学パロ




「その口の悪さ何?!ママに綺麗な言葉遣い教えてもらえなかったの?」
「生憎キスの仕方以外習ったことはないな」

 なんでもない風に言ってのけるミヒャエルに、私は呆れた表情を浮かべる。何を言っても無駄。幼い頃から口は悪かったもののまだ愛嬌があったが、いい年した男性がこうだと品性に欠けるように思えてならない。このような態度を取っている時点でこの男はまだ二流、ということだろう。まあ、外見はワールドレベル、サッカーの技術はトップレベルであるからして、外部からの印象はいい。ほら、このように。

「カイザー先輩、ちょっといいですか」

 顔を赤らめまっすぐにミヒャエルを見つめるかわいい子。私の方を得意げに一瞥して席を立つ。私の頭をぐしゃりと乱していくのを忘れずに。

「見る目ねえ〜!」後輩だから知らないのかしら。可哀想、印象の鶴瓶落とし。かわいいのに勿体ない。そんな男やめて私にしときなよ。

「ねぇ、鈴。ちょっと」
「ん?なになに〜?」

 私を呼んだのはクラスメイトの友人。

「カイザーと仲良くしすぎない方がいいかも」
「別に仲良いわけではないけど……なんで?」
「誤解されてるんだよね……ファンに」
「誤解?」
「好きなんじゃないか、とか」
「あー」

 よくあるやつだ。ミヒャエルと関わる者に降りかかる、宿命のようなもの。ワールドレベルには、ワールドレベルしか隣にいることを許容されないのだから。
 一定の理解は得られたので、絡みにくるミヒャエルと距離を置くことにした。

「また告白された、鈴はされたことあるのか?ないよなぁ?」
「思い出にしたいからキスしろだってさ」
「気になるか?鈴には縁のない話だからなぁ!」
 ︙
「おい!鈴、無視するな!」
「カイザー」
「……?どうした、反抗期か?」
「仲良くしすぎると勘違いされるよ」友達にしては距離近い、他の女の子と同じ態度にするか他の女の子と仲良くして。とりあえず私のことは苗字で呼んで。と捲し立てる。

「鈴」
 言った側から……!と注意しようとするが、真剣そうな顔と目が合い、思わず閉口してしまった。

「俺は鈴のことを一度だって友人だと思ったことはない」これまでも、これからもだ。

「えっ」今までの扱い・態度から見ればそうなんだろうけど、そこまで言う!?こちらは情くらいは持ち合わせているのでちょっとショック。ガーンってSE鳴りそうなくらいには。

「……鈴にはまだ早かったか」

 何か悟ったように天を仰ぐミヒャエル。結局苗字で呼ばれることはなかったし、私がカイザーと呼べばハグや壁ドンの合図になってしまった為、諦めて戻した。







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