la suite




 明日はクリスマス。カイザーの稼業でもあるサッカーも、今日明日は完全休業で朝からゆったりとした時間を過ごしている。

「今日ぐらいは鈴も家事を休め」
「今日の夜と明日ゆっくりするためにやってるから気にしないで」

 ゆったり粘着されている。家事をこなそうと立ち上がると一緒に立ち上がりついてくる。普段はここまでじゃないのに。やばい、文字通りソクバクリスマスかも。
 お昼ごはんを食べたあとは明日の準備に取り掛かる。ついでに今日の夕飯の分も。

「なにか手伝うことはあるか?」
「ないわ。強いて言うなら座って読書でもしてて」
「つれないねぇ」

 それからリビングに戻ったかと思われたが、数分もしないうちに戻ってきてするりと背後から抱き寄せられる。頭上に顎を乗せたり、頬ずりしたりで、気が散る。

「危ないから次動いたらキッチンから締め出します」このままエスカレートされる前に、と包丁片手にぴしゃりと言い放つ。

 下拵えが終わり、また家事に戻る。洗濯機を回したり、乾いた洗濯物を畳んだり、各部屋の掃除や明日の準備などでぱたぱた忙しくしている間も背後をぴったりついてきて、可愛いと思う気持ちと邪魔だと思う気持ちが私の中で殴り合っている。

「ちょっと!あなたただでさえ大きいんだから、ずっと一緒だと嵩張るのよ!」邪魔だという気持ちが勝利した。

 クリスマス、どうする?と12月の頭に聞いた時には「家で過ごしたい」とのオーダーがあったので、それなりにプランを考えた。クリスマス明けから始まる練習や試合に支障の少なそうな食事、特別感を感じてもらえるようなデコレーション、ささやかなプレゼント。クリスマス素人勢のジャパニーズだから、ツリー買いに行くか?と聞かれて店に行ったら本物のモミの木が売られており立ち尽くしてしまった。これをどうしろと。また、「やばい!クリスマスまで○日しかない!」と焦っていたら「人間が勝手に作り出した基準に振り回されていると事を仕損じるぞ」と余裕の表情。ベルクソンみたいなこと言うじゃん。慣れない作業が多く、手間取って時間に追われたがなんとか形になった。

 ︙

 ばたばたしたクリスマスイブを過ごし、あっという間に夜で満たされている。就寝時間にはまだ早いけれど、早くカイザーを寝かしつけてツリーの下にプレゼントを置かねば。そう画策しているのに、全然寝ようとする気配がない。お腹いっぱいで眠くなるようお酒やつまみをたくさん用意してたくさん飲み食いしていたはずなのに。

「そろそろ寝る?」
「まーだ」

 そう言ってこめかみにキスをひとつ。なんかすごいイチャイチャしてくる。欧米では家族団欒の日って聞いていますけど。恋人と過ごす日みたいになってますけど。

「明日も早いしさ、今日はこれくらいにしよ」
「今日は夜更かしも許されるだろう?相手してくれないか?」

 一緒にベッドに入って、0時を迎えて「お誕生日おめでとう」続きは明日ね、と寝入る。こっそり起きてプレゼントを置く。というプランを想定。暗雲立ち込めてきているけど。……なんか、してもらった事なさそうだから。憐憫の情じゃないけれど、クリスマスは楽しみなものだと実感してほしいから。期待したらちゃんと返ってくるものだと思ってほしい。今年の、今年からのクリスマスで、カイザーの今までの12/25を塗りつぶしたい。辛かったこと、苦しかったことで終わってほしくないから。大きなお世話だろうけど、これが私のエゴです、絵心さん。

「早く寝ないとサンタさん来ないよ!!」
「残念ながら俺のもとには来たことがないから期待していない。それよりも鈴と過ごす方が重要で確実だ」
「今年は来ます!!ねえ早く寝ないと明日の予定崩壊するんだけど!」
「……まさか今夜寝られると思っているのか?」
「おや……?」







back
home