きてやる


ハンター試験1

+ifゴンやキルアと同じ第278期ハンター試験に参加する話
+夢主は18歳、クラピカ(171cm)よりやや背が低い。念能力は取得済み
+イルミ(ギタラクル)とヒソカ以外は夢主のことは知らない



+寝起きで驚かされる
赤琉は腹部にのしかかる重みで目が覚めた。いつもの寝室。いつもの時間。そしていつもと違うのは、隣でイルミが寝息を立てていることだった。なるほど、お腹に感じるこの重さはイルミ様の腕だったのか。
「(それにしてもどうしてここにいるのですか、イルミ様)」
抱きしめられている。自然と視界に入る白い肌。さらさらの黒い長髪。普段こんなに近くで見ることができないためか、イルミをじっと観察してしまう。
「なんだ、驚くと思ってたのに」
突然聞こえてきた声に、赤琉は意表を突かれた。なんとなく予想はしていたが、イルミはやはり起きていたらしい。そして元々イルミをじっと観察していた赤琉は、バッチリと目があってしまった。
「驚きました」
「じゃあもっと驚きなよ。表情変わらなさすぎ」
「イルミ様が言うことじゃないです」
「ま、いいか」
イルミは体勢を変え、ななしの上に馬乗りになった。体の真横に肘から手をついて、首筋に顔を埋める。それからななしの耳元でそっと囁いた。

「愛して欲しい?」

ななしは首を傾げる。
「イルミ様」
「なに?」
「どうかしましたか?」
イルミの声色が変わる。
「キミはオレがどうかしてると思ってるわけ?」
「いいえ。近いので」
イルミは上体を少し上げて、ななしの真上から顔を覗き込んだ。下に落ちる髪をすくい上げ、耳に掛ける。ななしはそれを目で追うが、表情は何一つ変わっていない。
「キミさ、普段あれだけ愛して愛してって言いまくってるくせにこういう知識はまったくないんだよね。なんかパッとしないなあ。ま、知識がないのは多分オレのせいだけど」
「?」
イルミはななしの腰に手をやり、ゆっくりと撫でた。身じろぐななしを視線で制し、イルミは言った。
「いつか教えてあげる」


+突然の告白
「というわけだから、もうそろそろ出発しよう」
「意味が分かりません」
「え?だってもう朝だし」
「今日の仕事は夕方からの筈では」
「え?仕事はしばらくできないけど」
「???」
「あれ?もしかして言ってなかった?」
「何をですか?」
「ハンター試験受けるの」
ななしは少しの間考えて、イルミの言う『ハンター試験』を思い浮かべた。
「聞いてません」
「あ、そう?ごめんね。ななしも参加するんだよ」
「そうですか。にしても、どうしていきなりハンター試験なんて」
「ライセンスがあった方がいろいろと便利なんだよ。まあいい。説明はあとでしてやるから今はとりあえず準備して」
「わかりました」
イルミはベッドから下りて、部屋に置かれているソファーに腰掛けた。足を組んで、肘掛に肘をつく。
「あーあ、ちゃんと起こしに来ておいて良かった」
「さっきのアレは私を起こすためだったんですか?」
ななしは身なりを整えながら尋ねた。
「まあね。それにしても背 伸びたよね。前はもっとすっぽり収まってたのに、最近はあんまり来てなかったから気づかなかった」
「…前は?」
「うん」
「…」
ななしは言葉の意味を一生懸命考えた。
「あ、そうそう。念能力は何があっても絶対に使わないでね。無意味な殺しもしないこと」
「はい」
「あとオレの知り合いが来ると思うんだけど、必要以上に馴れ合うな。アイツ、調子に乗るから」
「…?わかりました」
「オレとは完全に別行動になるけど、まあせいぜいがんばって」



+試験会場に到着
「ハイ、こちらがあなたの番号札になります」
「ありがとうございます」
ななしは333番と記された番号札を受け取り、辺りを見渡す。なるほど、人混みに入るのは窮屈そうだ。微かに感じるイルミの気配を確認してから、ななしは通路の端に向かって歩いた。



+第一次試験
人混みを避けて最後尾で走っていたななしの目の前に、誰かのカバンが飛んできた。
「(これは拾った方がいい…?)」
ななしは立ち止まって、とりあえず手を伸ばす。
「あ、大丈夫だよ!オレが拾うから!」
聞こえてきた少年の声とともに、こちらに何かが飛んできた。その何かはカバンの持ち手に引っかかり、カバンは釣り竿を構える黒髪の少年の手元に引き寄せられる。
「ありがとう!」
少年はカバンを受け止めたあと、前を振り向いて再度走り出した。
「…?」
ふと、ななしは違和感を覚える。黒髪の少年の隣を走る、スケートボードを持った白髪の少年。どこかで見知った姿。
「(ああ、キルア様)」
ななしは少し考えて、すぐに納得した。過去、一度だけお会いしたことのある本家の次期当主であられるキルア様だ。しかし、どうしてこんなところにいるのだろうか。これはイルミ様の計らいか?完全に別行動になる、と言われても…聞きたいことがたくさんあるな。
ななしはとりあえず、イルミが自分までハンター試験に参加させた訳を考えた。すると、少し前を走っていた金髪の青年が声をかけてきた。
「やあ、先程は済まなかった。レオリオのカバンを拾おうとしてくれただろう」
「いえ、目の前に飛んできたので」
「ところで、さっきから誰かを探しているようだが…君は一人か?」
「…(探しているというか、)」
イルミの知り合いが一体誰なのか分からない以上、知らない人と下手に関わり合うことはできない。
「ごめんなさい、向こうに知り合いがいますので」
ななしは今までずっと避けていた人混みにやむなく紛れ、金髪の青年から距離を取った。


