俺は高校3年生の田山。双子の兄弟であり俺は兄の大(はじめ)。弟は昴(すばる)。内気な性格の昴とは違い、俺はよく喋る陽キャ!…と表向きはいいが本当は隠れたど陰キャだ。

そんな俺は今、恋をしている。
優しくて可愛くて清楚で可憐でスタイル抜群な、隣りのクラスの実栢さんに!

今日は文化祭であり、みんなが浮かれ気味。そんな雰囲気に乗っかり俺も実栢さんとツーショットを撮るんだ!!

「みっ…みかやさ、」
「みっけた!おーい恵那ーっ!」

声をかけようとしたが後ろから大きな声が。今、実栢さんの名前呼んだ…?後ろを振り返るよりも既に俺の横を通り過ぎたその人物の後ろ姿の背は、とても大きく。

「条介さん!ふふ、早かったですね」
「おう!やっぱ文化祭の雰囲気はいいよなぁ〜!」

実栢さんと並んで笑う、褐色肌の陽キャの笑顔はとても眩しく。

「お祭り、好きですもんね〜。今年は夜にキャンプファイヤーもやりますからね!」
「おお〜っ!そりゃ1日いるしかねぇな!ま、元からそのつもりでいるけどよっ」

実栢さんがその男を見つめ、嬉しそうに微笑むその顔は、今まで見たことがない。とてもとても、可愛くて、俺は気づいたら実栢さんとその男とのやり取りをじっと見つめていた。

「…??あ、わりぃ!用があったんだよな」
「?えっと、」

………。………???
俺に話しかけている?実栢さんと、洋楽が好きそうな大柄な男が。

「恵那に話しかけようとしてたみたいでよ、俺が先に突っ走っちまったせいで、待っててくれたみたいだぜ」
「えっ、ご、ごめんなさい。話に夢中になっちゃって!」

謝らないでください。と言えたらいいのだが実際は「あ、いえ、その……えっと、」なんて典型的などもりしか発せられず内心で頭を抱えた。
もう、ツーショットを撮ろうなんてよこしまな考えは通用しそうにない。
そっと携帯電話をポケットにしまおうとしたら、大柄な男にその手を掴まれた。

「恵那と写真、撮りたかったんだろ?」

なぜそれを?知ってる?

「俺が撮ってやるよ!」

いやいやいや。なんだかノリノリで撮ろうとしてるけど、どうしてこうなった?






数分後。田山の後ろ姿を見送る恵那と綱海。

「…条介さん、あの人最後に泣いてませんでした?」
「んー?そうか?あ〜〜、あれだ、一緒に写真がとれて嬉し泣き〜ってやつか?」
「そ、そんな感じではなかったような」
「………。俺が恵那に声をかける前に、アイツがいてな。ケータイのカメラ開きっぱで恵那のことずっと見てたから、警戒してたんだよ」
「えっ」
「フォルダ見てもそんな形跡なかったし、ただ純粋に恵那とのツーショットを撮りたかったんだろうな」
「……」
「ま、わりぃけど俺の前でそんな事はさせねーぞ、と」

考え込む恵那の肩を抱き寄せ、自身の携帯電話で自撮りを素早く撮る綱海。シャッターを切る早さについてけず情けない顔になってないか、そもそも廊下でこんな密着してしまっていて恥ずかしい気持ちもあったりと、恵那の思考はパニック状態だった。

「じょ、条介さん…!?」
「他の男とのツーショットなんて、させねぇよ」

恵那は俺のもんだからな!にこりと歯を見せて笑う彼氏に恵那はそれ以上何も考えられなくなり「はい…」そう言って両手で熱くなった顔を隠した。


自室の教室へと戻って行った田山は、褐色肌の男と実栢さんと引きつった顔の自分が写ったなんともカオスなスリーショット見て(俺には遠い存在の高嶺の花だった。こうして写真を撮れただけでもありがたや…うぅ。)内心で泣きながら両手を合わせ拝んでいた。







おまけ

瑠「恵那ーーっ!」(恵那に正面から抱きつく)
恵「瑠流!久しぶり〜〜!」(抱き返す)
瑠「ほんと久しぶりね!…恵那、なんか変わった?」(まじまじと見て)
恵「??」
瑠「元々可愛いのにさらに可愛くなってる気がする」
恵「えっ!そ、そんなことないよっ」
綱「可愛いだろ〜〜?」(恵那の後ろから現れ彼女にうさ耳カチューシャをつける)
恵「きゃ!じょ、条介さん〜〜?」
瑠「あら綱海、お久しぶり。あんまり恵那のこといじめないでよね」
綱「よ!久しぶり。瑠流が思ってるほどいじめてないって。さっきだって恵那のまわりにいた虫を追っ払ったとこだぜ?」
瑠「へ〜〜〜」(恵那の方を見ながらニヤニヤ)
恵「うぅ…」
ヒ「相変わらずだね2人とも」
綱「お!ヒロト、久しぶりじゃねぇか!」
ヒ「久しぶり。綱海君とは中学以来だね。変わらず元気そうだし、恵那ちゃんとも仲良しそうだし」(顔を赤くしている恵那を見てニコリと笑う)
瑠「ほんとにね。でも(恵那の手を引いて)、私だって今日は久しぶりに会えたんだから!ちょっと借りてくわよ!」
恵「えっ?」
瑠「いこ!案内してくれるって約束、忘れてないでしょ?」
恵「ふふっ、うん!行こう瑠流!」
恵那と瑠流仲良く手を繋いで出店を回り始める。

ヒ「ごめんね、綱海くん。綱海くんだってあんまり会えないのに」
綱「んな気にしてねぇよ。住んでるとこだってもう近いし会おうと思えばいつでも会えるしな。…それに」(親友と笑い合う恵那の顔を見て、柔らかく微笑む)
綱「あんな顔してる恵那を引き止めようなんてしねぇよ」
ヒ「…そっか」(綱海と同じように親友達を優しい眼差しで見守る)
綱「ヒロトもそうだろ?」
ヒ「え?」
綱「彼女が楽しそうに笑ってる顔見るだけで、なんつーか、胸が暖かくなるというかそれだけで俺も嬉しくなるというか。…まぁなんだ、ずっと見守っていきたいって思うんだよな」(少し恥ずかしそうに頬をかきながら)
ヒ「…そうだね、俺もそう思ってるよ。(綱海に向き直りながら)綱海くん、変わったね」
綱「ん?そうか?」
ヒ「うん。きっと恵那ちゃんと一緒だったからこそ、なんだろうな」
綱「…ああ、そうだな。アイツとじゃなきゃ俺、ここまで色んなこと考えなかったな。───って長話して場合じゃねぇ!行くぞヒロト!」
ヒ「ふふ、お姫様達を護衛しなきゃね」
常に準備していたヒロトは慌ててかけ出した綱海の後を追った。



memo:モブ田山気に入っちゃったよ(笑)今回は兄の方が、恵那たんに気があるという…田山兄弟は強力な彼ピセコムを引き寄せてしまう運命なんだな。(双子なのに高校違うとか、ツッコミどころめちゃあるけど、家庭の都合か何かかな!汗)
おまけも長くなってしまったけどたのしくてつい。