捻くれ者の私はいつ出来たのだろうか。

中学の時、家庭内がグチャグチャして『弱虫の私』は学校に行かなくなった。

そのせいで行きたかった高校の推薦がもらえなくて、『臆病の私』はその高校を受けるのをやめた。

私は、今スタート時点に立ってゼロから始めている。
取り敢えず高校は卒業できれば良いかな。なんて、『能天気の私』はそう思っている。

でも、将来のことを考えると胃がキリキリして、目に水が溜まって、胸が痛くなる。私は行きたかった高校を受ければよかったと何度も後悔した。
泣くことはなんか違う気がして、親のせいだと心の中で叫んだ。
でも、それを言葉にしたらいけない気がして。叫ばずにずっと、ずっと、心に込めて。溢れても知らんぷりしてた。

でも、将来のことは必ず考えなくてはならなくて、心が痛くなって。
晴天の青空が憎くて、睨んだ。

やりたい事は分からない。
『飽き性の私』だから続かないと思ったり、でも、やってみたい事はある。
しかし、自分に合っているのかが心配で一歩踏み出せない。

ああ、あの頃に戻って、何があっても学校に行って、高校に行きたい。
そしたら、人間関係も、勇気も持てるかもしれない。

でも、戻ることなどできない。
私は、今の自分でなんとかしなくてはならない。
このままの、自分で良いのだろうか?
よく人は、ありのままの自分。だなんて言うが、ありのままとこのままは違う。
私は・・・


【良い良い。お嬢さん。可哀想に】

とフワフワする尻尾で頭を優しく撫でてくれた狐は微笑みながら言った。

【苦しいだろうに。良い良い。苦しむのもまた、人間の業というものよ】

狐は優しく諭してくれた。

【別に、変わる必要なんてないぞよ。お嬢さんはお嬢さんのままで良い】

と言って顔を近づけて来た。

【なぁ。お嬢さん。可哀想なお嬢さん。そんなに落ち込まなくても良いぞよ。ワシが助けてやろう】

え?と顔を上げると

【なぁ。お嬢さんはお嬢さんのままで良いぞよ】

私は私のままで良いの?

【ああ。だから、心配することなんぞないわ】

でも、心配はするし、私は私が嫌だ。
捻くれてて、弱虫で、臆病で、能天気で、飽き性で、

【それも、また、お嬢さんだ。お嬢さんの元だ。それを嫌っちゃあいけない】

でもね。色々位心配なのよ。また、後悔するんじゃないかって、

【それもまた、人生ぞよ。だから、お嬢さんは何も心配しなくて良い】

助けてくれるの?

【助けて欲しいなら、助けてやろうぞ】

じゃあ、助けて

【然り、その言葉忘るること無かれ。すくってやろう・・・】

そう言って、舌を出した。狐は嫌な笑みを浮かべ

【ああ、助けてやるぞ。・・・『お嬢さん』が『お嬢さん』のままいられることを】

そう言って顔を舐められた。
頬には狐の唾液がポツリポツリと垂れた。
晴天だった空は、晴れたまま雨が降っていた。




そういえば、狐は騙す天才だったなぁ。
なんて今では思い出す。

私の心の傷はそのままで、一生消えなかった。

心も、私も、後悔から出る事はできなかった。


狐に舐められた。




ああ、本当に。大人になれない。

 

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