秋の風は終わり、冬の冷たい風が吹く。
マフラーで首を暖かくする。黒いタイツを履いて足の冷えを確保する。でも、スカートは膝上。
「寒いねぇ」
霧氷の言葉に私も、うん。と賛同した。
「あと、1週間すれば冬休みだよー」
霧氷は滑り台の上から言った。
「そうだね」
氷雨はマフラーもせずにボーとしていた。
寒さなど感じないが、季節感が自分にも欲しいとタイツを履いていた。
「元気ない?」
「そう?普通だけど?」
氷雨になんとなく話しかけた。
私と氷雨の荷物が置いてあるベンチに座る氷雨は黒い革靴を履いた黒い足をバタバタと上げ下げした。
「冬休みって言えば、クリスマスあるよね」
「クリスマスね。あるねそういえば」
「あと、お正月」
私の意見のあとに氷雨が言った。
「私たちの学校は女子高だからね。女子会しかできないね」
と霧氷が笑った。
2人とも顔が綺麗なのだから、中学の時の男の子や知り合いと付き合えばいいのに。と彼氏を持ったことがない2人を見て思った。
氷雨もきっと病気さえなければ、大学生になって、いい人に出会って、結婚をするんだろうな。と氷雨を見ながら思った。
白銀の髪を綺麗に纏めて、白いウエディングドレスを着て、誰かとランウェイを歩くのだろうか。手元のブーケには青い薔薇があって。無表情の彼女が照れくさそうにはにかむ。
「どうしたの?」
氷雨の声に、どきりとした。
「ううん。考え事」
私の言葉に、そう。と氷雨が言った。
彼女の幸せそうな顔を思い浮かばせた時に、胸がキュンと痛くなった。
友達が誰かに取られた気分になったからだと思う。
霧氷がそうなっても少し寂しい気がする。
「じゃあ、そろそろ帰るね」
と霧氷が自転車のスタンドを蹴った。
「うん。バイバイ」
私と氷雨は手を振った。
「さっき、何を考えてたの?」
一緒に帰っている時に、氷雨が聞いてきた。
「え?」
「ボーとしてたから」
「いや?普通に2人とも顔が綺麗だから彼氏くらいできるのになぁって」
と私が言えば
「そう?普通だと思うけど」
と言った。
「綺麗だと思うよ」
と言えば
「私は、瑠璃の方がいい」
と言った。
「私?普通じゃない?」
「瑠璃、可愛いから」
そう氷雨が言った。恥ずかしくなって
「ありがとう」
と言った。
「霧氷も言ってたし」
「霧氷も?」
「ちょっと、私とは違ったけど」
「?」
「愛しいよね。って」
「愛しい?」
「うん」
「ふーん」
霧氷の言葉の意味はわからなかったが、褒められるのは素直に嬉しい。
にやけそうになって、真っ赤なマフラーに顔を埋めた。
「じゃあね」
「うん」
氷雨と別れて、家路を黒い革靴を鳴らして歩いた。
風が吹いて、おお。寒いと顔をマフラーに沈めた。風が止んでから顔を出した。
はぁ。と空に向かって息を吹いた。きっともう少ししたら、夕焼け時でも息が白くなるだろう。
冬は好きだ。
景色はどこか儚くなるから。
私の胸の痛さも、どこか儚く感じた。
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