イメージフラワー



とある花屋さん

ーー奥様にプレゼントですか?なにかいれたい花などございます?お入れすることも出来ますよ
「…そうだな、かすみ草は必ずいれてほしい。今日がなにか特別な日、という訳ではないがプレゼントしたくなって」
ーーかしこまりました!なら、薄いピンクのガーベラと合わせて作りますね。2つとも『感謝』が花言葉なんですよ



「はい、翳。いつもありがとうな」
「わ、おっきい花束。え、今日なにか記念日だったっけ」
「俺が渡したくなっただけだよ」
「ほんとに…?うわぁ、これガーベラとかすみ草?すごく綺麗だ。…ありがと、知嘉」
「喜んでもらえたならなによりだ」
「嬉しいに決まってる。…俺、字は違うけど、翳とかすみ草、音が同じだからなんか親近感あるんだよね」
「それ、リクエストしていれてもらった。翳に似てるなと思って」
「そうなの?この花、いつも他の花の引き立て役だもんな、確かに俺そっくり」
「そういう意味で言ってない。…白い小さな花がたくさん集まってるところとか、穏やかな印象なのに、なんだか健気な感じで愛らしい所に目を惹かれる。そして気づいたらそれから目が離せないんだ」
「…知嘉って、いっつもそう恥ずかしい事平気で言う」
「心から思ってることを言ったまでだ」
「ほんとキザな男だな…じゃ、早くこれ花瓶に挿してやらないと」
「花瓶探すよ」
「うん。お願い。かすみ草、枯れないようにちゃんと目ぇ光らせて見といてよ。知嘉がさっきそう言ったんだから」
「…こっちのかすみじゃ駄目か?」
「どうしようかな」