※風タクでオークションやってたような?風介は交渉上手そう、裏社会とかよく知ってそう、風介が専門用語や小難しい話してるところが見たい!
そんな思いつきから出来上がったなんちゃって闇オークション話。
競りとか市の話もH×Hを元に引用してる文が多いので文章量多め。

まじで適当に読み流し雰囲気だけ感じる小説です!!






とある街の大富豪の骨董品を誤って壊してしまった勇者御一行。(ルイルと晴矢が原因)
弁償はできないため、ある依頼をされる。
それはオークションでお目当ての品を落札すること。
依頼された品を競りで落とす為に、大量の大金(依頼主からは契約金をもらったがそれ以上の金額)が必要であり、業者市、という競りに出品出来なかった品が集まる特殊な市にて金を稼ごう、とめずらしく風介が提案する。

「つったって品がなきゃ意味ねーだろ」
「問題ない」
風介は袖口から木造でできた大きな塊を取り出す。
「ここにある」
「(((どっから持ってきたんだ)))」




流れてきた風介の品(木造と、木造を割って出た金や財宝)に回りの客はざわざわとどよめき始める。

「なぜ鑑定をしなかったんだ?」
「公式鑑定は時間がかかる。今年の競りには間に合わなかっただけだ」

恐らくそちら側の人間であろう風格の中年男性からの問にも風介は無表情のまま淡々と話す。

「依頼人の都合で年内にはまとまった金がいる。もちろんそうはいっても希望額を下回れば品は引くがな」
「年内?」(ボソッ)
「方便だね。今すぐ金が欲しいっていうと足元見られるから」(ボソッ)

ルイルは隣にいたヒロトに耳打ちし、なるほど、と納得。

「やっぱり風介の得意分野ね、ここ」

曲者同士のやり取りに、ルイル達は1歩引いて見守っていた。

「知識、情報の多さは風介がダントツだな。俺は取引だ駆け引きだなんだは絶対やりたかねぇ」
「…ちょっと興味ある。近くで見てくるわ」
「あ、おい」
「気をつけてねルイル」
「…いいのかよ」

手を振ってルイルを送り出したヒロトは好奇心旺盛な勇者にため息を吐いた晴矢に目配せをする。「へーへ」晴矢が気だるく答えると、ぼそりと呟く。

「警戒しとけよ、てか」

場所が場所なだけに集まっている人々は素性を隠し辺りの気配を探るように情報を見て、感じ、引き出そうとしている。そんな中にヒロト達のような子どもが紛れ込んでいるのだ。目立つはずもなく、周囲からの視線もひしひしと感じているのは、ルイルも分かっているはず。



「落札した後にその足でどこへでも鑑定の依頼をしてもらってかまわない。もしもその結果が偽物なら全額返す誓約書を書いてもいい」
「そこまで言い切るなら…」
「やはり本物なんじゃないか?」
「回りの反応も変わってきてるわね」(ボソッ)
「…これで済めばいいけど」(ボソッ)

風介の発言に周囲の信頼が傾いたように感じたルイルは、流暢に口が回る交易商人と成り代わった風介を見ては感嘆の息をついた。自分の出る幕はないが、念の為近くで見ていよう。

「大した自信だが、そんな約束して大丈夫かい?」

片目を髪で隠す水色髪の長髪男性が前へ出る。

「木造蔵は目利き泣かせ。“殺し技”の種類は桁違いだ」
「殺し技……?」
「贋作師が玄人の鑑定師をだます手口の事だよ、お嬢さん」

食いかかってきた長髪男性に、来たか、と風介は視線を移す。これは偽物ではない、と信頼を得ようとすると必ず違う、とその品の値を下げようとする業者が現れる。
一見紳士のような雰囲気のまだ青年ともよべるこの男もまた競売裏の一員であろう。首を傾げるルイルに近づき解説をするエセ紳士の話は続く。

「例えばさっき言ったように木造が本物であっても中身がすり替えられてる場合がある。この手口を“ヌキ”という。それに対し木造も中身も全部偽物が“ガン”」
「へぇ〜〜」
「…感心してどうするの」

青年とルイルの間に割って入り、彼女をジト目で見つめる。いやーつい、とかわいた笑いをするそんな2人のやり取りも構わずに青年はそのまま話を続けた。

「《素材の年代は本物と同じでも、掘ったのは最近》と、いうものは“アトボリ”の手口の殺し技」
「ちょっと」

風介が異を唱える。

「これが“アトボリ”じゃないのは明白だ。切断面に付着している接合剤は明らかに当時のもの。酸化による変色の具合でわかる。二度着けの跡もない」
「そうかな?あまり知られてないが当時の接合剤は加熱すると粘着性を取り戻す。これは鑑定の裏技として利用されるが殺し技にも使われる」
「……(こいつ、よく知ってる)」

専門用語が飛び交ってはいるがなんとなく流れに食いついているルイルは風介の眉がぴくりと動いた事に気づいた。
空気が変わった事を感じ取り青年はさらに話を続けていくーーー。