長く続いていた地下通路を抜け、湿原地帯に出た。しばらく進むと、この地域に生息する原生生物が次々と現れ、受験者たちを翻弄し、更には濃いきりで行く手を眩ませる。
ななしは倒れゆく受験者たちをかいくぐりながら、ただ走っていた。
「…!」
そのとき、一枚のカードがななしの喉元を目掛けて一直線に空を切った。ななしは反射的に身を仰け反らせて、カードを頬のすれすれで背後に見送る。それからすぐに、後方から悲鳴が上がった。
カードが飛んできた方向に、ななしはとある奇術師の姿を捉えた。
「イルミ様の知り合いって、」
彼_ヒソカのことだったらしい。なんてことだ。ななしは苦渋した。そりゃあ、イルミ様の知り合いと言われて、私が思いつく人物といえば彼くらいしかいないけれど、実際にこうやって遭遇してみると、ななしはすぐにでも逃げ出したくなる思いだった。彼は苦手だ。不気味な笑みが、特に。
しかし、その一瞬だけヒソカに気を取られているすきに、ななしは前方の人影を見失ってしまった。仕様がない、今回ばかりは彼の力を借りることにする。

しばらくヒソカの試験官ごっことやらを見学しながら、ななしはそばの林に隠れて様子を伺っていた。ヒソカの正面に立つ受験者が三人になったところで、ここから少し離れたところに黒髪の少年が隠れているのが見えた。
…そういえば、今ヒソカと対峙している男たちは、さっきはあの少年と一緒にいた覚えがある。助けに来たのか。まだ年端のいかない少年であるのに、ヒソカの殺気にあてられて尚も仲間の救出にくるなんて。

ヒソカの隙を見て、対峙していた三人が一斉に後方に逃げ出した。ようやく周囲に人が居なくなったところで、ななしは隠れていた木陰から身を乗り出した。
「んふふ{emj_ip_0834}」
「…!」
不気味な笑い声と共に、見えない何かが腹部にまとわりつき、抵抗する間もなく一気に引き寄せられた。ななしは途端に機嫌を悪くしてしまう。
「奇遇だね{emj_ip_0835}こんなところでまたキミに会えるなんて」
「…ヒソカ。私は別に、会いたくありませんでした」
「連れないこと言うなよ{emj_ip_0833}」
ヒソカの念能力。【伸縮自在の愛(バンジーガム)】をいつの間にか仕掛けられていたらしい。ななしはヒソカの思い通りに操られ、そして引き寄せられた今、ヒソカに腰の辺りをしっかりと抱き締められている。
「これ、離してくださいませんか」
「ボクのお願い聞いてくれる?そしたら離してあげるよ」
「お願い、とは」
「ハンター試験の間だけ、ボクと一緒にいない?」
「…なぜ」
「ボクななしのこと好きだからさ{emj_ip_0834}」
「…」
「イイだろ?」
ヒソカはいったい何を企んでいるのだろうか。ななしは眉間に皺を寄せてヒソカに睨み返す。
「その願いを聞き入れることはできません」
「どうして?」
「君と関わるだけでもう御命令に違反するからです」
「へえ?彼の?」
「はい。主様の」
「でもさ、今更離したって命令違反が撤回されることはないよね{emj_ip_0835}」
「は、」
ななしは自由奔放なヒソカの屁理屈に言葉を失った。もし、この近くでこの様子をイルミが見ていたら、軽く数週間は動けなくなるほどの制裁を受けることになるだろう。それだけは勘弁してほしい。
「ヒソカ。あとで私が相手をしてやりますから、今だけは_」

「こそこそと女たらしこんでんじゃねーよ!こちとらやられっぱなしでガマンできるほど気ィ長くねーんだよ!!」

ななしとヒソカは叫び声のした方に顔を向けた。必死の形相でこちらに向かって走ってくる男。さっきここでヒソカに試されていた男の一人だ。てっきり逃げたと思ったら、ヒソカに反撃するべく舞い戻ってきたらしい。
「…♪」
ヒソカは愉しそうに笑う。しかしななしにとってこの状況は好都合だった。
男の攻撃にヒソカが気を取られた一瞬のすきに、ななしは体の表面にオーラを錬成し、ヒソカの拘束から抜け出した。とりあえずヒソカから距離をとって、触れられた部分を手で払う。ヒソカは残念そうに眉を下げながら、ようやく視線を男にずらした。

「(…暑苦しかった)」
男はヒソカの反撃で結局ぶん殴られてしまったようだ。普段は他人に情が湧かないななしだが、今回だけはヒソカの気を逸らしてくれた勇気ある男に、ななしは心の中で感謝した。
念のために【凝】を使ってみると、胴体周りにヒソカのオーラがまとわりついている。ああ、これ…あとでイルミ様にドヤされるやつだ。と、ななしはまたも苦渋した。



To be continued…


クラピカの登場を増やしたい!!!

2018.05.04



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