※プレデター部隊女とオバロ様とスネア君。
ぬるい暴力表現と性描写あり若干NTRです。
善くも悪くもない俗っぽい女。不細工でもなければ絶世というわけでもないそこそこ顔がいい美しい女。同期であるカノンのことをそんなふうにしか覚えていなかった、そんな少ない記憶と印象でしか語れない女であったが、ここ最近のカノンは変わった気がした。
この地獄で変わらぬ女であればオーバーロードと同類だといえばそれまでの話なのだが
「――オーバーロードよ…勝利者の頼みです。どうかわたくしと一晩共にしてください……貴方様の寵愛が欲しいのです」
また一つ思い出した。しおらしく、甘い口調で何かを強請り、しなやかなで優美な動作で強い男に媚びる女だった。
昔からこうやってリーダーであったスカイクエイクに甘えて媚びてたプレデターであった。仲間内では女だから贔屓されてる。淫売と罵られていたが、実際は地位に似合う戦闘能力を持ち、オートボットや自分たちに反抗的な囚人たちを制圧しても、こうしてオーバーロードの戯れで試合をさせられていてもかすり傷程度しか損傷はなかった。
怪しく、形の良い唇をゆがめ艶めかしい雰囲気を醸し出して、現在の征服者に媚びる同期を見るとスネアはこいつも所詮おこぼれを狙う負け犬の一人か、と元より期待はしていなかったがそれなりに悲しさと虚しさを感じて媚態を演じるカノンを呆然と見つめた。
「いいだろう。最後の試合が終われば君も選択をしなければならない。その前に甘美な褒美をくれてやろう……今晩私の部屋に来るがよい」
「ありがたきしあわせ」
顔だけはきっちりと整備していたのが幸運であっただろう。オーバーロードの気まぐれで権力者特有の不安定な慈悲に、カノンは大抵の男ならばうっとりするような微笑みを浮かべて深々と頭を垂れる。
一晩の愛とも呼べぬ交わりが終われば待っているのは、この地獄からの解放。今までそんな仲間やオートボットたちを何度も見てきただろう。
自分だけは大丈夫。前の男のように気に入られて雌犬として愛される。そう見通しの甘いことを考えているのか?とスネアは夜になり時間が近づいてきた女につい問いかけてしまった。
「おまえ。スカイクエイクのように行くと思っているのか?あの優しい男ではないのだぞ」
「……貴方よりマシよ。スネアはいつまでそうしているつもり??」
いつまでそうしてるというのは、どういうことだろうか、オーバーロードに完全に服従しないで済むのかという話なのだろうか、何もかも委ねて楽になれというつもりなのか、
元より口数の少ないスネアはそれ以上聞かずに彼女の背を見送った。もしかしたら生きてる姿を見られるのはこれが最後かもしれない。これまでも夜伽の最中に興奮しすぎたオーバーロード使い潰されて死んだ奴がオートボットだろうとディセプティコンだと数えきれないほど存在した。
そのことで心配ではないのだが、どうも胸騒ぎがした。淫売、尻軽、薄情女が死ぬのはどうでもよかったが自分に放った最後の言葉が何故か気になったのだった。
「あっ……ああぁっ…お、オーバーロード……来て…もっと…」
「ふふ…綺麗なグリーンオプティックだ……君は……」
か細く、鈴が鳴っているような喘ぎ声が扉越しだというのによく聞こえた。実際には気にならない程度の声だというのに、基地点検ついでに訪れたスネアが思わず足を止め、柄にもなく男女の情事を盗み聞きしはじめてしまう。
その甘ったるい声に、どこまでも外の男に従順で媚びた姿が見なくても想像できた。この女にはチームリーダーを殺されて激怒し、復讐を行おうと思ったことはないのか、
それともこの監獄で過ごす時間が、火山地帯のように激しい感情を冷まし、なめらかに削ってしまったというのか
「……オレは…」
