いつも通り、2人で昼食を食べた。
青い薔薇を吐くこともなく、いつも通りに食べれたことに、とても安心した。
氷雨はオムライスを食べていた。とても美味しそうに見えたのは、彼女が食べていたからかもしれない。
「それでね」
霧氷もいつも通りに滑り台のうえから私たちに話しかけた。
「そう。大変だったのね」
「そうなんだよ」
と霧氷が笑った。
フェンスの向こうの街は薄い空色と薄いオレンジに包まれていた。
うえを向けば、まだオレンジもかかっていない濃い空色には月が薄く出ていた。
最近、やけに冷える。雪がそろそろ降ると言っていた。
「寒いと、スープが恋しくなるね」
と霧氷が言った。
「そうね。コーンスープとか?」
「かぼちゃのスープとかね」
「シチュー?」
「忘れてた」
あれも美味しいよね。と霧氷は笑った。
「氷雨は、なんのスープが好きなの?」
「別に、美味しければいいけど。強いて言えば、オニオンスープ」
「美味しそう」
私の言葉に、氷雨は
「美味しいよ」
と言った。
「もう少しで、雪が降るね」
「そうね。本当にすぐよね?」
「天気予報では、明後日」
氷雨が答えた。私は
「そんなに近いの?」
と驚いた。
「雪が積もった日の朝は、綺麗だよね」
「そうね。霧氷。があるかもしれないし」
と笑っていった。
「そうだね。私の友達」
と霧氷もノッた。
「寒いから、そろそろ帰るわ」
と私が言えば、
「そうね」
と霧氷が言った。
帰り道、氷雨が
「雪、好き?」
と聞いてきた。
「そうね。嫌いじゃないわよ。積もっていたりしたら、テンションあがるもの」
と言った。
「大粒の積もるような雪が降ると、ワクワクするよね」
「そうね。楽しくなるわよね」
私がそう言うと、
「そうだね」
と無表情に言った。
でも、雰囲気はどこか楽しそうだった。
可愛いなあ。
と思った瞬間。
んぐっ
やばい、吐きそう
青い薔薇が出てきそう。
私は焦った。でも、今吐くわけにはいかない。だから、口をマフラーで隠した。
「じゃあね」
「うん」
少し、曇った返事になってしまったが氷雨は気にすることもなくマンションの方へ歩いて行った。
私は急ぎ足で家に帰った。前のように外で吐きたくない。誰になんて言われるか。
急いで帰った家には、母親がいた。お母さんが、おかえり。と言ったが今口を開けたら、青い薔薇が出て止まらなくなる。そう思い、トイレに駆け込んだ。廊下にリュックを放り投げ、ドアに入って、鍵を閉めて、吐き出した。
うぇ
吐き気は止まらなくて、喉は死ぬほど痛いし、頭はクラクラする。目尻は熱くなる。
うぇ。と吐くたび青い薔薇の花びらが出てきた。止まらないんじゃないかというほど出てきた。
少ししてから、止まった。
はあはあ。と肩で息をして、鼻をすすった。
泣いたような気がした。トイレの中には青い薔薇の花びらがたくさん浮いていた。
やはり、とても綺麗だと思った。
花びらを流すと、音とともに綺麗になくなった。
リビングに行くと、お母さんが
「大丈夫だった?」
と聞いてきたから
「ええ。大丈夫だったわ」
と返した。
投げたリュックの中から、お弁当箱を出した。
部屋にこもると、リュックをストンと腕から落とし、ベットに倒れこんだ。
しんどい。
そう思う。しかし、あの花びらを思い出すとその言葉がもっと苦しくなった。
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