FFI優勝後か、FFIの途中か

「好きです!」
「………。え?」
言うことがある。と言われてついてきたら、告白された。まさか私が恋愛対象になるとは思いもしなかった。いつから?そうとも知らずに一緒にいたし、距離も近かった…気がする。顔を真っ赤にして、でも目はそらさずこちらも見つめる虎丸に瑠流は、これまで彼に抱かなかったこそばゆく胸が苦しくなる思いに戸惑い目を逸らした。
「え、っと…。それは恋愛の意味の、好き?」
「そうです!」
賢い虎丸のことだ。ふざけて言う子でもない。本気だ。
私も、今の正直な気持ちを伝えよう。
「………あ、え、っと。…今、私の胸、苦しくなったしドキドキ、してる…」
「!それって、」
「でも!…返事は、まだ待ってくれる…?」
この気持ちはまだ不確定。臆病な私にはあなた程強いものは、まだ、ないから。
「…わかりました!俺、何日でも、数ヶ月でも、何年でも!ずっと待ってます!」



その後も連絡したり虎の屋でお店を手伝ったりし、会える頻度は少なくなったが、虎丸はその度に瑠流に猛アタック。




虎丸中学卒業式
恵那たんと共に雷門へ

「卒業おめでとう、虎丸」
「!瑠流さん…!?なんで雷門に?!」
「あら、迷惑だったかしら?」
「そっ、そんなことありません!」

「じゃあまた後でね、瑠流」
瑠流に頼まれて付き添いで来た恵那。雷門サッカーの皆に会いに行くため移動
「うん。ありがとう恵那」

2人きりになる虎瑠
しばらく2人で雷門中散策
「瑠流さんと一緒に過ごせたらよかったのになー」
「会おうと思えばいつでも会えるでしょ」


屋上
風が吹く
「まだ肌寒いですね。瑠流さん、校舎に入り―――」
「虎丸」

「なんで私がここに来たか、わかる?」
その顔は、真っ赤で。
「…分かりません」
何となくだが、そうなんじゃないかと。瑠流の反応を見て虎丸の心中は掻き乱されていた。…いや、今までだって無意識とはいえ振り回されてきた。今回もそうだろうな。
「あら?虎丸の事だから分かってると思ったんだけど」
そっぽを向く。目の前の先輩は頬が赤い。心臓の音がうるさい。
「じゃあ今から言うことも言わなくていいわね」
見上げる顔。小さい身体。不貞腐れて腕を組み少し口を尖らせている。
「いつも俺が先輩に言ってることじゃないんですか?」
「………」
「………。え?」
冗談で言ったつもりだ。沈黙は肯定。これまで一緒に過ごしてきて何となくそんな素振りを見せていた気がしたけれど、自惚れてはいけないと自制していたが…真正面から向き合っていなかったのかもしれない。紫の瞳は揺れているも真っ直ぐと虎丸の瞳を見据えて、離さない。
「そうよ。あんたが飽きずに私に言ってたこと」
人の気持ちに敏感だけど表に出す事が下手。本当は不器用で臆病。それら包み込むように男は感情を声に出しありのままをさらけ出し、彼女に伝えた。

背伸びをして耳元に手をあてて小さな声で。
「好きです」
柔らかくて甘い声。脳内に響いた言葉は虎丸の脳内を掻き乱し胸の奥をかつてないほどの力で締め付けてくる。圧迫死で気がおかしくなりそうだった。夢か。夢なら冷めないでほしい。このまま俺の傍にいてほしい。絶対離したくない。俺だけの、瑠流さんでいて。様々な感情に翻弄され自我が戻ってくるまで体感1秒。状況理解、判断力ピカイチの男は瑠流の背中に手を回し力強く抱きしめ、
「俺も…!俺も好きです!瑠流さんが大好きです!!」
IQ3のガキンチョ頭となって告白した。
「ちょ、ちょっと、声、大きいっ…!」
「…瑠流さん…ありがとう、ございます…俺、本当に、あなたが好きで…」
「ん。返事、待たせてごめんね。気づいたらあなたの事、いつも考えるようになってたわ」
「俺はその倍、瑠流さんの事だけ考えてます!」
「…照れるから真顔で言わないでよ」
え、可愛すぎる。自身の腕の中で顔を赤くする彼女をより強く抱き締めた。






