プクプクプク

水の中にいる。
冷たくて寂しくて心細い。何も聞こえない。何も見えない。何も言えない。
そのうち口の中から空気が抜ける。


ブクブクブク


ぼやける。
あの人の顔がぼやける。ゆらユラと波打つようにぼやけてる。
声もノイズのように聞こえる。だめだ。何もわからない。体から苦しくなってくる。

「ーーー!ーー!」

なんて言ってるのかわからないよ。

「ごめんなさい!ごめんなさい!」

なんでかわからないけど口から謝罪の空気が抜ける。

「ーーー!ーー」

ああ、空気が抜けて何もかもなくなって苦しくなってきた。
死んじゃう。死んでしまう。水の中で鞭のような海蛇が泳いでる。
やめて、こっちに来ないで。お願い。空気がほしいの。呼吸がしたいよ。助けてよ。
グネグネ泳ぐ、嗤って泳ぐ。海のギャングなんてなかなかいいネーミングセンスだな。



ブグブクブグ


体が動かない。
だれ?誰かいるの?

「ここにいる」

だれ?

「テメェの恐る鞭だよ」

何しに来たの?

「来たんじゃなくてテメェが来たんだよ」

俺が?

「そうだ」

ここはどこ?

「此処は。さあ。どこがだろうな?」

どこかねって

「テメェは、なんとなく予知していたろうが」

え?

「分かっていただろうが」


ブグブグブグブグブグブクブグブグブグブグ


パチンッ

音がする

パチンッ

鞭の音が

パチンッ

痛い

パチンッ

痛い

パチンッ

痛い!

パチンッ

助けて

パチンッ

死んじゃうよ

パチンッ

いや

パチンッ

死にたく無い

パチンッ

いや

パチンッ

いやだ

パチンッ

いやだ!




パチンッ!



「ようこそ。こちら側の世界へ」

ギャハハハハ!





海蛇に襲われた。




「虐待を受けててな。親の腕が鞭に見えていたんだよ。怖かったかなぁ。
・・・え?ああ。この痕か?痛々しいだろ。横腹に大きく傷が残ってな。まぁ、こちら側へ来たのは、親を殺したからなんだけどな」

 

戻る index