プロローグ
「え、どしたん自分。その顔やめてえや、殴りたなるわ。」
エースの理不尽な暴言も今ならばさらりと流せてしまう。それほどに俺は動揺していた。
「あ、マック。ええとこに…って何その手紙?依頼?」
「へえー手紙で依頼て、何や古典的やな。」
そう、この手紙は依頼に違いない。
ポストに入っていた1枚の封筒は普通の文房具屋では手には入らないほどに上質だった。中の便箋もそれしかり。
不思議に思いながらも何となしに開いてみれば、中には不可解なメッセージと衝撃的なそれ。
「で?どんな依頼やねん。」
よーく聞いてくれた。
そして、聞いて驚くなかれ。
「……俺らに泥棒やってほしいんやと。」
全員が面白いぐらいにポカン顔。
ほぉら、エースも殴りたなるような顔してまっせ。
「……何やねん、それ。」
アーセナルが奪い取った手紙を全員が覗き込む。そこにはたった一言だけ。
――沈黙の少女を盗みだして下さい。――
「…何これ。宝石か…絵画とか?」
「俺らのコト、ルパンと勘違いしてんのちゃう?」
「……あ。もしかして。」
トッポが思い出したように手招きをした。それからパソコンを弄って、メール画面を開くと。
「…んー?マップ?」
「ん。一方的にコレだけ送って来られてんけど…」
「ははあ。ここにその“沈黙の少女”って宝があんのかい。」
タイミング的にも恐らくそうなのだろう。トッポいわく、送り主についての情報はゼロ。メールアドレスも使い捨てだったのか、既にエラーとなっていた。
「…どうすんの?手の込んだイタズラちゃうん?」
「にしては込みすぎやろ。」
どうにも気になるこの依頼。
この時の選択は俺たちの運命をひっくり返すこととなる。
「…しゃあない。行くだけ行ってみよ。」
1/1
prev next△