「ねぇ。死んだんだって」
誰が。と声を出さずに表情で表した。
「Uだよ」
とMが言った。
そうか。あの子、死んだんだ。
「自殺だって」
自殺ね。最近多いよね。未成年の自殺。
「いじめ?」
Cが聞いてきた。毛先も頬も瞼の目じりもピンクのC。頭の中はいつでもピンク。
いじめも技術が向上し、誰も気づかない。
「さぁ、知らない」
とMがスマホの画面をスクロールしながら言った。
「まぁ、あれじゃね?女子特有の。LINEとかの」
「最近のいじめは、全員でやる。っていうのがないからね。言い逃れできそう」
「それな」
「もしかして、テレビ来たりして」
お前、ほんと気楽に生きてるよね。まじで尊敬するわ。
見なよ、教室の中。お通夜状態。でも、そんなことお構いなしのCはピンクの毛先を揺らした。
黒からピンクへのグラデーションの髪色は注意されても知らんぷり。いつもテストは白い紙に赤い点。混ぜたらピンク。お前、ピンク好きだよね。
「じゃあ。今のうち、言葉遣い良くしないと」
「それな」
「な」
すかさず同意のC。
今どき言葉がきれいな女子とか、平安かよ
「なんで・・・昨日まで元気だったのに・・いきなり自殺なんて・・・」
「マジ、ウケる」
ヤル気のない顔にヤル気が無さ過ぎてトーンが下がる。クラスでフワフワした奴。誰とも話せて、一匹狼。綺麗な顔をしたM。
「ていうか、マジで何で死んだの?」
そう問えば
「知らんがな」
とMが答える。
「っていうか、女子校にいじめって・・定例でしょ」
「女子こえー」
と二人の盛り上がりに周りのみんなは呆然としていた。
「でもさ、あんまり関わりがないんだよね」
Mが言うと
「あー。ただのクラスメイト的な?」
Cがピンクの毛先を指に巻いたり絡めたりしながら聞いた。
「そう」
「まぁ、いいけど。U。なんで死んだんだろう」
「死にたかったんじゃないの?」
「鬱?」
「かな?」
「夢かわいい」
「ウケる」
ウケねぇよ
「あれは?殺人」
Cは馬鹿だ。何も考えない。高1までは黒かった髪も毛先はピンク。目はデカくなるカラコンして、化粧は濃いめ。化粧くらいみんなしてる。バレない様に。ナチュラルよりナチュラルに。でも、こいつは派手め。チークも口紅もピンク。ついでに言葉も濃いピンク。
「殺人?物騒だなぁ」
そうMが言い
「あれ?飛び降りでしょ?」
と続けた。
「そうなの?」
とCがこっちを見る。私に聞くな。
「知らんよ」
と返せば
「だと思うけど」
とMが言った。
「誰かが落としたとか?」
Cは楽しそうに犯人探し。Mはそれに付き合ってる。ご苦労様。馬鹿の相手は骨が折れるから。
「ていうか、そもそも死んだ理由でしょ」
Mは右手を頬づえついて左手でスマホの画面を消した。
「死んだ理由」
Cはオウム返しした。
「いじめ以外にもあるかもよ」
「例えば?」
少しは自分で考えろよ
「まぁ、死にたければ死ねばいいしね」
とCの言葉を無視して、Mは話を終わらせた。
青いブレザーに黒い萌え袖でカーディガンの右手で髪を耳にかけた。その耳からは、青いワンポイントピアス。あぁ、美人だなぁ。目の保護、目の保護。

 

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