1ヶ月後。
お日さま園
「足元、気をつけてね」
「ありがと、ヒロト」
瞳子の車から降りヒロトに誘導され、懐かしの母園に戻ってきた。
「瑠流!退院おめでとう〜〜!!」
玄関を開けてすぐ、リュウジのクラッカーで祝福された。
瑠流の退院が決まり一番に動き出したのはリュウジだった。すぐパーティーをしよう!と提案し張り切って飾りの準備を始めたとのこと。園の至る所にある装飾には彼の気持ちがたくさん詰目込まれている。
ニコッと歯を見せて笑ったリュウジに瑠流は目元が熱くなった。
「そして…おかえりなさい、瑠流」
「うん。リュウジも、おかえりなさい…!」
2人して涙を流しながら抱きしめ合った。その様子をヒロトは目を細めて見守った。
「!瑠流…!!」
廊下で風介を見つけた途端言葉を発する間もなく直ぐに抱きしめられた。少し苦しい程の力。首に回された腕や手から、心音から、深く深呼吸をする様子からも、風介にも大変な心配をかけてしまったなぁと瑠流は反省した。
「風介」
「………」
「心配かけてごめんね。もう、大丈夫だから」
応答はないが更に力を込めて抱きしめられた。…昔から風介は、こうだったな。彼の頭を何度も撫で抱き返した。
「思ってたより元気そうだな」
風介から一旦離れると後ろから頭をクシャクシャに撫でられた。振り返るとこの園で、いつもよくケンカをしていた晴矢が笑っていた。エイリア学園でも口喧嘩はしていたものの率直に接する機会は殆どなかった。だからだろうか。
「晴矢…も元気で良かった」
「お、おい、なんで泣いてんだよ」
「ここで、皆と…会えたのが、嬉しくて…」
お日さま園での日常がこれから待っている。晴矢の顔を見て待ち望んでいた幸せが送れるのだと、安堵感から堪えていた涙がまた出てきてしまった。風介と、一歩後ろで見守っていたヒロト、リュウジが瑠流を介抱し、「泣かせたー」とジト目。
「なんだか見知った光景だな」
「治!」
「おかえり瑠流」
晴矢の肩を叩き宥めた治がやってきた。瑠流の笑顔を見ては治も心底安心したように顔を緩ませる。「治もおかえりなさい」瑠流は4人の間を抜け、大きく安心感のある身体に勢いよく抱きつくと、彼も一回り小さい瑠流を抱き締めた。
「この4人をまとめるのも大変だったからな。瑠流が戻ってきてくれて本当に助かる」
「あ?」
「え?俺も含まれてるの?」
眉を釣り上げた晴矢や、苦笑するヒロトにお構い無しに文句を叩きつけてはくつくつと笑い出す治。
(…あ、まだ言ってなかった…)。治から一旦離れ瑠流は、不貞腐れてる晴矢、まだ瑠流とくっついていたいと別の意味でツンとする風介に改めて向き直り、目を細めて、笑った。
「ただいま!晴矢、風介!」
2人が目を瞬かせている間に、瑠流は2人一緒に抱きしめた。マスターランクのリーダーだった2人にも、たくさん、たくさん心配を掛けてしまった。もう無茶はしないと、皆と共に一緒に、離れずに過ごしていくと決意し力いっぱい抱きしめた。
元カオスは瑠流を抱きとめ、それぞれの気持ちも胸の中に留め。今は、彼女と共に歩んでいける未来が待っている事に素直に感謝し、背中に手を回した。
「「おかえり、瑠流」」
その日の夜は遅くまで遊び通した。疲れて大部屋で雑魚寝をし始めた治以外の5人に、瞳子は、今日だけはと人数分のタオルケットを掛けその場を後にした。「起こさなくていいのか?」「ええ。…ほんと、貴方はいつも通りね」少し遠くで聞こえてきた声。瑠流が自然と目が覚めた頃には、起きていた治と瞳子の姿は無かった。
すぐ隣で寝ていたヒロトにびっくりし照れつつも、起こさないようにと忍び足で縁側へ向かった。
綺麗な満月と星が夜空に浮かんでいた。富士山から見えた満天の夜空とは程遠いが、ここから見れる星空が大好きだった。
本当に、帰ってきたんだな。
「眠れない?」
「…ヒロト。起こしちゃったかしら」
突然現れる彼にはだいぶ慣れた。気にしないでと、ヒロトは瑠流の隣りに腰掛ける。2人で夜空を見上げた。エイリア学園での事。入院中での出来事。色んな話をした。
最中、瑠流はふと考えた。…こういうところだ。自然とヒロトと一緒にいるのが、当たり前だと思っていたけど、そうじゃない。大切な家族だから、ずっと一緒にいたい。悲しい思いもさせたくないから隣で見張っているのだ。彼の、大切な家族に向ける気持ちが今ならよく分かる。
…私だってそう。
でも、家族にはない…特別な気持ちは、私にはある。
「…瑠流?」
瑠流はヒロトを抱きしめていた。ヒロトは一瞬驚くが背中に回された手や彼女の身体から伝わるぬくもりになぜだか…涙が出そうになった。
愛情。愛おしさ。家族である父や瞳子が昔注いでくれたあたたかな気持ち。でもこの感情は…少し違うもの。
ヒロトは瑠流の頭を撫でたり髪をといたりし腕の中にいる最愛の存在を何度も愛でる。痛くなるほど胸の奥が満たされ自然と顔が綻ぶ。
「…ヒロト」名前を呼び、少し身体を離す。なに?愛念のこもった瞳で瑠流を見つめる。
「ただいま」
まだ言ってなかった、当たり前の言葉。
ヒロトには2人っきりの特別な時に言おうと、考えていた。あなたにだけ込めた、他の人にはない大切な気持ち。この気持ちはきちんと言える時まで、こっそりと忍ばせておこう。
はにかんで笑った瑠流に、ヒロトも目を細め笑う。
「おかえり」
大好きな彼女の頬を両手で包み、互いの額をくっつけては小さく笑った。
おわり
━━━━━━━━━━━━━━━
★あとがき
あおのりのおかげで2期沿いやっと書けたー!!
星座、っていうイメージも、イメソンも、4剣も、たくさんのネタを摂取できたから!
そして!恵那たんの存在があったから!
本当にありがとう(´;ω;`)