各組織と茶室について
倭ノ国には東西南北の4つの領土をそれぞれ支配する4大勢力が存在し、黄龍が暗殺された年から長らく拮抗状態が続いていたが最近では徐々に崩れつつあり、そろそろ戦争が始まるのではないかと危惧している者も少なくはない。

玄武領
北方の領土には、白霊山が厳かに鎮座しその土地のほとんどを占めている。白霊山の麓には武術の名家として知られる九軒一門が道場を開いており、門下生たちは白霊山全体を修行の地とし日々鍛錬に励んでいる。現当主である九軒鳩羽は黄龍の師であり、武術の指南だけでなく王の素質のなんたるかを教示した偉大な人物だと言われている。彼の下には五人将という実力を認められた五人の門弟がおり、それぞれ智、信、仁、勇、厳という称号を与えられている。九軒鳩羽の数々の逸話を聞きその武術を習うべく道場の門を叩く者も多いが、白霊山の厳しい環境や修練に耐えかねて挫折する者も多い為、門下生は常に二十人前後で留まっているらしい。

白虎領
西方領土は唯一海に面しており、かつての大戦でたくさんの命が失われた戦場跡地が広がっている。ほとんどが荒地になっている上まだまだ未開の地も多いが、戦の被害に遭わなかった美しい自然もまだ多数残っている。他の領地の中で最も面積が広いものの、住処としている人は少ない。人も滅多に寄りつくことがない荒地にひっそりと佇んだ絡繰屋敷には橡という絡繰技師の男が、数人の絡繰技師と共に住んでおり、実質彼が西方領土の権力者として知られている。橡は今は高名な絡繰技師だが、ひと昔前までは小さな店で小さな絡繰玩具を作るだけのどこにでもいる普通の絡繰技師だったという。しかし黄龍と出会い、彼が持つ外ツ国の機械技術を学んだことでそれを絡繰技術に応用、今までにない精密な絡繰人形を作ったことで一躍時の人となった。その後一人静かに絡繰の研究をするべく西方の荒地に屋敷を建て、今に至っている。当の本人は他の勢力争いにはそこまで関心はないが、軍部の台頭に反対したのは、自身の領域が侵され愛する絡繰人形が軍の兵器として使用されるのを恐れたためである。周りからは絡繰に魅せられた変人とまで言われている。彼が最高傑作とまで謳った五体の絡繰人形、紅蓮(ぐれん)・黄檗(きはだ)・青葵(あおい)・黒漆(こくしつ)・白雲(はくうん)を総称して絡繰イロハ五機といい、絡繰特有の動きもあって一個体の戦闘能力は高く頑丈に作られている。橡を「お父様」と呼び絶対的に従っており、その複雑な仕掛けと表情をころころと変える人間の少女に近い様相はまるで心を持つ絡繰のようだと、彼が作りだす絡繰の作図は他の絡繰技師が喉から手が出るほど欲しているものである。

朱雀領
南方領土
《軍人(大将から准将まで)》

青龍領
花街「うぐいす」を中心とした東方領土がこれにあたる。花街に一際大きく佇む翠雨楼には、黄龍から唯一の寵愛を受けたと言われる淡藤が楼主として君臨し、同時に青龍領の統治をしている。翠雨楼には翠雨三名妓という様々な芸に秀でた芸妓《角宿(かくしゅく)、亢宿(こうしゅく)、氏宿(ていしゅく)という、星の名を淡藤から授けられた三人》がおり有名。それぞれに専用の禿が付き身の回りの世話をする。他、次代芸妓候補であると認められた四人の舞妓《房宿(ぼうしゅく)、心宿(しんしゅく)、尾宿(びしゅく)、箕宿(きしゅく)》や数十に及ぶ見習い、それらを護衛する見世番(男衆)がいる。翠雨楼に属している者で外ツ国人が占める割合が他より多いのは、倭ノ国に迷い込んでしまい困っている外ツ国人を公然と受け入れているただ一つの組織であるが故。それゆえ皆淡藤に親しみや尊敬、拾われた恩義を感じて彼女を護り着いて行くことが多いのだという。

無所属
どの組織にも属さない者。いわゆる一般人。