ほんの些細のことが大きくなって私の身体が、思考が、汚く疼く。

その些細なことは今じゃ全く思い出せないが何か大切なことを忘れている気がすることは確かだった。
周りは嫌な顔をして、愚痴愚痴と何かを言っていた気がするし、でも、そんな事じゃなくて大切だけど些細なこと。当たり前だったこと。

その些細なことは鼠となって繁殖していき手に負えなくなって、無視もできなくなって、私はその鼠を殺したような気がする。
でも、その鼠は大切なものだったような気がする。でも、その鼠を殺したから、繁殖も終わって何も聞こえなくなって清々して、とても幸せだった、ような気がする。

でも、何かを忘れている気がする。
心のモヤモヤは形になりきれなくて渦巻いている。

ー。

足が見える。小さな足。
頭を上げていく。
小さな手が見える。小さな体。可愛い顔。

ああ、そうか。
このモヤモヤは、この子をこの子を鼠から守ったんだ。鼠がやけにこの子を食べたがるから、違う。この子を守れなかったんだ。鼠はこの子を食べた。
涙が、心のモヤモヤを洗っていく。ああ、ごめんね。守れなくて、ごめんね。
私は、何でこんな大切なことを忘れていたんだろう。
この子は、私の、大切な、大切な、子。
その子は笑顔で口をパカパカしている。
ごめんね。何も聞こえないんだ。涙が止まらないんだ。ごめんね。

私は鼠を殺してなんかいない。
その存在を殺した。鼠は増える。増えていく。だが、そのうち死んでいく。鼠の寿命は短いから、だから、私はその時を待って、待って、殺した。

ごめんね。

そう言いたいのに、泣き声しかでなくて、そのことをしゃべることもできない。
その子は、笑顔で口をパカパカして、笑顔で抱きついてきた。

ありがとう。大好きだよ・・・ーー。

あの小さい子は、私の脳にその文字を残した。
消える前に、君の声が聞きたかった。その透けている体じゃなくて、暖かい手を、小さな手を握りたかった。

ごめんね。

ごめんね。


もう、何も聞こえないんだ。


鼠を殺した。


ママ。

 

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