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(tnjk)

天竺の灰谷兄弟が六本木に隠している女の話



最近よく蘭と竜胆がお揃いの特攻服を来て出かけてゆく。チームになんて興味ないって言っていたくせに、チームの象徴でしかない特攻服を着てるとか、あの2人本当どうかしてる。

しかもあの2人ってば六本木の灰谷のくせに、横浜のチームに入ったとかほんと信じられない。

そんなに面白いものが、横浜にはあるってこと?それなら、私も見に行きたい!という事で、小学校入る前からの付き合いの彼らに頼み込んだのだけども。

「は?ふざけんなテメェ。調子こいてんじゃねーぞ。」
「それは無理だなー。じゃ、俺とでかける?ナマエ、買い物付き合ってって言ってたじゃん。」

私の連れてって!を耳にした途端にあからさまに不機嫌になる蘭と、困ったように眉を寄せて顔をしかめた竜胆は、わざとらしく話をそらした。
これは、何言っても絶対連れて行ってくれないヤツだと、長年の付き合いで得た経験から察する。

「じゃあ、竜胆のバイクの後ろ乗せてー♡」

竜胆が特攻服に袖を通すようになって乗り始めたバイクも、私の興味の的でもあったのでお強請りする。

「それも無理。ナマエみたいなド貧乳乗せてもなんも楽しい事ないじゃん。」

人が気にしている事をさらっと何食わぬ顔で言いのけた竜胆に、ひどーい!と大袈裟にむくれてみると膨らました頬を蘭が両手で潰してきた。

「バイクには壁がねーんだ。どんくせーナマエには無理だから。オマエはおとなしく都バス乗ってろ。」

頬を掌でむにむにと押しつぶしてくる蘭を恨めしい気持ちを込めて睨み付けても、蘭はしれっとした態度で話にならない。

「蘭も竜胆もチームとか横浜とかバイクとか2人で新しい事いろいろですごい楽しそうなのに、なんで私はだめなの?そんなのずるいじゃん。」

子供じみたワガママだって解ってる。でも、2人が更生してた期間は空くけど、子供の頃からずっと一緒に居るんだから私も仲間に入れて欲しい。どうしてわかってくれないの?という気持ちを込めて、蘭と竜胆のお揃いの菫色を交互に食い入るように見つめた。

「だめったら、だめ。」

それでも、蘭よりだいぶちょろい竜胆ですら否と首を左右に振る。

「ナマエさぁ。横浜は六本木の外なんだよ。それ、解って言ってんの?」

さっきまで押しつぶしていた頬を両手で包み込んで、顔を近づけてきた蘭が言うので、大きく首を縦に振って頷いた。

「という事は、ナマエが灰谷のツレだろーとなんだろーと、いつもみたいにオマエに優しくねーよ?」

それは蘭の言う通りで灰谷に連れ歩かれ過ぎて顔が割れているため、蘭や竜胆の下につく人達がわんさか居る六本木ではイカツイ容姿の男の子から無駄に挨拶はされるし、道は譲ってもらえるし、酔っ払いのオジサンに絡まれても助けてはくれるが、別に特別優しくされてる感じはしないのだけども。逆に、学校帰りに友達遊んでたら、いつものようにイカツイ姿の男の子に挨拶されて以来学校帰りに一緒に遊んでくれる友達いなくなったし。人生初めての彼氏ができそうな時にも、同じような事が起こり良い雰囲気だった男子は学校で会っても一言も会話してくれなくなったし。
灰谷のツレである事で、良い事より悪い事のが多いんだけどな。それでも、蘭と竜胆と縁を切る気になれないのは、2人と居るのは居心地が良いからで。

「それでも、蘭と竜胆と一緒に行きたいんだもん。」

お願い!という気持ちを込めて、間近にある蘭のお人形みたいに綺麗な顔を見つめた。

「そんな目で見てもダメなもんはダメ。竜胆、ナマエ縛っとけ。」
「は?え?う。え?兄ちゃん?」

蘭にそう言われてテンパる竜胆は、私と蘭とを交互に見る。

「外、出れないように。」
「あ。う、うん。」

はい。と、蘭から蘭のストールを受け取った竜胆は頷いて、私の手首を掴む。緩く掴んだ手首を私の背中へとまわして、背中で両手首を合わせて蘭のストールでぐるぐる巻いてきつく縛った。

「ナマエ、痛くね?」

竜胆に聞かれて頷く。

「痛くないけど、これとって。」
「それは、むり。」

ちょろい竜胆も、蘭に怒られるのは嫌なのは私も知ってる。

「ったく、今まで甘やかしすぎたなー。」

クッションに座る私の足元に蘭がしゃがみこんで、両足首を掴んで今度は蘭と色違いの竜胆のストールで私の両足首をぐるぐる巻いて、大きなリボンをそこに結んだ。

「かわいーじゃん♡」

ふふっと満足そうに笑った蘭は、携帯電話を取り出してぱしゃっと写真を撮った。両手両足を縛られて困惑している私の姿を収めた写真を見せて、蘭はにっこりと微笑む。

「待受にしちゃお。」
「俺にも送って。」
「やだよ。竜胆も撮ればいーじゃん。」
「そりゃそだな。」

そうして、竜胆も私に携帯のカメラを向けてくる。

「集会終わったらナマエの大好きなの買ってきてやるから、良い子に待ってろ〜♡」
「痛くないよーに縛ったから、ここよっかかってな。」

ご丁寧に私の背中にクッションを足してくれた竜胆が、丁寧な手つきで頭を撫でて部屋を出てゆく蘭を追った。

「やだ。蘭、竜胆。待ってよ!」

真っ黒な特攻服に身を包んだ竜胆はこちらを振り向き手を振って、蘭に続いて部屋を出て。そして、扉が閉まった。

数時間後に帰ってきた彼らの手には予告通り私の大好物があり、縛られた手足はそのままに食べさせてくれたのだけと、私はやっぱり六本木の外の2人も見たいのだ。

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