ところ変わって地上へと戻ってきた一行。

「あんなわざとらしく大きな声で“殺し技”の講義しないでほしい」

ブツブツと止まらない文句を言う風介の隣に腰掛けるルイルはうーん、と頭を捻る。

「…いちゃもんをつけて品の価格をさげる輩、ってこと?」
「そういうこと。落とし専門の業者だよ」

未だ不貞腐れた表情で答える風介はため息をついた。

「いい品物を法に触れず安く買い叩こうとする連中だね」
「ヒロトもよく知ってることで」

皮肉混じりに言い放つ風介にこれは…と普段と変わった様子を見たヒロトは苦笑した。

「始めに注意されたのはそのことだったんだな」

項垂れる風介を見てケラケラと笑いながら言う晴矢にルイルはスネ蹴りをお見舞する。

「ってェなおい」
「ーーで?売れそうかな?あれ」
「……競売が始まってみないと分からないな。競りの順番も影響するし」
「目の効きそうな人はいたの?」
「‎…ヒロトの言う通り、あの下見に来てた人の中にも何人か目利きの業者はいたと思う。その誰かが本番でくいついてくれれば一気に場が盛り上がり、値が上がると思うが…はたして」
「ねぇ風介」

風介の声色とは反対な明るい声でルイルは話を切り出す。

「“殺し技”には他にどんなのがあるの?」
「……ぷっ。こんな専門知識に、興味があるの?」
「ええ。なんだか手品の種明かしみたいで面白かったわ」
「お前な〜〜〜、目的忘れて全然楽しんでやがるだろ」
「いったいなぁ。いいじゃない、気になるんだから」

蹴りのお返しだとルイルの額を小突きながら怒る晴矢に彼女は舌をだして反抗した。
俺も聞きたいな、とヒロトも風介の隣に座りニコりと笑い、ルイルもまた風介に振り返り「おしえて?」と好奇心の眼差しでこちらを見つめてくる。
昔も今も変わらないルイルのキラキラした目に、風介は自然と頬が緩んでいくのを感じ、「…いいよ」小さい笑みを浮かべながらこたえた。




「ーーーで、様々な手口も使い古され警戒し始めるとまた大胆な“殺し技”がでてくる。優秀な目利きでも騙されているそれは、どんな手口だと思う?」
「それは閉じた状態だったの?」
「ああ。騙された目利きは『“ヤキヅケ”(接着していた口から宝を抜き取り再度くっつける技)はなくこれは1度も開けられてない』と確信してそれを買った」

いつの間にか晴矢もあぐらをかき4人が輪になって風介の話を聞いていた。
ルイルの質問に風介は続けて話す。

「そして彼らの確信通り木造は“ヤキヅケ”されてはいなかった」
「!、つまり1度も開けられてないってことか」
「…隠し財宝自体がもともと偽物だった、とか?」
「ぶー」

ヒロトが口元で手をあてながら考える一方で、ルイルが答えを導き出すと風介が口を尖らせて否定する。さらに頭を悩ます姿が面白いと思っていたところ「あ、」腕を組んで考えていた晴矢が手を挙げ口早に言う。

「別のところから宝をとりだした!」
「……ぴんぽーん」
「はぁ〜〜〜〜なるほどね、晴矢やる〜!」

正解したのが晴矢だったこともあり、少々納得がいかない面持ちで答える。晴矢が小さく拳を引く正面で目を瞬かせ正解者に拍手を送るルイル。
風介は近くにあった小枝を手に持つと、地面に木造蔵を書き始め、解説する。

「“ヨコヌキ”と言われる手口だ」

切り口とは別に新たな穴を開け、財宝を取り出し、偽物と入れ替え、穴を塞ぐ。
そう説明してはヒロトが「…少し考えれば小さい子どもでもわかるね」と呟くと「あ?」意図して発言してなかったとは言え晴矢は小馬鹿にされたように思え、ヒロトにガンを飛ばした。

「ごめんごめん。大胆な発想がすぐ出来る晴矢だからこそ、だろ?」
「…ふん。テメェらとは頭の柔らかさが違ぇんだよ」
「ま、こうした単細胞のせいで幾多の熟練目利きが痛い目にあったのさ」
「晴矢褒められてるじゃん。良かったわね」
「(褒められてる気が全くしねェ)」

ルイルが晴矢の頭をぽんぽんと叩くとむすっとした表情はそのまま満更でもなさそうに優しく撫でる手を受け入れていた。
風介はそのまま話を進める。

「長年の経験が逆に災いしたわけだ。『切り口の接合剤が熱で変色していなければ中身は本物』という先入観。それが目をくもらせた」
「すごい世界ね」

話の終着点であろう、そこで風介の話が止まると、ルイルは長い息をついて肩をおろした。

「『どんな手口で騙されるか分からない』。目利きは常に頭の片隅でそう考えている。だから非のない完璧な品でも『逆にあやしい』と思うわけ」

ちょっしたゆさぶりでも、周囲の反応に迷いがあったの見たでしょ?とルイルに問うと、確かに。ざわざわと回りがどよめき始めたのを思い出し首を縦に振る。

「小さな場所でも蓋を開けてみると大きな世界が広がっているのね」
「ほんの一部だけどね」
「それを風介や皆と経験できて楽しいわ」

彼女の好奇心に振り回されてる3人はその言葉に反応し目が合っては同時に吹き出した。




memo:H×Hの中でも特に好きな話を無理やり4剣にしてしまった!楽しかった!4人でいろんな所を旅して経験して冒険してほしいなー。