「遅刻」
「すみませぇーん」
甘ったるい反省なしのピンクの声。ピンクの毛先。男とピンクな関係。まぁ、高校生だし。いいけど。
「あれ?髪の色、濃くなった?」
昼ご飯時、Mに机に集まってご飯を食べてたら、MがCの毛先を一束軽く持ち上げて言った。
「えっ・・・あ、ああ。うん、まぁね。落ちてきたから」
とCは慌てて言った。
「へぇ」
とMは短く返した。



「ねぇ」
「なぁに」
私はCを引き留めた。Mはさっさと帰ってった。Dはこの場が嫌だと言うように帰ってった。
薄いピンク色のスマホケースに入ったスマホを片手に甘い声を出した。
「あのさ、CってMのことが好きなの?」
そう聞くとCは固まった。顔は赤くなっ元々白い肌と混ざった。
「な・・んで?」
おどけて聞くCに
「いや、別に。お昼ご飯の時。MがCの髪を持ったときになんとなく」
と言った。Cは俯いて黙った。
「私はてっきり、男好きかと思ってたから驚いたよ」
Cは黙ったままだった。
「まぁ・・Mはサバサバしてるし・・」
Cは巻いた毛先を垂らしながら床を見てた。誰よりも短いスカートの裾を握って俯いていた。
「・・・気持悪いでしょ」
ぼそりとCが言った。
「なにが?」
と聞けば
「女子が女子を好きになるの」
と言った。
「いや、ここは女子校だし」
よくあることじゃん。と続ければ。Cは下手くそに笑った。
「ここではね」
と言って近くの机の上に座った。私は近くの椅子に座った。
「でも、あと一年たったら私たちは世間になる。世間では恋愛は自由じゃない」
Cは自分の足を見ながら言った。
甘い声はほろ苦い声になり、きついピンクは夕日に照らされて柔らかくなった。
「だから怖かったの。Mが好きだってことに気付いて恋をして、とても世界が柔らかく見えた。でも、そのうち私は普通じゃないと思った。別に同性愛者がキモイとかじゃなくて。私も同性愛者だし。でも、これは普通じゃない」
普通とは誰かが決めるんじゃない。世間が決める。誰かじゃない。みんなでもない。
世の中のことが多数決で決まる。平等はない。いつも人生は選択だ。そのことについてもまたジレンマだ。生きるか死ぬか。卵が先か鶏が先か。
私たちは何もできない。当たり前のことはできる。でも私たちにできることはない。なぜなら、選択は二つしかないからである。

 

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