「お邪魔します」

公園で霧氷と会話をしてから、帰り道氷雨の家に寄った。

「わからなかったら、聞いて」

「うん」

いつものところに、勉強用具を出した。
静かなリビングには、氷雨が入れたコーヒーの香りが広がっていた。
カリカリとノートに書いシャーペンの芯が擦れる音、教科書がめくれる音。コーヒーをいれる音。だったそれだけでこの世界は出来上がっていた。

「氷雨。ここなんだけど」

「ん」

私はわからないところを氷雨に聞いた。
氷雨は自分の問題が解き終わってから、私のノートをみた。

「これは、この計算式をいれる。この式は、こうなるから。この式を入れたほうがいい」

「なるほど。ありがとう」

氷雨は、ん。というと自分の解いていた問題に取り掛かった。




「終わった」

そう呟き、時計を見ると

「あ、もう。こんな時間」

「ほんとだ」

私の呟きに氷雨も時計を見た。

「そろそろ帰るわね」

「ん」

私が帰る準備をし、玄関まで行くと氷雨が後ろからついてくる。

「じゃあ、ありがとね」

「ん。気をつけてね」

私は革靴を履いて、少し振り返った。
氷雨は壁にもたれかかって、腕を組んでた。
紫陽花色のの瞳が薄暗い玄関の中に溶け込んでいた。リビングから伸びている光に白銀の髪の毛が暖かい色になっていた。

「うん。ありがとう」

バイバイ。と手を振って扉を閉めた。
くらい帰り道。住宅街にある蛍光灯は白い光を放ってた。
寒いなぁ。と息を吐いた。白い息は空を舞った。
星はチラホラと見え、オリオン座を探した。

星はここから見ると、白く見える。緑や青には見えない。
あの白銀を思い出した。
壁にもたれこちらを見て赤紫色の唇で優しく、気をつけてね。と言った。
ドキリとした。
顔が赤くなったのを感じた。暗くてよかったと思った。なぜ、ドキリとしたのか。私にはわからない。でも、不思議と嫌にはならなかった。

 

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