「ねぇ」
誰もいない教室。私は帰りの挨拶とともにDを引っ張って音楽室へ来た。
基本的鍵が掛かっている音楽室。今日は空いていた。
「何か知ってるよね」
疑問形ではなく肯定形。Dは顔をしかめた。
「なんで?」
「だって、Uが最後に会ったの。私って知ってたじゃん」
そう言うと、Dは怒った顔をした。
「だって、あの時、私はUを探してたから」
「あの時?」
そう聞くと彼女は俯いた。
「あなたが、Uと話してた時」
「いつの事?」
彼女は私の質問に顔を赤くした。
「放課後。誰もいない教室」
と暗号のように言った。
私が分からないという顔をすると、彼女はカッと怒って
「あなたに言ってたじゃない!好きだって!」
目には涙を溜めて、ハァハァと呼吸を荒くしながら言った。
「そんなこと言ってない」
記憶にない私は否定した。そのことをDは呆れたように怒り狂ったように口を開け閉めしながら言った。
「なっ・・・なんで・・・なんでそんなこと言えるの・・?」
私の頭の中はキャパオーバーだ。
「なんで・・なんで・・あなた、なの?」
そうDは呟くと音楽室から出て行った。
言葉は魔法じゃない。暗示だ。だって、私には掛かっていないから。
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