ーーー関東で名を轟かす指定暴力団竜胆組。 四代目組長を筆頭に五名の次期組長候補の幹部たちが各々数千人の構成員を指揮しその竜胆組を支える。 今日はその一角、櫻庭 依 幹部第二位に密着した一日の様子をお届けする。 ーー朝の八時、高級マンションから出て来た彼を取材陣は追いかける。 これから彼は出社らしく、ただのサラリーマンとは到底思えない高価なブランドスーツを着ている。これが竜胆組の幹部、中々の貫禄。 日中は知らぬものは居ないあの大企業で監査役として働いているという。あの大企業が竜胆組のフロント企業だったとは驚きだ。 ーーー業務の邪魔になるので取材陣は櫻庭の仕事が終わる時刻まで待機。彼が退勤したのは午後六時だ。 しかしまだ彼の仕事は続く。本業であるヤクザとしての仕事。週に四日は監査役として出勤し、残りはヤクザ幹部としての仕事をこなすらしい。 ーーー今からどこに向かわれるので? 「うちの倉庫」 ーーーぶっきら棒に答えるクールな姿にカリスマを感じる者は少なくないだろう。男前な容貌に加え低い色気のある声はどんな茨の道だとしてもついていきたくなる。 ーーー竜胆組の倉庫には一体何があるというのか。午後八時、倉庫に到着。道中、人気は出発して一時間経った頃から既に無かった。山奥の倉庫は不法投棄されたごみに囲まれている。体育館一つ分程の大きさで中はガランとしており、複数のヤクザと椅子に固定された男女がその中心にいた。なにやら不穏な空気が流れている。 「た、たすけてくださいッ」 「お金も必ず返しますから!」 「…これが返さなかった結果だ。金の事は心配するな、お前らの息子が返す」 「お、音葉に?!あ、あの子は何も悪くない!」 「何でもします!何でもしますからどうかあの子だけは…ッ」 「…お前らの息子はソイツだけか。…まあいい、やれ」 ーーー三時間程、悲鳴が途絶えることは無かった。彼はボロい倉庫に似合わないレザーの上質のソファに座って顔色一つ変えずに男女が容赦無しに暴行されているのをしっかり見届けていた。 ーーー日付が変わって午前二時。 櫻庭は朝、櫻庭が出てきたマンションとはまた別の高級マンションへ帰るようだ。一ヶ月ぶりにこの家へ帰宅すると櫻庭は言う。心無しか少し嬉しそうだ。 ーーーマンションに帰っていく櫻庭の逞しい後ろ姿を見送って、我々取材陣の長い一日が終わりを告げた。 ←BANGUMIHYO ni modoru |