「かえっっって来たぞーーー!」
空港から出てすぐさま、感情のままに大声で叫んだ吉良。様々な国を巡り世界横断楽しみましたの褐色肌となり日本へ帰還。
人目など気にせず吉良はあたりをキョロキョロと見渡す。
「…よし!皆に会いに行こう!」
特注ギターケースを背に吉良は駆け出した。
外国で乗り回してた愛車君は、現地でマブダチとなった友達の家に置かせてもらった。愛車君に乗せていた楽器達も故郷に持って帰ってきたのだが、別便で送った為到着まであと数日かかるらしい。
世界各地の楽器を集めていたらいつのに間にか大きな荷物になってしまった…まぁ船で運ばれるよりはいいか、と我が子同然の楽器達を思い空を見上げた。
…ヒロ君や瑠流、みんな、元気かなー?
最近バンド活動にお熱だという施設園の子ども達を思いニコニコ。そろそろ帰るとは連絡してたけど、詳しい日時までは伝えてない。驚かせたい気持ちもあるからわざと言わなかった。
「…あれ、ここってこんなに綺麗だったっけ」
道中、海がよく見える山なりの街道を通っていた。ふと後ろを振り返ると一面綺麗な海を見渡せる緑の芝が広がっていて。はて、昔はよくここを通っていたのにこんな素敵な場所、あったかな?
…いや、ちがうな。
「俺の見方が変わったんだ」
キラキラと光る海面、海の色、木々が揺らぐ音、海鳥の鳴き声。
若かった頃は何も見えてなかった。
自分が素敵だと思えるものは全て自分へのプレゼントだ。それを貰う度に自分は世界から歓迎されている、大丈夫だよと。
ちゃんと目を開けて、耳を澄ましていれば、きっとまた、プレゼントがもらえるんだ。
そう考えるとワクワクする。
吉良は、鼻から深く息を吸い、「よしっ…」と意気込む。街道から逸れ、芝生が広がる丘の奥へとぐんぐん足を運ばせた。
気持ちの良い風が吹く見晴らしの良いところで、吉良は歩みを止めた。
海もよく見える。故郷の街も。青い空も。
背負っていたギターケースをおろし、相棒を取り出して挨拶をする。
「ハローベストフレンド」
君とはこの街で出会ったけど、改めて紹介させてほしい。
「ここが、俺の故郷だよ」
memo:
世界へのプレゼント、のところは私の大好きなキャラのセリフをそのまま吉良さんに言ってほしかった!こういう考えをしててほしいな〜。
***
「鬼道くーーん!」
「……(まさか本当に帰国してたとは。)おかえりなさい、吉良さん」
突然の連絡に半信半疑だった鬼道は、程よく肌を焦がした当の本人を見て確信。全力で走りニコニコと笑顔で手を振る姿に思わず苦笑し、小さく手を振り返した。
「いやーー久しぶりだね。元気にしてた?っていうかだいぶ背が伸びてさらにイケメンになってるじゃん!」
「5、6年ぐらい経てば色々変わりますよ」
「うわーそっかもうそれぐらい経つんだ」
世間話をしつつ鬼道の家へ上がり、吉良は「鬼道くんの家久しぶりだ〜」と高級ソファーにもお構い無しに腰掛けた。
「…そのギターケース、やけに分厚いですね」
立て掛けられた吉良特注の楽器ケースが目にとまる。鬼道は吉良の向かいに座りつつ目線はケースに。
「そうなんだよ〜。2つ入ってるからね」
「2つ…??」
用意された紅茶を啜りティーカップを戻すと、吉良は得意げに鼻を鳴らし立ち上がる。留め具を外し、ケースを開けると吉良の相棒、アコースティックギターが。
「今日は下の子の相談がしたくて鬼道くんを尋ねてきたんだ〜」
アコギの下にある留め具を外し上へあげると…、よく見知った形の楽器が姿を見せる。
「エレクトリックヴァイオリンだよ!」
共鳴胴の無い縁だけを象ったシンプルな作りの、電子楽器。従来のヴァイオリンとは違い共鳴胴が無い為そのまま音を鳴らすと音は小さいが、アンプに繋げば音量をコントロール出来、エフェクターを通せば表現の幅も広がる現代へ進化したヴァイオリンだ。
…アンプ、エフェクター。
最近耳にする機材。鬼道は先日友人のバンドを見に行き、新たな表現の可能性を感じていた頃だった。
「…アメリカで活動してた時、このモデルの制作側で関わってたんだー俺」
父にも許可貰ってね。自嘲しながら吉良はヴァイオリンを持ち上げた。
「一応人並みに弾けるけど、プロ奏者の友達にも意見を貰いたくて」
まさかこのタイミングでその楽器を見ることになるとは。
…まだ不透明だが、アイツ等ともし共に音を奏でられるとしたら。「是非」と、鬼道は楽器に手を伸ばした。
END.
memo:
鬼道財閥と吉良財閥の話を聞いて、エレキヴァイオリンの共同制作とか出来そう!!って一気に書いてて今キリがいい所で書き終えた…。音楽って、いいね…!!