理不尽とは


寒い季節も過ぎ去りいよいよ桜舞う季節、春がやってきた。
私は中学へはいって3回目の始業式を終えクラスを確認して席についた。どうやら私はC組のようだ。前から同じクラスの仲良い友達もいるしまあまあ無難といったところだろう。
そう、この一年も私は平々凡々に過ごしていくだろうと思った。
思ったのだが…

「ではこれからこのクラスで仲良くして行くように!今日はこれで終わりだ。」
「きりーつ!礼!」
「さよならー!」

クラスでの担任の説明も終わり私も帰ろうかと教室を後にしようとしたそのとき私は誰かに鞄を掴まれた。割と強い力だったのでぐえっとなったわけだが。

「えーっと」
「あ、わりい!その…海堂だよな?」
「はあ…まあいかにも私が海堂ですけど」
「ちょっと頼まれてくれねえ?」

え、めんどくさいな。
だが初対面でいきなりめんどくさいからと言う理由で断るのもなんだか申し訳無いので話は聞くことにした。

「ここじゃなんだから部室来て欲しいんだけどよ」
「部室?何部?」
「テニス部」
「え、わざわざ?ていうかごめん。名前なんだっけ」
「おま、覚えてねーのかよ!幼稚舎で一回同じクラスなったことあるだろ」
「えー…」

私の記憶力なめないでくれ。幼稚舎で一回同じクラスなったくらいじゃそうそう覚えとらんよ。逆にこの人はよく覚えてたな。

「宍戸だ、宍戸亮!たく、今回は覚えとけよ」
「あ、はい」

何故に命令系なのだろうか。まあそんな細かいことは気にしない。ていうか全く何も考えずに話しながら歩いてるけどこれってもしかしなくてもテニス部の部室に向かってるんじゃ…。

「ここだぜ」
「もしかしなかった…」
「は?」
「いやなんでもない。ていうか部外者だけど入って良いの?」
「まあ俺も一緒だしいいんじゃね?」
「ふーん」

とこんな感じで部室に入ったのだが、中にはテニス部と思われる人々と3人の女の子が何人かいた。私と同じ犠牲者かな?

「宍戸で最後だな。よしお前、そこへ掛けろ」
「はあ…失礼します」
「すまねえが俺様と忍足は今から用事があるから少し外す。すぐ戻って説明するからここで待っててくれ」

といって生徒会長と青髪の眼鏡はどこかへいった。説明する前に終わらしとけよ…そういうのは。というのは口には死んでも出せないので心の中で止めておく。

「ねぇ、向日くん。跡部君たちはどこへ行ったの?」
「さあ?なんかの手続きがあるとか言ってたけどな」

「芥川くんったら、いつでも寝ちゃうんだから。ふふ」
「んーー…zz」

なんかアウェー感はんぱねええ…1人なんかきょろきょろしてるし。帰っていいかな…唯一の知り合いである宍戸はちょっと離れたところで銀色ののっぽと話してるし。

「………」
「………?」

今話せそうなのは私の隣に立っている黒髪ののっぽしかいない。

「あの」
「……ウス」

う、うす?どういうことだこれは。とりあえず会話続けていいのかな。

「帰っていいですか…」
「もう少し…待ってて下さい…」

ダメなんだ!帰っちゃだめなんだ!あ〜なんでこんなめんどくさいことに…。今日はせっかくの午前で学校終わりだったのに。それもこれもあのとき宍戸が呼び止めて来たせいだ。もっと早く教室出とけば良かった。恨みを込めた目で宍戸を睨みつけようとしたその時。

「お待たせしてスマンなあ。ほんでさらに申し訳ないんやけどもうちょい待ってもろてもええやろか」
「いいけど、どうしたのお?」
「ちょっと榊監督がな。レギュラー一旦集合や」

はあ?いつまで待たせるんだこの部活は。しかも部外者だけ置いて部室開けるとか、大丈夫なのか!?

「ねえちょっと」
「えっ、私!?」
「貴方以外誰がいるのよ」
「はあ…すみません」

1人の女の子に話しかけられた。ていうか怖いんですけど。ちょっと圧力感半端ないんですけど。

「宍戸くんに頼んだんでしょ?宍戸くんは頼んだら断れなさそうだものね。」
「はあ…うん?」
「でもレギュラーを丸め込むのはなかなか難しいわ。覚悟しておくことね」

なんのことだか分からないが一応アドバイスをしてくれたのだろう。お礼を言うとふん、と鼻で笑われてそれ以降目を向けてもらえなくなった。なんだこれ。もう本当めんどくさい。帰っていいんじゃないかな。いいよね、黒髪のっぽには申し訳ないけど帰ろう。
いざ、と立ち上がった時また扉が開いた。くそ、帰るタイミング逃したか。

「待たせたな」
「全然待ってないよお!それで跡部くん!マネージャーはどうなったの?」
「その話だがな。今日だけで決めるのは無理がある。だから今日から1週間マネージャーをしてもらって決めることにした」
「レギュラーが決めたから決定ってことではないの?」
「せやなあ、けど過去にも同じ決め方してあかんかったんや。せやから今回はもうちょい厳しくしよ思てな」

ん?待て待てマネージャー?どういうこと?宍戸を見ると目を逸らされた。もしかして何も知らされずにここに来たのは私だけ?うそでしょ…。

「お前らが1週間ちゃんと働けばいいだけの話だ。明日から1週間後、正式に決定するからそのつもりでいてくれ」
「まあそういう事や。せやから今日はもう帰ってええで。明日からよろしゅうな」

生徒会長と関西弁の人がまとめたところで、たぶんマネージャー候補にされた私たち4人は部室の外に出された。なんか、ぴりぴりしてるなあ…せっかくの女の子だから話しかけようにもそんな雰囲気じゃないし。

「せっかく滅多にないテニス部のマネージャー募集なのに1週間は仮とかありえなーい!しかもなんか私以外にもいるみたいだし。ねえあんたたち!マネージャーになるのはあたしなんだからね!」
「勝手なこと言わないで。貴方みたいなミーハーに務まるとは思えないわ。マネージャーになるのはこの私よ」
「はあ〜?」

こ、こわいよー…。全員でやるって可能性は考えてないの…?いや私やるなんて言ってないけど!ここまで話聞いちゃったし流石に1週間はやるけどその後断るつもりだし。前でがやがや喧嘩している二人についていけずに一歩下がって歩いていると今まで静かにしていたもう1人の女の子に話しかけられた。

「あ、あの…」
「え?あ、はい」
「お名前聞いてもいい?これから一緒に頑張る仲間だし、仲良くしたいな」
「あ、いいよ〜私は海堂もえか」
「海堂さん!私は真野ありさって言うんだ〜よろしくね!」
「真野さん、こちらこそよろしくね」

なんだかこの子とは仲良くやれそうだ、良かった。ちょっと前途多難なところもありそうだけど1週間、頑張ろう。