得意料理




「さ、出して」
「…や、あの、やっぱり今日は食堂にしませんかっ」
「だめ。今日は芳野のお弁当の日でしょ。さ、出して」
「うぅ…鬼…」
「失礼な。恋人の料理の上達に付き合ってあげるこんな優しい彼氏他にいないでしょ」
「む、無理して食べなくていいですし」
「…わあ、今日も見事なお弁当だ」
「あ!勝手に!…最悪だぁあ…」
「でもこの前よりハンバーグ固まってるじゃん。あ、それに今日は卵焼きじゃなくてスクランブルエッグなんだね」
「…卵焼きのつもりです」
「ふっは、まじで。この前より形崩れちゃったの」
「あ、味は前よりマシなはず…っ」
「あむ。うん、うん。…ん、美味しい」
「ほ、ほんとですかっ?」
「うん。ホント。そうだな、見た目良くないので減点して、90点てトコだな」
「え!そんな高得点いいんですか!」
「苦しゅうない。明日も作ってまいれ」
「あははっ!あー、よかったぁ…」
「でもハンバーグは3点だよ」
「さんてん…」
「冗談。どれも味は美味しかった。どんどん上手になってくね」
「…明日はもっと、頑張ります!」
「楽しみにしてる。ごちそうさまでした」