自分も情けなく飼い犬の身分に堕ちただろうに、と思い抱くスネアは興奮と怒りからか、股間ハッチの中のコネクタが起動しつつあるのを感じた。我が身に起こったことに、なんと情けないことかとスネアは自分を恥じる。
ただでさえコミュニティ、自分たちの女が他所からきた者に抱かれて喜んでいるという事実だけで生き恥を感じるというのに、その媚啼で勃つなどといっそのこと死んでしまいたい屈辱だ。
屈辱に自尊心を汚されて、興奮し、スネアは初めて自覚した。自分は仲間の女が他所の男に媚びたことが、スカイクエイクを殺した男だというのに生きるために媚び売る女が自分たちのコミュニティから抜けることを恐れているのだ、去勢されまいと必死になる情けない雄の勃起だと。
「…んっ…オーバーロード……っ」
気が付けば自然に携帯電子パッドの電源を入れて、オーバーロードの部屋のカメラを密かにリンクさせていた。小さく簡素なパッドモニターに映し出された映像はカメラが悪いのか小さなノイズが飛んでいるが十分に中の様子が確認できる。
カノンは自分よりは幾分か大きなタイプの飛行型だ。オーバーロードの巨大な質量をやすやすと言わないが十分に受け入れられる許容量がある。主人に甘える小鳥のようにオーバーロードの上に跨っていた彼女は優しく官能的な微笑みを浮かべながら彼の首元に抱き着き
手に仕込んでいたギミックナイフを展開して即座に、仇敵の首元へ深々と差し込んだ。
「スカイクエイクの仇だ!!!!死ね!オーバーロードっ!!!」
「!?」
驚いたのはスネアの方だった。まるで自分の願望が現実になったような衝撃が体中を襲う、モニターに夢中でハッチ内のコネクタはますます意識しなくなり、夢にまで見た復讐劇に希望が沸き上がり多幸福で声を漏らしそうであった。
仇討を行っているカノンは美しいフェイスパーツを極限まで歪めて、これ以上ないほど憤怒を形作っている。あのオーバーロードを仕留める、絶対に失敗を許さない、即座に息の根を止めるのだ。パワーの足りぬ手を総動員して、首を切り落とすつもりでナイフで切り開こうと動くが
「ハハハ……本当に可愛らしいな君は」
「っ!!死ね!!……っ!!!」
ナイフで首のケーブルは深い損傷を負っているというのに、オーバーロードは余裕の表情を浮かべてあっさりとカノンの手首を掴んで高々と体を掲げる。
復讐者はもがいて抵抗するものナイフは首元に刺さったままで武器はもうなく、大型機のパワーから抜けだせずにただ罵声を発することしかできずに業を煮やす。
「かわいそうに……もっと力があったらこの首の半分は切れたかもしれないね」
「いやっ!!……やめ、やめろ!オーバーロードっ!!!!」
首にナイフが刺さっているというのに、涼しい顔で微笑みを湛えたままオーバーロードは縫い付けるように女をリチャージスラブに押し倒し、無駄な抵抗をする様を楽しんだ。
その早い逆転に一度沸き上がった希望は音もなく崩れ去り、より深くスネアに屈服を植え付けていく。
先ほどと違って泣き叫ぶ声、先ほどと情事と同じく表情を変えずに楽しみを続けるオーバーロード、怒りから悲しみに絶望の顔に変わっていき縋るように監視カメラを見つめるカノン。
「スネア……」
結局彼女がこと切れるまでスネアはその場から動けず、引きちぎられて最後の言葉を発した彼女をただ見ていた。
なぜ最後に自分の名前を呼んだのか。その前も何度もスカイクエイクに助けを乞い、あとはストーカーや他のプレデターの名前を複数回。しかし自分の名前は最後の一回切りだ。
だから何だというのだ。己を何度も読んだところでおまえは助けなかっただろう。
スネアは股間ハッチ内で果てて汚れた内部を洗浄するために自室に戻っていった。
その一年後…彼はインパクターの部屋を訪れた。
「スネア、生きてるだけではだめよ」
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