「あれ、どうしたの?」
帰り道。忘れ物を思い出して校門を出る一歩手前で引き返して教室へ向かった。
窓の近くにいるのはD。たった一人で教室にいた。誰もいないと思って鍵を職員室へ取りに行ったのに。私たち、二年の教室は教室棟の三階。だから二階へ行って渡り廊下を渡らないと職員室へ行けない。
「忘れ物を」
と言って自分の席から忘れ物を出した。
「Dは何してんの?」
と聞けば
「ちょっとね」
と笑った。
早く帰ろうとしたけど、何かを感じて動かなかった。ああ、そっか。確か
「ねぇ。Uと仲良かったよね」
と聞けば
「うん。仲良かったよ」
と言った。
「でも、最後に会ったのは私じゃないよ」
と私を真っ直ぐに見て言った。
「私じゃ、ないよ」
もう一度。強めに言った。
「私じゃ、なかったよ」
少し、寂しそうに言った。
「私じゃ、なかったんだよ」
Dは悔しそうに言った。目には涙が溜まっているように見えた。
「ねぇ。最後に会ったのは、さぁ・・」
Dは一度、目を左へずらしてから私を見た。
「あなたでしょ」
血でべっとりと塗ったような夕日が沈んでいった。
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