くちべた

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140字まとめ3



霊幻・花沢・徳川・島崎|ツイッターに上げた140字SSです


霊幻新隆で『寂しいなんて言えない』
女子高生はみな恋愛に積極的な年頃だというイメージがあったがそれはどうも違うらしい。無茶を言わない彼女の思慮深さはとても有難かった。理解があるのは大変結構、だが面白くないのも事実。天邪鬼と言われようがそんなことは知るか。お得意の弁舌を放棄して彼女を腕に閉じ込めた。


花沢輝気で『共犯者の笑み』
目の前に転がる不良とそれを見下す花沢くんをみて彼が黒酢中の裏番だという噂を思い出す。その彼がどうして不良を伸したのか不思議に思ったが絡まれて困っていた所を助けてくれた花沢くんに笑顔になる。結局はただの噂だったんだ。視界の端で笑みを交わす花沢くんと彼らに、私が気づくことはなかった。


徳川で『忘れてあげる』
徳川くんの指先が目元をこすって、私はてっきり彼が泣いているのだと思ってしまった。けれど振り返ったその顔は至極いつも通りで、出かけた言葉は口元でまごつく。何か用かと問いかける彼に考えていたことを素直に伝えた。可笑しそうに笑って閉じた本を見て私は頬を熱くする。「赤本ではちょっとな」

(君のことなら注意散漫にもなるんだよ、お願い忘れて!)




島崎で『諦めてしまえば楽になれるのに』
季節の変わり目に髪を切る。テレビでみたケーキが美味しかった。お店で勧められた洋服は、鏡に映るいつもと違う雰囲気に尻込みをして買うのはやめた。そう言って笑う女の、手のひらに触れる揃えられた毛先も嬉しげな声も、彼には全て見えている。崩されない口角の影に、心底が求める執着を隠したまま。

(視えているけど、見ることができないもどかしさ。)




2016/9/30~10/31




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