世界観 #mtr10#この世界のことについてはアタシから説明させて頂きやしょう…っと、失礼、自己紹介がまだでしたねぇ。 アタシは猫と申します。…"ねこ"さん、ではなく、"ビョウ"さんとお呼びくださいな。趣味は人間観察と昼寝。普段は花街で綺麗な姐さん方にお花を売る仕事をしております…変な意味ではなく、そのままの意味ですよ?倭ノ国のあらゆる事象に流通しております故、倭ノ国一の情報屋であると自負しております。 …さて、アタシの情報についてはこの辺りでいいでしょう。この世界について、少々長くはなりますが、どうぞお聞き做さってくださいな。 そうですねぇ…まずは昔の話から致しやしょうか。 今から二百年ほど前…いえ、もしかしたらそれよりも前からだったかもしれやせん。この倭ノ国では永きに渡り、権力者たちと国民との間に戦が絶えませんでした。倭ノ国全土を戦火が舞い、人々は明日をもしれぬ日々を送り、貧困に喘ぎ、大地は荒れ果てていくばかり…まるで螺旋のように、憎しみや悲しみの連鎖が倭ノ国を支配していたのです。それはそれはもう、目を背けたくなるような悲惨なものであったそうで。 ですが、この果てしない戦乱の時代にある日終止符を打ったのは、今から五十年ほど前に現れた「黄龍(こうりゅう)」という名の一人の男でした。黄龍は倭ノ国の人間ではありやせん。この倭ノ国では、こことは違う別の世界から人が迷い込んでくるという現象が古くからあり、倭ノ国の人々はみながその現象を認識し、神のきまぐれと称しております。一般に、あちらの世界のことを外ツ国(とつくに)と呼び、迷い込んできた人を外ツ国人と呼んでおります。 また、外ツ国から迷い込んだお人は、倭ノ国に来る時、神から摩訶不思議な力を授けられるという言い伝えがありやす。…摩訶不思議な力、というのは、実際に見ていただいた方が早いかと…、アタシほどの情報通であっても、説明するのに語彙が足りやせん。どうぞお許しをば。 …ああでも、その力を自由に扱える者、能力を開花させた者は実はそれほど多くはないのです。花街の姐さん方の中には、それなりにおられるようですがね…っと、話が逸れやしたね。申し訳ない。 圧倒的な力や膨大な知識…黄龍の凄いところはそんな些細なものに非ず。彼はただ其処に存在するだけで、ただ一つ言葉を発するだけで、多くの人の心を惹き付ける力を持っていやした。これはアタシの勝手な想像ですが、それは外ツ国人の持つ特別な力とはまた異なる、彼自身の才能だったのではないかと思うのです。世界を動かすような、王的な資質そのものであったと。彼の思想、彼の行動、そして彼の手腕に多くのものが心酔し、その多くの人の心を動かす力によって、世界は安寧へと導かれていったのです。彼は、約百五十年続いた戦争を終わらせた英雄として、倭ノ国の人々にとても愛される王となりやした。 …しかし平和は永く続かないのが世の常…これはまだ記憶に新しく、しかし倭ノ国の民たちにとって一生忘れる事のできない出来事…《黄龍暗殺事件》が起こったのが、今から3年前のこと。 ある一部の倭ノ国の人たちは、余所者である外ツ国人が王座に座ることを良しとしなかったのでしょう。 黄龍が暗殺されて一番に動いたのは、彼が率いていた朱雀隊の大将「蘇芳(すおう)」。元帥の地位を得て民達の混乱を防ぐべく台頭を決意しました。しかし軍の台頭を快く思わない者は多く、それらの中から3つの勢力が反乱し、倭ノ国は4つの勢力により東西南北に分裂してしまいました。 一つは、先ほど申しました朱雀軍のリーダー「蘇芳」が支配する南方、朱雀。 一つは、黄龍の武術の師であった九軒一門の師範「九軒 鳩羽(くのぎ はとば)」が支配する北方、玄武。 一つは、黄龍の近代技術のすべてを受け継いだとされる技術者「橡(ツルバミ)」が支配する西方、白虎。 一つは、黄龍が人生で唯一寵愛したという妖姫「淡藤(あわふじ)」が支配する東方、青龍。 それぞれの思惑が交叉する世界…この倭ノ国で、貴方はどのような物語をつむぐのでしょう? 弱肉強食のこの世界で戦い、勝利を得るために、貴方は何を犠牲にするのでしょうか? …私はこの世界を見守り、見届け、見定める名も無き猫。 自らのために生きる者、誰かのために生きる者、そのどちらであっても、アタシはただ平等に、知識と知恵を授けましょう。 願わくば、またお会いできますよう。 |