カツンカツンと音がする。
これは水道の蛇口が緩くてシンクに垂れているんだろう。

カツンカツンと音がする。
きっと、あの人がこちらへ来る音だ。

周りが暗い。灰色じゃない。白がない。だだの黒。
ああ、でも彼女の踵についた嘴は赤い。紅い。朱い。真紅い。
今日も僕を惨めに笑いながら嘴を向ける。

ああ、ゾクゾクする。
手足を動かせない死骸の僕はその嘴が僕の肉を食べてくれるのをただただ待つ。

カツンカツンと音がする。

やがて、その音は

ピチャピチャという音の方が大きくなる。

そのアカい嘴に赤黒い液がかかる。
なんてイヤらしいんだ。気持ち悪い。だか、美しい。綺麗だ。
だだの液なんてなんでもない。が、この液はあの血肉を欲する黒い奴のような彼女の踵を流れる液は素晴らしい。

そのうち痛みがなくなり、僕は喰べられる。




グサッ


鴉に突かれた。



「あらいやだわ。黒いドレスが赤黒くなってしまったわ。
困ったわね」

 

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