付き合いスタートした翌日の春休み。
お日さま園にお弁当を届ける虎の屋。

「瑠流さーん!お弁当作ってきましたよ!」
「ありがとう虎丸。ななみさんも、配達お疲れ様です」
「いいえー。やっと瑠流さんと結ばれて上機嫌なのよ」(ニヤニヤ)
「あはは…。」
「瑠流さんのだけ、特別ですよ!」(瑠流しか見ておらず話も聞いてない)
「あ、ありがとう虎丸」


なんやかんやあってお日さま組に、正式に瑠流さんとお付き合いしてます!みたいな挨拶をする。


帰り際。お日さま園前にて。
「瑠流さん!」勢いよく抱きつく
「ちょっと、ここ皆見てるんだけど…!」あわあわ
「瑠流さんが俺の事本当に好きだ、ってところ見せつけてるんですよ」
「な、なにいって」
「だって今、顔真っ赤ですよ?」ニコニコ
「〜〜〜っ、…なによ、私がやられっぱなしだと思ってるの?」虎丸のほっぺにちゅー
「…!え、」
「大好きにきまってんでしょ、ばか」
「………。はぁ〜〜。も〜〜瑠流さん…、いつも、ずるいです…」
「ふふふ、年上を甘くみない事ね」
カウンターしてくるであろう流れを自分で作ったがまさかほっぺにちゅーしてくるとは思わず逆に返り討ちにあった。1本とられた…悔しいけど、嬉しすぎて爆発しそう。身体の芯がふにゃりと崩れ思わず瑠流の首筋に顔を埋めなんとか立っていられたが、素肌から香る大好きな人の匂いにさらに虎丸の煩悩は莫大に膨れ上がる。こ、ここでキスする流れでも十分行けそう、…いや、でも、今じゃないっ。…でも、唇、柔らかかったな…。
「ん、ちょっと、虎丸…!くすぐったいわよっ」
「はー…。このまま瑠流さんを、連れて帰りたい」

「「「誰が、誰をだって???」」」

我慢出来なかった3TOP(5TOP)に無理やり引き離されて泣く泣く帰って行った虎丸。(ガチめにぶん殴られそうだった)
頬の熱が冷めず、少し蕩けた瞳でもう見えなくなった虎丸の帰路を見つめる瑠流に、5TOPは全員で顔を見合わせた。先程の瑠流からのほっぺちゅーと言い、この反応。

ああ。もう、俺(たち)の知らない瑠流だ。
(ヒロトは瑠流の横顔を見つめたまま動けないでいた。)

「ねぇ瑠流」

それを認めない風介は瑠流に聞いた。

「アイツが本当に好きなの?」
「!………」

暫くの沈黙の後、瑠流は皆に振り返った。とびきりの笑顔で。

「大好き!可愛くて、かっこよくて、一緒にいていつも楽しいの!」

その笑顔は虎丸の笑顔とよく似ていた。




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初めて他所の選手に自分から声をかけてアドバイスしたのが虎丸。
素直に懐いてくれてる、等身大で自分に接してくれてる等、居心地がよく瑠流自ら虎丸と一緒に居ることが多くなるんじゃないかな…FFI。
リュウジとの比較は、身内か、他所か。
リュウジは一緒に育ってきた弟。気も許せるし、唯一無二の家族の1人。
虎丸は、面倒な性格をしている自分にも、表立って素直に懐いてきてくれている、自信家で才能にも溢れてる等、豪炎寺やヒロトと並ぶ強さにも無意識に惹かれている、のかな。お互いに強がっちゃうところとかも…?
まだあやふやだけどそんな感じ!!