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煙草屋の邂逅(19アカギ)


「おばちゃん、いつもの」

行きつけの煙草屋に行き、いつものシャグを買う。
これが一番香りが甘くて好きだ。

シャグケースからペーパーとフィルタを取り出すと、煙草屋の軒先で一本巻いて咥えて火をつけた。買ったばかりのシャグは香りが段違いだ。強めのニコチンに少しぐらつく、がそれもいい。


と、あまり見かけない作業服の男が店にやってきた。

「……ハイライト2つ……」

中々いい声だな、思いつつふーっと煙を吐き出すと視線を感じた。その男がこちらを見ているようだ。

「……お兄さん、何か?」
「いや……珍しいもん吸ってるなと思ってね」
「ああ……手巻き煙草よ。吸ったことない?」
「そんな七面倒なことはしない主義でね……。俺にはこれで十分」

と、彼はおばちゃんから受け取ったハイライトを見せつけてから作業服のポケットに突っ込んだ。

七面倒くさい、という一言で私の好きな物を片付けられるのはどうも気に食わない。
私は自分の吸いかけのシャグを口から離し、彼の口に咥えさせた。彼は一瞬驚いたような顔をしながらも、そのままシャグを咥え喫した。

「どう?悪くないでしょ」
「……ああ……美味いな」
「そうでしょ」
「人が巻いてくれたから余計に」
「つまり自分じゃやる気ないってことね」
「やっぱり面倒だ」
「ふふ、貴方女も嫌いそうね。女なんて相手してたら面倒くさいことばかりよ」
「そうかもな」

ふ、と笑う彼の顔は美しくて。
惚れちゃいけない相手だとなんとなく分かっていても惚れてしまいそうだった。
彼はシャグを吸い終わると灰皿に擦り付けた。

「アンタ、またここ来るでしょ」
「そうね、行きつけの店だから」
「……次に店で会ったらまた吸わせてよ。手巻き煙草、ご馳走さん」

そう言いながら機嫌の良さそうな様子でふらふらと行ってしまった。お気に召したなら何より、と思いつつ自分の分のシャグをもう一本巻き、火をつけた。




火がついたのは果たして煙草だけか、それとも。




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