雲の隙間から日が差して薄い夕焼け空が見える。
昨日の雪が止んで、雪が地面に分厚く残った。瑠璃は学校ではなく、公園に来ていた。
氷雨が言った。死ぬと。とても、心が痛かった。一晩中泣いた。泣いて泣いて、青い薔薇を出した。泣き疲れて、起きたら目が赤かった。学校に来る途中。氷雨の言葉は消えなかった。今までの氷雨が出てきた。ラーメンを食べる氷雨。勉強する氷雨。教えてくれる氷雨。カフェオレを飲む氷雨。コーヒーを淹れる氷雨。大丈夫だと言ってくれた氷雨。笑顔の氷雨。
やばい。
私は学校に行かなかった。
いけなかった。行きたくなかった。
止まらない花びら。青い花束。喉は焼くようにじりじりと痛い。涙も止まらない。鼈甲飴の涙が流れた。
気分は最悪。上がりそうもない。死にたい。青い薔薇が止まらない。
あの冷たい雨が好きだと言った青い薔薇が自分の口から出るたびに、青い薔薇が好きになるのは本当に愚かだと思う。
私は幸せを知らない。不幸も知らない。鬱じゃない。恋でもない。でも、ヘンテコな病気は止まらなかった。
白銀に憧れた青い薔薇は冷たい北風に吹かれて地面から旅立ち空を舞った。勿忘草した雲を青い花びらが舞った。
辛くてしゃがみ込んだ。もたれるように縋って握ったフェンスは音を立てた。吐くために下を向くと、青と琥珀と白の綺麗な芸術ができていた。昨日の雪は一旦止んでまた降り続くらしい。
真っ赤なマフラーは嫌いだ。こんな熱い愛はいらない。すっきりとした青い愛が欲しい。
フェンスを跨いで外へ行った。
人、1人分くらいの幅があるコンクリートの崖に立った。
街が見える。下は雪がある、しかし落ちてしまえばきっと死ぬだろう。
あの子が1人で死ぬなんて耐えられない。私もと手を広げた。
雪になった道路の向かい側は何もない。山を切り裂いた公園のフェンスの向こうはただの道路。
立つのにも辛いくらい口からは、ポロポロと青い想いが止まらない。口を手で覆った。手には花びらが溢れていく。鼈甲飴も止まらない。辛くなって手を口から離した。
うぇ。
向こうの雪の上にチラホラと青い花びらが乗った。しかし、大半が風でどこかへ行ってしまった。
どこへでもいけ。飛んでしまえ。
そう思って、私は青くなってきた空を飛んだ。
雪には私の嫌いな赤がついた。人は死んでからも少しだけなら意識があるらしい。
口から、咳をするように、ゴボゴボと青い花びらが出てきた。鼈甲飴は止まらない。
あなたが、好きだった。本当に、好きだった。
青いまま消えていく。
好きなバンドのサビの歌詞が流れた。まるで、自分みたいだと笑った。
氷雨。
あなたが、大好き。
青い薔薇よ。さようなら。
top
← →
Backindex